2009年7月 8日 (水)

潮流の変化

 衆議院総選挙が行われる前だが、個人的に話をした人たちの全員が、いまの自民党・公明党連立政権は敗れ、民主党が勝つと予想している。よく知っている官僚OBで、骨の髄まで自民党的なエリートでさえ、自民党の下野は必至と思っている。東国原宮崎県知事をかつぎ出して挽回をはかろうという動きは自民党の末期的な症状だろう。

 自民党が政権の座を手放すとなると、思い出すのは、1993年8月の宮沢内閣の総辞職と細川内閣の誕生だ。8つの政党・会派から成る細川内閣は短命に終わり、1994年4月誕生の羽田内閣にあとを譲るが、これはわずか64日で終わった。そして1996年1月、自民党、社会党、新党さきがけの連立政権(村山内閣)という形で自民党は政権党に復帰したのだが、野党になった自民党政治家のショックは大きかった。

 官僚とべったりだったのに、自民党が野党になったとたん、霞が関の官僚は自民党への扱いを格下げにした。すなわち、それまでは局長が出向いて説明していたのが課長しか来なくなったとか、といったたぐいのことである。冷や飯を食ったことがなかった自民党政治家は激しく怒ったらしい。そうした“浪人暮らし”が辛くて、自民党は村山社会党党首を総理大臣にまでして政権政党に戻ったのだが、その“浪人暮らし”が目前に迫ってきている。

 民主党の政治家がパーティなどであいさつしたり、シンポジウムなどで話したりするとき、最近は聞いていて、総選挙での勝利、すなわち政権を握ったつもりの話しっぷりに少しずつなってきているように感じる。逆に、自民党の政治家の中に、野党になったときを想定した発言がときどき聞かれる。勝敗がすでに決したと覚悟しているのだろう。

 ある業界団体のパーティーでは、従来、少なかった民主党議員のあいさつが増えた。聞いていると、自民党の相似形みたいな面があるようにも思えた。

 ところで、おもしろいもので、官僚たちは最近、にわかに活気づいているらしい。この経済危機で大規模の景気対策を実施することになったし、日本政策投資銀行などを使って経営ピンチに陥ったビッグビジネスを救済するなど、政治が「大きな政府」に転換したからだ。十分に検討されたとは言い難いようなプロジェクトなどに政府のカネ(予算)がついて、さすがの官僚もとまどっているといううわさも聞く。

 麻生総理大臣がいつ解散を決めるかなど、目先の出来事をフォローするのもいいが、事態は自民党の敗北、民主党の勝利を折り込みずみで、その先を読む段階のようである。 

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2009年7月 5日 (日)

財務省による予算執行調査

 財務省が3日、「平成21年度予算執行調査」の結果を発表した。20年度の予算のうちから14省庁の73件(事業)を抽出し、そのうちの調査を終えた57件について発表したもの。調査結果は事業等に関するものと庁費、契約等に関するものとに分かれており、事業等に関する調査は必要性、有効性、効率性の視点で調べたという。その結果によると、すべての件(事業)で見直しが必要だとしており、全部または一部の廃止を求めるものもある。

 73件(事業)は予算編成過程で執行の実態についても詳細に調査すべきだと財務省が判断したもので、予算額は全体で2兆1千億円(朝日新聞3日付け夕刊)。一般会計がほとんどで、特別会計、独立行政法人も1件ずつ含んでいる。

 だが、特別会計、独立行政法人、特殊法人のほうが予算のむだづかいが多いといわれているのだから、そっちのほうももっと調査してほしい。会計検査院は決算書が出そろってから本格的に検査に入るから、各省庁にしてみれば、とっくにすんでしまったこととして、何を言われてもあまり痛くもかゆくもない。

 57件の個々の件(事業)をみていくと、競争入札をすべきなのに、実質的に指名発注につながるような条件を設けるなどして国の方針に違反するケースなど、明らかに犯罪に等しいことが行われていたりする。天下り先との癒着による可能性が大きいが、それはさておき、こうした違反を、きちんと処罰してもらいたい。いまの官僚主導の政治は、そこがきちんとしていないから、国民から見放されるのだと思う。

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2009年7月 3日 (金)

民主党政調会長代理は話がうまい

 言論NPOが1日に開催した「自民党×民主党政策公開討論会」を聞いた。自民党は園田政調会長代理、民主党は福山・長妻の2人の政調会長代理が登壇した。私の関心を引いたところのいくつかの発言を紹介すると――

 園田=①少子化で、現役が高齢者を支える構図は行き詰まった。消費税引き上げで国民全員で支えるようにする。②官から民へ、大きな政府から小さな政府へというのは無理。社会保障をみればわかる。中くらいの政府が正しい。③日本はこれからも経済大国であり続けねばならないのか、議論が必要だ。それが日本を背伸びさせることになるのではないか。

 福山=①税のむだづかいを直す。予算を横を通じて総組み替えする。一般会計・特別会計を通して予算配分の見直しをする。②人が資源だ。格差が広がっても教育の機会だけは維持する。ナショナル・ミニマムとして子供を育てていく。③参議院選挙の勝利で民主党は仮免許をもらった。今度は国政を運営する免許をいただく選挙だ。ホップ・ステップ・肉離れにならぬようにしたい。④官僚は優秀。機能不全の修正を我々がやる。⑤マニフェストは国民との契約という基本的認識だ。財源と具体的政策目標などはマニフェストとして出す。

 長妻=①政府のありかたを国民に奉仕するものに変える。生活者の立場からすべてを組み替える。②政府の借金は類をみないほど大きい。今年度は44兆円もの借金をする。これは消費税で賄うとすると17.4%に相当する。③いまは優先順位の低いところにカネが流れる仕組み。政権交代した1年目にこうした浪費に徹底的にメスを入れる。④日本人は官僚をコントロールできたことがない。今度はコントロールできるか否かの大勝負だ。我々が政権を握れば、人事評価基準をすっかり変える。マニフェストは国民からの命令書であり、政策実行の武器である。各官庁に貼っておく。⑤医療・介護の技術で世界のプラットフォームを次々につくっていく。国の情報収集能力を世界のトップクラスに引き上げる必要がある。⑥財政再建についてはマニフェストに書くか未定。

 聞き比べると、民主党のほうが話がうまい。ことに長妻氏は演説慣れしている感じだ。キャッチフレーズ的に話すのも巧みである。長妻氏がしょっちゅう言っているHAT-KZ、すなわち、ひも付き補助金(H)、天下りあっせん(A)、特別会計(T)、官製談合(K)、随意契約(Z)は、官僚支配政治の諸悪の根源を突いており、日本の構造改革や財政改革を進めるうえでの攻撃目標である。討論会では、このように攻める民主党に比べ、守勢に立った自民党の説得力が弱かったように思えた。

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2009年7月 2日 (木)

経済財政諮問会議の資料を読んで

 7月1日の経済財政諮問会議は与謝野馨氏が担当大臣としての最後の会合だった。でも、提出資料を読んでいると、「言うだけなら何とでも言える」という感じが強くする。

 「平成22年度概算要求基準のポイント」には、「特別会計についても、一般会計と同様、事務・事業を徹底的に見直し、合理化・効率化を促進」とある。一般会計より図体が大きく、「はなれでスキヤキを食べている」といわれる特別会計に対して、この程度のことしか求めていないのである。

 「公益法人向け支出については、国民の視点に立って無駄を根絶し、支出を縮減する観点から徹底して見直し」と書かれているが、こんな抽象的な総論に従って各官庁が歳出を減らすだろうか。

 資料のひとつ「平成22年度予算の全体像」にも、似たような表現がある。「不断の行政改革の推進と無駄排除の徹底を継続していく必要がある」。しかし、政府・与党のやっていることをみれば、これは単なる枕ことばなのだろう。

 また、「安心社会を実現するための雇用を軸とした新規施策については、「安定財源なくして制度改正なし」との原則に立って、税制の抜本的な改革や歳出歳入改革の中で、具体的な内容と併せて所要の財源確保の検討を進める」というくだりがある。本当は何をするのか、したいのかが、さっぱりわからない。

 一方で、財政状況については、危機的な事態にあることを数値で示している。国と地方を合わせた基礎的財政収支の赤字は平成20年度において対GDP比で4%程度、21年度で8%程度にもなるという。利払い費を含む財政収支の赤字は20年度において対GDP比で6%程度、21年度で8%程度に達するという。そして、国・地方の政府債務残高は21年度に163%程度になることが見込まれている。

 このように、欧米をはるかに超える財政赤字は、少子高齢化などとならんで日本の抱える深刻な課題であるはずだ。しかし、いまは景気対策しか考えないといった視野狭窄症が跋扈している。

 経済財政諮問会議は小泉首相と竹中担当大臣のときに官邸主導の政策決定システムとして機能した。その後は、「役者」の交代で、党・官僚主導の古い政策決定システムに戻ってきた。1日の会議の資料に目を通すと、諮問会議がほとんど意味のない組織になったこと、そして、自民党のたそがれの到来を感じる。

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2009年7月 1日 (水)

一般会計と特別会計の連結で見えること

 財務省が「特別会計のはなし」の新版を発表した。日本の国家財政は一般会計よりも特別会計のほうが規模が大きい。しかし、議会では長年、一般会計のほうにばかり目を向けて審議してきたし、メディアも一般会計の内容を中心に報じてきている。だから、特別会計は所管官庁の好きなように運営されてきたという面があるし、各官庁のおいしい利権や天下り先にもなってきた。ここでは、一般会計と特別会計とを一緒にしてみたときの財政規模や、その特徴を見てみる。

 09年度予算の一般会計と特別会計とを連結し、重複部分を除いた純計ベースだと、歳入220.1兆円、歳出206.5兆円。うち一般会計が歳入81.6兆円、歳出37.1兆円なのに対し、特別会計は歳入138.5兆円、歳出169.4兆円に達する。歳出では特別会計が一般会計の4倍超の規模である。

 主要経費別歳入歳出純計額を見てみると、歳入220.1兆円のうち、公債金及び借入金が何と91.1兆円にも達する。租税及び印紙収入は48.0兆円に過ぎない。次いで保険料及び再保険収入35.1兆円などである。

 そして、歳出では、国債費が78.9兆円と一番多い。次いで、社会保障関係費が68.5兆円に達する。これら2つで歳出全体の7割を超える。日本の国家財政が借金まみれ、極端な借金依存になっていることが浮き彫りになる。

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2009年6月25日 (木)

「足利事件」と「裁判長のお弁当」とを考える

 1990年に起きた幼児殺害事件で有罪とされ、無期懲役が確定し、服役していた菅家利和さんが最新のDNA鑑定の結果、無罪であることが明らかになり、釈放された。こんな無茶苦茶なことがどうして起きたのか、がきちんと検証されなければならないが、先だってブログで紹介した東海テレビのドキュメンタリー「裁判長のお弁当」を見たときに感じたことを書く。

 このテレビ放送によると、地裁の裁判官は、かつては必要とあれば、自ら事件の証拠調べをしていた。しかし、近年は担当件数が多すぎて、それをしなくなった。結果として、裁判官はもっぱら調書などの書類から判断するという。朝から晩まで、書類を読むことが多いわけだ。

 ところで、警察・検察が起訴した刑事事件はほとんどが有罪となっている。自白と証拠(物件)に基づいてがっちりと構築された書類からは、すぐれた裁判官といえども、被告が無罪だという結論にはなかなか達しようがない。もちろん、裁判官は被告の弁護側の書類をも読むが、それはもっぱら量刑の重さを決めるのに影響するのではないかと思う。

 したがって、検察が起訴した事件はわざわざ裁判官が独自に証拠調べするまでもなく有罪だという思い込みが裁判官にひそむようになっていてもおかしくない。テレビを見てそう思った。

 先ごろ、最高裁を見学した。そのとき、最高裁判事の一人に話を聞くことができた。その人の仕事も、ほとんど書類を読むことだった。二、三十センチにも及ぶ書類の束がいくつも机上にあり、それらを同時平行的に読んでいるということだった。最高裁と地裁とは機能が違うから、単純な比較はすべきでないが、常時、何件も抱え、それらの書類に取り組んでいるのは同じだ。それだけに、捜査段階を担う警察がどのように被告が犯人であるという確証を得るにいたったかというプロセス自体についても、それが適切だったかどうか、思いをはせることが裁判官には求められるような気がする。

 冤罪の発生を防ぐには、自白を強制することがないように、取り調べの録画、つまり可視化が必要である。また、裁判員制度により、裁判官の書類偏重を少しでも是正できるのではないかとも思う。

 「裁判長のお弁当」は忙しい裁判官の日常を描いていたが、裁判に新たにかかる件数は時代によって増えたり減ったりしている。03年から07年までだと、民事・行政、刑事などはかなり減っている。そうしたトレンドが何を意味しているか、また、裁判官の仕事にどのような影響を及ぼしているか、などを知りたいものである。

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2009年6月24日 (水)

最後?の“骨太の方針”

 政府の「経済財政改革の基本方針2009~安心・活力・責任~」(「骨太の方針」)が23日の閣議で決定された。「短期は大胆、中期は責任」との観点から、財政健全化を推進し、財政健全化目標を次のように定めた。

 「①国・地方の債務残高の対GDP比を基本目標と位置づけた。これを2010年代半ばにかけて少なくとも安定化させ、2020年代初めには安定的に引き下げる。②今後10年以内に国・地方のプライマリーバランス(PB)黒字化の確実な達成を目指す。また、利払い費を含む財政収支の均衡を視野に入れて収支改善努力を続ける。③まずは景気を回復させ、5年を待たずに、国・地方のPB赤字(景気によるものを除く)の対GDP比を少なくとも半減させることを目指す。ただし、世界経済等の流動的要素にかんがみ、時宜に応じた検証を行う。」

 しかし、この「骨太の方針2009」は、社会保障費の自然増を抑制(年度ごとに2200億円)するというこれまでの政府の方針を撤回しているし、「昨年度とは異なる概算要求基準を設定し、メリハリの効いた予算編成を行う」と述べている。与謝野財務相は党内のばらまき圧力で後退するばかり。総選挙を前にして、財政健全化の前途は一段と険しくなった。

 小泉政権のもとでは、経済財政諮問会議が改革志向を鮮明にした「骨太の方針」をつくり、それを与党や政府に押しつけることができた。だが、ポスト小泉では総理大臣の強力なリーダーシップがないため、改革の揺り戻しが始まっている。おりしも、総選挙で自民党が下野する可能性は日に日に高まっているから、「骨太の方針2009」も短命が予想される。

 ただ、財政悪化の進行は民主党が政権の座に就こうと変わらない現実である。既得権益のしがらみが自民党よりは少ないから、財政改革をやる気になれば、民主党は相当のことができるはずだ。そこに期待するしか道はない。

 

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2009年6月23日 (火)

セブンーイレブン・ジャパンに欠けていたこと

 日本人のよき慣習の一つに、食事前の「いただきます」と食事をすませたときの「ごちそうさま」という言葉・しぐさがある。食事をつくってくれた人への感謝の気持ちや、素材である米や野菜、魚などを育てたり獲ったりした人々への感謝であると同時に、それらを超えた神に対する感謝を示している。ご飯茶わんに一粒も残さないように食べるのも、そうした感謝の気持ちとつながっている。「もったいない」という感覚はそれと表裏一体である。

 日本で一番のコンビニであるセブンーイレブン・ジャパンが加盟店に対し、販売期限が迫った弁当や総菜を値引きして販売しないように強制していたとして、公正取引委員会が22日、独占禁止法違反として排除命令を出した。これは、不公正取引というビジネスの観点からとらえるだけでなく、コンビニというビジネスモデルのありかたを改めて考えてみるいい機会のように思える。

 値引き販売しないと、売れ残って廃棄した分の仕入れ原価がまるまる加盟店の負担になるし、廃棄物処理費用も相当かかる。これに対し、値引き販売すれば、売り上げ収入が増えて加盟店の採算にプラスになる可能性が大きいし、捨てる量が減る分、処理費用は少なくてすむ。それに、「もったいない」に表現されるように、大量に捨てることへの心理的抵抗もある。公取委の排除命令は、後者を支持するものである。

 セブンーイレブン・ジャパンは値引き販売を認めると加盟店間の値引き競争になりかねないと主張しているという。しかし、コンビニで働いた人が廃棄量の多さに驚くように、大量生産ー大量消費ー大量廃棄のビジネスは資源・環境問題の深刻さを考えるともはや許されない。そういう時代認識がセブンーイレブン・ジャパンには欠けているらしい。

 余談だが、食品廃棄物を農業でたい肥などとして使って、できた野菜などを自社のレストランで使うというのを自慢するレストラン、ホテルなどがある。これなども、そもそも廃棄物を出さないというくらいの工夫をしているかといえば、疑わしい。3R(Reduce、Reuse、Recycle)が示すように、まずReduce(排出削減)が第一に求められるのである。

 個人的にはコンビニを利用することは皆無に等しい。それはそれとして、コンビニは便利さの象徴とも言うべき存在である。だが、気になることもある。かつては朝7時から夜11時まで営業していたのが、いまでは24時間営業だ。深夜の利用者も少なくはない。しかし、深夜も続けて営業することへの疑問も京都から提起されている。社会にとってプラスだけでなく、マイナスもいろいろあるからだ。

 現代の先進国は、商品・サービス・エネルギーの大量消費や利便性などを追い求める成長優先の発想から、生活の質、ワークライフバランス、省エネ・省資源、環境保全などを重視する方向へ転換しつつある。そういう時代の流れを踏まえれば、コンビニ業界としても、利便性を強調するだけでなく、時代に即した社会的、経済的な責任は何かという視点でビジネスのありかたを根本から見直すべきではないかと思う。

 セブンーイレブン・ジャパンはコンビニの経済性をとことん突き詰めた点ですごいが、未来志向でCSRを深く追求することが望まれる。

  

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2009年6月20日 (土)

世界初の「温暖化ガス時計」がNYに

 地球温暖化を引き起こす温室効果ガスが大気中にどれだけあるか、そして、それが時々刻々どれだけ増えているか。人の目には見えない、この温室効果ガス(ストック)の現在値をデジタルカウンターで表示する掲示板が18日、ニューヨークの街中、33丁目7番街に登場した。

 20mを超す大きな縦長の掲示板には、「Know The Number」(数値を知ろう)と書かれ、CO2に換算した温室効果ガスの現在値が示されている。3兆6421億‥‥トンという数値が読める。いま見ると、1秒間に約800トン増えている。

 設置したのは、ドイツ銀行グループの資産運用会社であるドイチェ・アセット・マネジメント社(DeAM)。人はCO2のような、目に見えない温室効果ガスは意識しない。しかし、数値で見える化することで、気候変動問題に関心を持ってもらい、人々が排出削減に努めるようになってもらいたいというのが目的という。資産運用会社は排出権取引にも関わるので、PRのねらいもあるだろう。

 この世界初の「温暖化ガス時計」のカウンターはネットでも見ることができる。(www.know-the-number.com)

  このブログで紹介したことがある「借金時計」と違い、この「温暖化ガス時計」の絶対値を見ても、一般大衆はその大きさの意味がピンとは来ないだろう。ただ、大気の中の温室効果ガスの量がいかに急速に増大しているか、は実感するのではないか。

 地球温暖化など気候変動の影響を抑えるには、京都議定書のような政府間の取り決めだけでなく、さまざまな主体がそれぞれ自分の知恵と工夫で温暖化防止などの対策に取り組むことが求められている。日本の企業にも、ドイツ銀行グループのように独自の取り組みを行う企業が出てくることが望まれる。日本の政府も企業も、目先の温暖化対策にすら消極的な姿勢を示すようでは、環境立国などと広言するのはおこがましい。

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2009年6月18日 (木)

党首討論での財源をめぐる相違点

 17日、国会で行われた麻生首相と鳩山民主党代表との党首討論では、社会保障費などの増大を賄うのに、財源をどこから見つけ出すかで意見が分かれた。首相は3年後、経済が好転した段階で消費税を含む税制の抜本改革を行うと述べた。社会保障費をきちんと確保するには、消費税増税が避けて通れないと、かねての主張を繰り返した。

 これに対し、鳩山氏は、民主党が政権を握ったら、まず無駄を徹底的になくすという方向からスタートしたい、と述べ、20兆円ぐらいを新しい政策の予算として計上したいと語った。また、政権をとっても4年間は消費税増税をしないと明言した。これもかねての民主党の主張である。

 一般会計と特別会計とを連結すると210兆円になる。鳩山氏は、そのうち、公共事業、施設費、人件費、補助金を合わせると70兆円になるとし、このうち、随意契約の見直しとか、不用不急のものを後に回すとかすれば10兆円程度減らせると主張した。つまり、それだけ、新たな財源が生み出せるというわけである。

 しかし、麻生首相は、210兆円の話からいきなり20兆円も新たに使える財源を生み出せるというような話は現実味を欠いていると鳩山氏を批判した。

 20兆円を新たな政策の予算に計上するには、新規に国債を増発するか、既存の歳出を削減する必要がある。鳩山代表の説明だと、10兆円は捻出できるとしても、あと10兆円をどうやってひねりだすかが明らかでない。そこを十分に説明してもらいたかった。

 一般に、国家予算というと、一般会計だけを論じることが多い。しかし、特別会計を合わせた連結ベースで予算・財源を議論すべきであり、その点で、鳩山代表の考え方は正しい。特別会計は一般会計よりも規模が大きいのに、縦割り的に各省庁の官僚がかなり裁量的に利用しており、いまだに実態が明らかにされていない“伏魔殿”である。独立行政法人とか特殊法人などが多額の国費を浪費している可能性が高い。天下りもそれとつながっている。民主党がそこにしっかりとメスを入れることができれば、“埋蔵金”のような財源、それもフローとしての財源を発掘することは十分期待できるだろう。

 官僚が明らかにしたがらない特別会計の実態を白日のもとにさらすことが可能なのは、問題意識のない自民党に代わって民主党が政権の座に就くことである。しかし、それで国民が望む財政の健全化を達成できるかどうかは、政権党としての民主党の能力・実力にかかってくる。そこがもっとも懸念されるところだ。

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