2018年10月16日 (火)

財政拡大一本槍の安倍政権

 大地震や巨大台風などにより、被害をこうむった国土や国民の暮らし。そこに救いの手を差しのべるのは政治の役割であり、安倍政権は積極的に取り組んでいる。補正予算を組むのはその意味で当然だと思う。

 しかし、来年10月の消費税引き上げによる消費落ち込みなどの経済的な”悪影響”を抑えるために、飲食料品などの増税を控えたり、自動車などの大型消費財への課税を減らすといった景気対策を実施しようとしている。これはいかがなものか。

 前回の消費税引き上げ時と違って、今回は増税幅が2%と少ない。それに、社会保障制度への財政投入は増えるがままだ。赤字国債の大量発行と発行残高の増大により、国家財政は先進国の中で群を抜いて極度に悪化している。このように、放漫財政はまだまだ続きそうだ。

 したがって、本来、やるべきは、国家財政をとことん洗い直して、甘い歳出をカットすることである。それも幅広く、大規模にだ。さすれば、国債発行残高は減少のトレンドに戻れよう。

 歳出削減は与党のみならず、野党も取り組みたがらない。安倍政権がさらに3年もの間、続けば、ゆるふん財政はまだまだ続きかねず、それは日本経済の凋落を早めそうな気がする。財政悪化を軽く見ている現政権が続くと、財政破綻のリスクがより高まる。

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2018年10月 9日 (火)

ドル不足 調達金利UPが気になる

 10月8日付け日本経済新聞朝刊の一面トップは、「ドル不足 調達金利上昇」という見出しの記事である。脇見出しは、「邦銀、10年ぶり水準」、「米利上げ・新興国不安」とある。

 米国の利上げと新興国の経済政治不安で世界的にドルに対する需要が高まり、米以外の国のドル調達がしにくくなっている、というのが背景ということらしい。

 気になるのは、日本の銀行の海外融資や日本企業の輸入資金などに充てるドルの確保が難しくなって、ドル調達金利が上昇したり、円安で日本の国内物価が上がること、関連して株価水準が大きく下がること、などである。極端な低金利を背景とする世界各国のバブル的な経済の崩壊も心配だ。

 日本では、安倍内閣の継続で、極端な低金利、膨張一本鎗の財政運営が続いている。それが世界経済の変動によって大きく修正を迫られる可能性は少なくない。

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2018年9月15日 (土)

東京・日比谷界隈を歩いて

 ドキュメンタリー映画「タリナイ」の試写会に行った。第二次大戦で日本が世界各地で行なった非人間的な戦争行為が新たに判明したという感想を抱いた。戦争の”記憶”として、伝え残すべきものである。

 マーシャル諸島といっても、いまの日本人はほとんど知らないだろう。そういう自分も同様。太平洋のそんなところにも、昔の日本軍は、対アメリカ戦を想定して軍隊を送っていたのである。そして、武器弾薬も食料も供給が断たれ、派遣された軍隊は多くが餓死したようだ。

 そうして見捨てられ、餓死した兵隊の中に、日記を書いていた兵士がいて、戦後、遺族にその日記が届いた。74歳になった息子は父のいた島に行って、島の人々と交流しつつ、父の弔いをする。ドキュメンタリーは、戦争の記憶が残っているこの島を息子がめぐるさまざまな場面を通じて、旧日本軍が犯した戦争犯罪の実相を明らかにする。

 いまの日本の政治は、太平洋戦争や広島・長崎の原爆投下などを忘れたかのように、憲法改定論議などをしている。いまだに、多くの日本人兵士の遺骨がかつての戦地に残されたままである。沖縄を含め、戦争と平和をめぐる問題は、いまも今日的な課題である。

 夜、試写会を終えて、新橋に向かって歩いていたら、大きなビルの工事現場にさしかかった。現場の蔽いに、明るい表示で「今週の作業予定」とあった。

 それには、予定のほかに「Today’s Work Tomorrow’s Heritage」と書かれ、「子どもたちに誇れる仕事を」と付記されていた。大手建設会社の現場であるが、初めて見た。その心は何か、訊ねてみたいと思った。

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2018年8月28日 (火)

役所の本質をあらわにした障害者雇用水増し

 障害者の働く場を増やそうと、国、地方自治体、企業は、法定雇用率以上の障害者を雇う義務があるが、28日、中央省庁の大半が雇用数を水増しし報告していたことが明らかになった。政府(厚生労働省)は、民間企業に対しては、法定数以上、障害者を雇用しているか、障害者手帳などで厳しくチェックしているのに、肝心の中央省庁は障害者の雇用を法定よりはるかに少なく抑えていたのである。そして「遺憾であります」と言うだけ。国民はしらける。

 障害者を雇用したくないという官庁のエゴが露骨に示されたと言っていい。医療、介護、年金などの社会保障、弱者支援などを持続可能なものにすることが政治に課せられた課題なのに、目先の政権維持策しか眼中にない安倍政権のもとでは、官僚たちも公正、透明性などを軽んじるようになっているのだろう。

 この夏、水害、猛暑による山火事、などによる災害が日本だけでなく、世界各地を襲った。マイクロ・プラスチックが世界の海に広がり、魚資源の生存を危うくしていることも明らかになった。こうした地球規模の深刻な事態に対し、日本の政治リーダーたちはほとんど反応しない。イラン、トルコなどに対する米国の居丈高な姿勢や、米中の貿易対立など、さまざまな国家間対立を見ていると、人類の将来に懸念を抱くのも不思議ではない。

 目下、自民党の内輪の権力抗争でもっぱらだが、日本を取り巻く危機は国会・行政がのんびりしていることを許さない。でも、日本の野党には全く危機感がない。

 

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2018年7月31日 (火)

「財政再建なくして成長なし」に120%賛同

 7月31日の日本経済新聞朝刊コラム「大樹小機」は、「財政再建が困難な理由」と題して、現在の安倍政権の重大な誤りを指摘している。目先のことにとらわれ、将来世代への負担を先送りしていること、そして、根強い成長信仰。要するに、財政の危機は他人事なのである。

 では、どうすべきか。あるべき社会保障体制と財政再建の調和を図ることだ、と理解する。コラムは結論として、「財政再建なくして成長なし」と断定している。

 トランプ大統領の米国や中進国など、世界的に強引な目先の権力政治が幅をきかせる傾向がうかがえる。日本も例外ではない。民主主義が精彩を欠いている時代に入った。したがって、財政再建は重要な政治課題でなくなってきている。したがって、「大樹小機」のコラムは、危機の時代への警鐘でもある。

 

 

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2018年7月 8日 (日)

財政危機に関して注目したい記事

 7月5日付け日本経済新聞夕刊のコラム「十字路」で、五十嵐敬喜三菱UFJリサーチ&コンサルティング研究理事が「国債は資産でもあるという誤解」と題する原稿を書いている。その中で、大量の国債発行残高は景気浮揚の役割を終えた残骸みたいなもので、この残骸処理の過程で景気は必然的に悪くなると指摘している。

 日本は大量の国債を発行し、その残高が膨れ上がってきて財政改革の中心課題になっている。しかし、国債は国民の負債である半面、国債を購入し保有する国民の資産でもあるから、差し引きチャラ。償還について深刻に考えることはない、という説を唱える学者・エコノミストがいる。しかし、そうだろうか、というのが五十嵐氏のコラムだ。

 国債の発行から償還までのプロセスは時間差があって、「発行、購入、歳出は景気を浮揚させるが、徴税、償還は景気を悪化させる」。つまり、国債発行残高1千兆円は、景気浮揚の役割を終えた「残骸」みたいなもので、この残骸を処理する過程で景気は必然的に悪化すると述べる。

 日本の財政は、国債残高の大半が日本国内で保有されているから、外国に多く保有されるイタリアなどとは違う、財政破綻云々は心配のし過ぎ、という指摘もされる。しかし、海外との金融、貿易の取り引きはドル決済を介するので、海外への資本逃避(円売りドル買い)によって、円の暴落や、激しい国内インフレを引き起こすことが考えられる。安倍政権がまじめに財政再建に取り組む可能性は低いが、それだけに、財政破綻の起きる危険性は大きいと思われる。

 ところで、経済同友会が5月にまとめた「2045年までの長期財政試算を踏まえて」という「新たな財政健全化計画に関する提言」は政治的な配慮をあまりしない試算なので、目を通す価値がある。それによると、2045年度までの基礎的財政収支を黒字維持するために必要な消費税率は、全要素生産性(TFP)上昇率平均1.1%のベースシナリオで最低17%としている。

 安倍政権は日銀とのタッグで目先の景気回復に力を入れてきた。しかし、いずれ、安倍政権も終わる。ばらまき政治に決別せねばならない時期が近いことを覚悟し、政官界は財政改革に踏み出す準備が必要である。

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2018年6月25日 (月)

安倍長期政権下のひずみ

 25日の日本経済新聞朝刊を読むと、世論調査(日経とテレビ東京とで実施)で安倍内閣の支持率が52%と、5月下旬の42%より10ポイント上がったという。不支持率のほうは53%から42%に下がったとしている。そして、その理由として「安倍首相の外交手腕に期待が高まったとみられる」としている。

 ところが、その記事の横にある新連載企画「政と官 ゆがむ統治」①は大見出しで「強さ増す官邸 忖度の引き金」と記し、その下に「政策決定見えにくく」と指摘している。長期政権のもと、政策の決定過程がブラックボックス化していると竹中治堅政策研究大学院大学教授は言う。世論調査をどう受け止めるのがいいのだろう。

 朝日新聞の24日の朝刊の「平成落首考」(川柳選者の西木空人氏)は、安倍政権が言葉をもてあそぶことにたけていると指摘。国会答弁などで、「歴史的使命」とか、「働き方改革」などの気恥ずかしいような言葉を次々に繰り出して、政治に対する国民の希望に背いているとみる。安倍首相が内政をおろそかにし、海外にやたら出かけるのを「ウミ(膿)出さず海の外にはすぐに出る」と揶揄した川柳も紹介している。本音ベースの川柳はおもしろい。

 沖縄では23日に日米戦争末期の沖縄戦の犠牲者を悼む「慰霊の日」を迎えた。式典に出席した安倍首相は挨拶の中で、米軍基地集中による大きな負担をいまも担う沖縄の現状を何としても変えていかねば、と言い、「できることはすべて行う」と基地負担軽減に全力を尽くす旨語った。言やよし。だが、「できることはすべて行う」というのは、沖縄の負担軽減を優先するという意味か、米軍などの利益を優先する中でのできることに限られるのか。後者なら現状維持だ。

 地元の翁長沖縄県知事は、日本政府が民意を顧みず工事を進めている辺野古新基地建設計画に対し、見直すよう求めている。安倍首相は、日米地位協定の改定をはじめ、沖縄県民および日本国民の真の利益は何か、を突き詰めて考えてみるべきだろう。トランプ米大統領のお友達はいいとして、言いなりの操り人形であっては困る。

 安倍首相は、自民党総裁選で勝って、さらに長期政権を保持しようと野心を燃やしているようだ。まともな国会審議のないまま、多数で押し切る政治手法は、世の中の雰囲気を荒れさせる。最近のさまざまな殺人事件頻発は、国内政治のこうした抑圧のもと、国民の鬱屈した気分が噴出し始めた現われかとも思わないでもない。 

 

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2018年6月10日 (日)

記録映画「ワンダーランド北朝鮮」を試写会で見た

 北朝鮮の核・ミサイルの廃棄をめぐる米国と北朝鮮のトップ会談が12日にシンガポールで開催される。それを間近に控え、北朝鮮の人々の暮らしぶりを写した記録映画「ワンダーランド北朝鮮」(2016年)の試写会があった。

 「これはプロパガンダか?」「それとも現実(リアリティ)か」と配布パンフレットに大きな見出しがあり、「あなたの知らないもう一つの北朝鮮」という見出しもある。韓国出身のチョ・ソンヒョン監督(女性)は韓国籍を放棄し、ドイツのパスポートで北朝鮮に入獄し、取材・撮影をしたという。

 北朝鮮での取材・撮影は検閲がつきっきりだ。それでも、同胞として受け入れられたチョ監督は「最高指導者への特別な感情を抱く普段着の表情の人々と交流し、意外と普通だが、予想外の北朝鮮の素顔を発見していく」(パンフレットより)。

 映画に登場する北朝鮮の人たちの仕事や生活は、日本人の私から見て、あまり違和感を抱くことはない。自然エネルギーを有効に活用する家庭を見ると、いまの日本のエネルギー浪費に気付かされたりする。そして、北朝鮮の人々の暮らしや仕事ぶりが、ちょっと前までの日本と大きくは違わないことに思い至る。

 映像はもっぱらピョンヤンなどの大都市や大きな共同農場に限定されている。貧しくて生活苦にあえぐような地域の映像は見ることができない。それでも、北朝鮮を毛嫌いすることなく、アジアの仲間として受け入れる時期がいずれ来ると心の備えをしておくべきだろう。そんなことを思ったりした。

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2018年6月 9日 (土)

「世界報道写真展」で知る危機の様相

 東京・恵比寿の東京都写真美術館で9日から始まった「世界報道写真展」に行ってきた。混んではいなかったが、若い人たちが多かった。

 ベネズエラで大統領に対する抗議デモに参加していた男が、警察機動隊と衝突した際に、着衣に引火し、激しい炎に包まれた。その写真が会場に入ってすぐのところに展示されていた。赤い炎が男の身体を焼きつくしそうなすさまじい光景である。

 ミャンマーの少数派イスラム教徒ロヒンギャの逃避行、イスラム国をめぐる戦いの跡etc、世界のあちこちで紛争や内戦が起きていることを展示で再認識する。また、ロシアの経済が落ち込んで、300万人もの女性が食うために展示写真のようなセックス・ワーカーになっているという説明もある。。

 世界の主要都市で廃棄物がどのように処理・処分されているかを示す組写真の説明を読むと、世界全体で排出される固形廃棄物は1日あたり350万トン。100年前の10倍に増えているという。そして、2050年までに海洋にただようプラスチック廃棄物は、重量換算で魚の全体を超えるという世界経済フォーラムの予測を引用している。

 また、アマゾン川流域の熱帯雨林の急速な破壊の写真を見ると、地球温暖化を引き起こす二酸化炭素の巨大な吸収源が消滅の危機に直面していることがわかる。

 南アのミナミシロサイなど、希少な動物を保護・保存する政府などの努力も世界のあちこちで行われていると知る。

 写真展は、「スポーツ」、「自然」などの部もあり、ほほえましい展示写真もある。しかし、世界で起きている深刻な事象をこのように並べられると、私たち人類が直面している課題を再認識し、その解決のために、皆、真剣に努力せねばならない、と思う。

 ところで、写真展での写真の説明は、文字が小さくて、読み取るのに苦労した。どうして、こんなことが……。

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2018年5月31日 (木)

石牟礼道子『魂の秘境から』を読んで

 水俣病で知られる熊本県水俣市に昨年、行ったことがある。不知火海に面し、海の幸、山の幸に恵まれた地域なのに、公害の水俣病に苦しんできたところだ。その水俣が広く知られるようになった一つの要因が石牟礼道子さんの著書『苦海浄土』である。

 石牟礼さんはことしの二月に亡くなったが、四月に『魂の秘境から』が出版された。また、三月には、米本浩二著『評伝 石牟礼道子――渚に立つひと』が出版された。米本さんは新聞記者で、石牟礼さんがどんな人だったかをインタビューを積み重ねて浮き彫りにしようと試みてきた。

 このうち、5月中に読み終えたのが『魂の秘境から』だ。どの文も、水俣の自然環境である海と人々の暮らしなどの今昔を描いていて、巧みな表現に引き込まれる。その中で、特に一カ所だけ、ここに引用したいところがある。「原初の渚」からだ。

 『海が汚染されるということは、環境問題にとどまるものではない。それは太古からの命が  連なるところ、数限りない生類と同化したご先祖さまの魂のよりどころが破壊されるということであり、わたしたちの魂が還りゆくところを失うということである。

  水俣病の患者さんたちはそのことを身をもって、言葉を尽くして訴えた。だが、「言葉と文字とは、生命を売買する契約のためにある」と言わんばかりの近代企業とは、絶望的にすれ違ったのである。』

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