2018年12月 9日 (日)

「エコプロ2018」を見て回った

 毎年、いまごろになると、東京ビッグサイトでエコプロダクツ展(ことしは「エコプロ2018」という名称)が開催される。今年は12月6~8日にビッグサイトの東1ホールから6ホールまでと広く展示されていた。

 過去、十回以上、展示を見に訪れた。ことしは、産業革命前からの気温上昇を2℃未満に抑えるというパリ協定で定めた目標を実施するため、世界が具体的なルールづくりに取り組む年なので、エコプロ展もそれに対応して、目新しい展示があるかと期待した。しかし、環境経営の紹介のほかには、目立ったものはなかった。見落としたかもしれないが。

 ことしは「社会インフラテック」というくくり方で道路、橋梁などのインフラを維持するための技術に焦点を当てた展示が設けられた。これを”エコプロ”という範疇でとらえるのはどうか、とも思うが、目新しいので訪問者にはおもしろかったのではないか。

 エコプロが始まって間もない頃は、自動車、電子・電機、電力、石油、鉄鋼、製紙、化学などの大企業が競うように出展した。なじみのある製品が展示されていたので、見て回るのも楽しかった。しかし、今回は、もう何年も前からそうであったように、技術に特化した展示など、しろうとにはよくわからないものが多かった。

 本来、個人的に関心の高い技術、製品・サービスの展示を中心に見て回るのが楽しいし、勉強になる。とはいえ、そのためには会場を丹念に見て歩く必要がある。そして、知らないものに出会って新たな知識を得る。そういう点から、やはり、あっちこっちと細かく見て回る必要がある。結局は、足を棒にして見て回るしかない。今年も、そうだった。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

アフロヘア、稲垣えみ子の著書『魂の退社』、『寂しい生活』の透徹

 アフロヘアの新聞記者として知られた稲垣えみ子さんが、福島原発の事故と節電を真正面から受け止め、電気の利用をはじめとして、皆が当たり前に思っている現代文明や消費生活など、暮らしの根本のありかたを問い続け、自ら、答を実践するーーその思索と行動のプロセスを書いた著作を2冊読んだ。

 仕事柄、文章はこなれ、自身の思考と実践の過程をわかりやすく読ませる。が、その突き詰める思索と実践の循環は、求道の宗教者の生き方のようにも思われる。混迷の世界を根底から理解するうえでも、2冊の本は少なからず示唆を与える。

 稲垣氏の文章を一カ所だけ紹介したい。

 家電を例に、「モノは結局のところ人を救うことはできないのではないでしょうか。消費社会とは、モノを売ったり買ったりすることができる健康で強い人たちのサークル活動です。それは一方で、本当に救いを求めている人たちをはじき出していく会員制クラブに成り果てている。だから、みんなはじき出されまいと必死です。いつまでも若く健康で老いることなくポックリ死にたいと切ないばかりに誰もが願っている。でもそんなこと無理ですよ。……だから誰もが恐怖の淵を怯えながら生きています。」

 「これが戦後、懸命に働いて経済成長を成し遂げた日本の姿だったのか。」

 著者は「私たちは便利になったと喜んでいる一方で、もしかすると、「生きる」ということを少しずつ手放しているんじゃないか?」と、現代を総括している。

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年12月 7日 (金)

教員の長時間労働をどうやって減らすか

 政府の中央教育審議会では、教員の長時間労働解消などの対策について特別部会の答申素案が12月6日に示された(同日の朝日新聞夕刊による)。時間外労働の上限を原則、月に45時間、年に360時間以内にするガイドラインを設けるなど、教員の長時間労働を減らす方策をいくつか提示しているようだ。

 しかし、家族・親戚に小学校教員がいて、働いている実態を見聞きしている者からすると、少し違う観点から、長時間労働減らしを考えてほしいと思う。

 私の住む都内の近隣の小学校では、運動会、学芸会や授業参観などで、ちょくちょく学校に父母たちに来てもらう機会をつくっている。研究授業など、教員の研鑽に資する会合もある。また、地域の催しなどにも教員が関わることがある。それらにまじめに取り組むと、日々の授業の下準備を終えるのが遅くなる。また、毎学期末にかけて、生徒一人一人の通知表を書かねばならない。親からクレームがつき、家庭を訪問せざるをえないこともある。

 このように、教員は忙しすぎる。子どもと触れ合う教師の仕事を楽しんでいる人は、忙しさを苦痛と思わないが、人によっては、あれもこれもと追いまくられて、精神的にゆとりを持てないことはありうる。 

 ではどうすべきか。教員の数を増やすのは現実離れしている。少子化の流れを踏まえれば、一クラスの生徒数を増やし、それによって浮いた無担任の教員(ベテランが適切)がクラス担任の週一日なりの休みのピンチヒッター役を務める。そうしたやりくりが必要ではないか。

 また、教員でなくてもできる業務は、事務員やボランティアに任せることが望ましい。高齢化に伴い、地域で役に立ちたい高齢者は多いと思われる。学校を地域に開放するのと合わせて、ボランティアに学校関連の業務で手伝ってもらうことも考えていいのではないか。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年11月23日 (金)

ゴーン氏の事件で思うこと

 日産自動車の再建に大きな功績のあったカルロス・ゴーン氏が金融商品取引法違反の疑いで逮捕された事件。いろいろ思い出したり、考えさせられたりすることがある。

 日産が経営不振でルノーに助けを求めたとき、当時の日産トップは、その理由をこう語っていたーー「再建には、長年、日産で一緒に仕事をしてきた人たちを大量に切る必要がある。しかし、生え抜きばかりの日産の役員や経営幹部は彼らとしがらみがあるため、心情的に踏み切ることができない。そこで、しがらみのない人に経営トップとして来てもらい、合理化を進めてもらう」ーーと。日産がトップとして指名し、ルノーが派遣を認めたゴーン氏は、見事にその役割を果たし、日産を再生した。

 しかし、日産の再建が進み、ルノーとの連携が成功したのはよいが、ゴーン氏が両社(のちに三菱自動車が加わる)およびフランス政府に対しても強い発言力を持つに至り、三社に対するワンマン経営の色彩が強くなった。そして、ゴーン氏の長期政権化に対するチェック体制が不十分なまま、今日に至っている。

 一方、日産のほうがルノーよりも規模・競争力が強くなっている。このため、フランス政府およびルノーは、日産株式の高い保有率を武器に、日産を子会社化しようとする可能性もうかがえる。ゴーン氏逮捕は、日産の生え抜き社員の自立意識が噴き出したからかもしれない。

 ゴーン氏の役員報酬をめぐる金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)は、さまざまな面から注目される。

 ゴーン氏は、自分の能力・経営実績に見合う報酬を得るのは当たり前と思っているらしい。日産のトップとしての報酬は、日本人が日本の企業で手にする報酬とはかけ離れて大きいが、それはグローバルに見れば、当然の金額だと受け止めていたのだろう。ただ、日本国内では、役員報酬が図抜けて多いことは、とかく否定的な目で見られがちなので、公表データでは目立たない数値に押さえておこうということだったのではないか。

 日本企業は21世紀に入ってから、外国人を役員に迎えるようになった。しかし、日本人の社長よりも外国人の常務などのほうが報酬が高いというような、奇妙な現象がみられる。ゴーン氏が高い報酬を手にし、それが黙認されたのも同様な流れである。

 さはさりながら、米欧などで巨大な企業の経営者の報酬がベラボーに高いことをまともだと受け止めることはむずかしい。極端に貧しい国や地域がたくさんあり、そこに富者から救いの手を差し伸べることは絶対に必要である。豊かな人たちから貧しい人たちへ富がシフトし、貧富の格差を縮めることは、世界の豊かな国や住民の義務である。ゴーン氏がカネ、カネ、カネの狭い意識から脱して、新たな使命を目指したら幸いである。

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年10月31日 (水)

徴用工の最高裁判決と西欧の植民地主義とを比較考察する

 太平洋戦争中の日本企業が朝鮮半島の朝鮮人を日本の工場に動員したとして、元徴用工が日本企業の新日鉄住金に損害賠償を求めた裁判で、韓国の最高裁は個人の請求権を認める控訴審判決を支持した。日韓両政府とも、これまで1965年の日韓の請求権協定により解決済みという立場をとってきたが、強制動員への慰謝料は、政府間協定の対象外という最終的判決が韓国側で出たわけである。

 日韓両政府がこの問題で今後、どのような合意に達することができるか、実に難しい問題だが、世界の植民地支配の歴史を振り返ると、支配者側が、今回のような形で難しい問題を抱えたケースはどれだけあったのだろうか。

 英国、オランダやフランスなどがインドや清国などを支配した歴史など、植民地主義の歴史においては、徴用工動員などと比べものにならないほど、はるかに残虐な行為が行われたとされる。しかし、西欧の植民地支配に対して、今回のように被害者が訴えを起こし、裁判で被害者が勝利するというケースがどれだけあったのだろうか。寡聞にして知らない。

 日本が太平洋戦争で敗北する過程で、ソ連が日本の支配下にあった満洲に侵入した。そして、何万、何十万人という日本の軍人が降伏し、何年も抑留された。彼らはシベリアなどの開発に動員され、極寒の地で、ろくに食べるものもない状態で、大勢が亡くなった。しかし、この残虐な動員について、慰謝料を求める動きはない。生きて帰還できた元軍人たちは、泣き寝入りとも言うべき状況にある。

 世界のこうした歴史を踏まえると、日韓の請求権協定で決着した問題が、ぶり返すというのは、どう理解したらいいのか。両国の関係を正常に保つためには、どうすべきか、考えても答は容易には出てこない。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年10月16日 (火)

財政拡大一本槍の安倍政権

 大地震や巨大台風などにより、被害をこうむった国土や国民の暮らし。そこに救いの手を差しのべるのは政治の役割であり、安倍政権は積極的に取り組んでいる。補正予算を組むのはその意味で当然だと思う。

 しかし、来年10月の消費税引き上げによる消費落ち込みなどの経済的な”悪影響”を抑えるために、飲食料品などの増税を控えたり、自動車などの大型消費財への課税を減らすといった景気対策を実施しようとしている。これはいかがなものか。

 前回の消費税引き上げ時と違って、今回は増税幅が2%と少ない。それに、社会保障制度への財政投入は増えるがままだ。赤字国債の大量発行と発行残高の増大により、国家財政は先進国の中で群を抜いて極度に悪化している。このように、放漫財政はまだまだ続きそうだ。

 したがって、本来、やるべきは、国家財政をとことん洗い直して、甘い歳出をカットすることである。それも幅広く、大規模にだ。さすれば、国債発行残高は減少のトレンドに戻れよう。

 歳出削減は与党のみならず、野党も取り組みたがらない。安倍政権がさらに3年もの間、続けば、ゆるふん財政はまだまだ続きかねず、それは日本経済の凋落を早めそうな気がする。財政悪化を軽く見ている現政権が続くと、財政破綻のリスクがより高まる。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年10月 9日 (火)

ドル不足 調達金利UPが気になる

 10月8日付け日本経済新聞朝刊の一面トップは、「ドル不足 調達金利上昇」という見出しの記事である。脇見出しは、「邦銀、10年ぶり水準」、「米利上げ・新興国不安」とある。

 米国の利上げと新興国の経済政治不安で世界的にドルに対する需要が高まり、米以外の国のドル調達がしにくくなっている、というのが背景ということらしい。

 気になるのは、日本の銀行の海外融資や日本企業の輸入資金などに充てるドルの確保が難しくなって、ドル調達金利が上昇したり、円安で日本の国内物価が上がること、関連して株価水準が大きく下がること、などである。極端な低金利を背景とする世界各国のバブル的な経済の崩壊も心配だ。

 日本では、安倍内閣の継続で、極端な低金利、膨張一本鎗の財政運営が続いている。それが世界経済の変動によって大きく修正を迫られる可能性は少なくない。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年9月15日 (土)

東京・日比谷界隈を歩いて

 ドキュメンタリー映画「タリナイ」の試写会に行った。第二次大戦で日本が世界各地で行なった非人間的な戦争行為が新たに判明したという感想を抱いた。戦争の”記憶”として、伝え残すべきものである。

 マーシャル諸島といっても、いまの日本人はほとんど知らないだろう。そういう自分も同様。太平洋のそんなところにも、昔の日本軍は、対アメリカ戦を想定して軍隊を送っていたのである。そして、武器弾薬も食料も供給が断たれ、派遣された軍隊は多くが餓死したようだ。

 そうして見捨てられ、餓死した兵隊の中に、日記を書いていた兵士がいて、戦後、遺族にその日記が届いた。74歳になった息子は父のいた島に行って、島の人々と交流しつつ、父の弔いをする。ドキュメンタリーは、戦争の記憶が残っているこの島を息子がめぐるさまざまな場面を通じて、旧日本軍が犯した戦争犯罪の実相を明らかにする。

 いまの日本の政治は、太平洋戦争や広島・長崎の原爆投下などを忘れたかのように、憲法改定論議などをしている。いまだに、多くの日本人兵士の遺骨がかつての戦地に残されたままである。沖縄を含め、戦争と平和をめぐる問題は、いまも今日的な課題である。

 夜、試写会を終えて、新橋に向かって歩いていたら、大きなビルの工事現場にさしかかった。現場の蔽いに、明るい表示で「今週の作業予定」とあった。

 それには、予定のほかに「Today’s Work Tomorrow’s Heritage」と書かれ、「子どもたちに誇れる仕事を」と付記されていた。大手建設会社の現場であるが、初めて見た。その心は何か、訊ねてみたいと思った。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年8月28日 (火)

役所の本質をあらわにした障害者雇用水増し

 障害者の働く場を増やそうと、国、地方自治体、企業は、法定雇用率以上の障害者を雇う義務があるが、28日、中央省庁の大半が雇用数を水増しし報告していたことが明らかになった。政府(厚生労働省)は、民間企業に対しては、法定数以上、障害者を雇用しているか、障害者手帳などで厳しくチェックしているのに、肝心の中央省庁は障害者の雇用を法定よりはるかに少なく抑えていたのである。そして「遺憾であります」と言うだけ。国民はしらける。

 障害者を雇用したくないという官庁のエゴが露骨に示されたと言っていい。医療、介護、年金などの社会保障、弱者支援などを持続可能なものにすることが政治に課せられた課題なのに、目先の政権維持策しか眼中にない安倍政権のもとでは、官僚たちも公正、透明性などを軽んじるようになっているのだろう。

 この夏、水害、猛暑による山火事、などによる災害が日本だけでなく、世界各地を襲った。マイクロ・プラスチックが世界の海に広がり、魚資源の生存を危うくしていることも明らかになった。こうした地球規模の深刻な事態に対し、日本の政治リーダーたちはほとんど反応しない。イラン、トルコなどに対する米国の居丈高な姿勢や、米中の貿易対立など、さまざまな国家間対立を見ていると、人類の将来に懸念を抱くのも不思議ではない。

 目下、自民党の内輪の権力抗争でもっぱらだが、日本を取り巻く危機は国会・行政がのんびりしていることを許さない。でも、日本の野党には全く危機感がない。

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年7月31日 (火)

「財政再建なくして成長なし」に120%賛同

 7月31日の日本経済新聞朝刊コラム「大樹小機」は、「財政再建が困難な理由」と題して、現在の安倍政権の重大な誤りを指摘している。目先のことにとらわれ、将来世代への負担を先送りしていること、そして、根強い成長信仰。要するに、財政の危機は他人事なのである。

 では、どうすべきか。あるべき社会保障体制と財政再建の調和を図ることだ、と理解する。コラムは結論として、「財政再建なくして成長なし」と断定している。

 トランプ大統領の米国や中進国など、世界的に強引な目先の権力政治が幅をきかせる傾向がうかがえる。日本も例外ではない。民主主義が精彩を欠いている時代に入った。したがって、財政再建は重要な政治課題でなくなってきている。したがって、「大樹小機」のコラムは、危機の時代への警鐘でもある。

 

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

«財政危機に関して注目したい記事