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2006年8月21日 (月)

拉致と日本外交

 小泉首相が電撃的に北朝鮮を訪れ、拉致被害者の一部の帰国が実現するあたりまで、日本の外務省も、与・野党の政治家も、拉致被害者を帰すよう、まともに北朝鮮と交渉したことはなかったようだ。

 重村智計著『外交敗北―日朝首脳会談と日米同盟の真実』(06年6月刊)を読むと、日本の政治家も官僚も、国民の生命や安全といった基本的人権を守るよりも、自分たちの利権、権益を優先し、北朝鮮および朝鮮総連にすりより、あるいは振り回されてきたことが具体的に示されている。

 日本では長年、与党と野党の間で、国民の目にふれない形で、現金や利権がやりとりされる「国会対策」が行なわれてきた。その延長線上で、国会対策しか知らない政治家によって北朝鮮外交なるものが繰り広げられてきたという。

 その結果、国民の財産がいい加減な形で北朝鮮に提供された。同書によると、「百万トンを超えるコメ支援は取られっぱなしである。このコメは、総額二千億円を超える国民の財産である。国内では、朝鮮総連系の信用組合「朝銀」に一兆円を超える公的資金を出しながら、真の責任者を逮捕しなかった。」

 日本の政治家や官僚は、税金の使い方について、国民に対する説明責任を果たしていない。でたらめな税金の使い方をした場合には、刑罰を受けるといった形で責任をとることがない。予算を立てるときだけ国会審議に時間をかけるが、どう使ったか、その効果はどうだったか、あとでまともに検証することをしない。それが政治家や官僚を堕落させているのである。

 たまたま同書を読んでいる頃に、映画「Dear Pyongyang(ディア・ピョンヤン)」を見た。いわゆる在日で、朝鮮総連の幹部だった父親を中心に家族の情景を、娘であるヤン・ヨンヒ監督が10年間にわたって撮り続けたドキュメンタリーだ。南朝鮮出身でありながら、息子3人を北朝鮮に送った父親は引退後も金日成と金正日に忠誠を誓い続ける。ピョンヤンを訪れ、兄達に会ったりした娘は、ずっと日本で育ったため、父親の考え方に違和感を抱いている。しかし、家族のつながりはあたたかい。

 ベルリン国際映画祭で最優秀アジア映画賞を受賞するなど、世界各地で受賞している作品である。頑固な父親のキャラクターは観客を笑わせる。上映の前に、ヤン・ヨンヒ監督は「笑ってください」と挨拶していたが、楽しく、またホロリともする作品である。

 しかし、ピョンヤンにいる息子の子供(つまり孫)の一人(八歳の男の子)が家でピアノを弾いているのにはとっても驚いた。また、息子たちの家族に対し、実にいろいろの援助物資を送っている。それ以外の人達にも援助をしているという。そのおカネは一体どこから出てくるのだろうかという野暮な疑問も生じてきたが、これは『外交敗北』を読んでいたせいだろう。

  

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