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2006年8月25日 (金)

貸金業の上限金利引き下げ問題

 出資法の上限金利は29.2%、利息制限法の上限金利は15-20%。2つの法の違いをなくして低いほうに一本化すべきだという意見が強い。これを受けて、金融庁は有識者懇談会で検討してきた。どうやら、基本は出資法の上限金利を利息制限法の上限金利まで引き下げるが、限定した形で金利の上乗せを認めることで決着しそうな様子だ。

 出資法の上限金利を利息制限法の水準まで下げると、いままで利息制限法を超えた金利で借りていた人たちが借りられなくなり、ヤミ金融に頼るようになるという指摘もある。このため、多重債務を抱えていない人に対する小口の融資に限って上限金利の上乗せを認めようということらしい。

 消費者金融(サラ金)の利用者は、信用情報機関の登録人数が約2千2百万人というように、非常に多い。クレジット(キャッシング)も同様。繁華街や駅周辺ではサラ金の看板・広告がいやというほど目に入る。テレビ・コマーシャルも盛んだ。暴利をむさぼるヤミ金融も急増している。それもこれも、おいしい商売だからだ。

 大手サラ金の資金調達コストは年利2%前後といわれる。それと比較して、いかにサラ金から借りる人たちの支払う金利の高いことか。これは、貸し手の利益率が大きいこともあるが、借りても返済できない人が多いので回収にコストがかかること、それでも、貸し倒れになる割合が高いこと、が背景にある。

 多重債務者は少なくとも150万人から200万人はいるだろうといわれる。いい加減な生活態度から多重債務者になり、自己破産に逃げ込むという人もいるが、大半は非正規雇用で、生活にあえぐ人たちだとされる。カネがないから高利のカネを借り、そのために高い金利をつけての返済に追い込まれ、またサラ金に走るという悪循環。苛酷な取り立てから逃れようと家出や自殺する悲惨な実態がそこにある。

 それを是正するために、上限金利を利息制限法にまで下げようとしているわけだ。しかし、それは評価するとして、それだけでサラ金地獄は解消しない。まず第一に、議論の焦点である上限金利を、いわゆる個人向け市中金利(どれをものさしにするかは大いに議論があるだろう)を基準に、その2倍とか1.5倍というような上限に抑えるべきではないか。歴史的な超低金利の時代から正常な金利の時代に戻ることを考えると、15ー20%という固定の上限はよくない。また、サラ金の大手は3社以上から借りている人には貸さないようにしているというが、そうした制限を業界の自主ルールとするか、法定するのが望ましい。

 普通の金融機関は個人から低い金利で預金を集めるだけ集めるが、個人への貸付金利はベラボーに高い。銀行や地域金融機関は個人向け融資をさぼってきたから、ノウハウも乏しい。そこがサラ金の付け目だった。だが、金融機関は許認可業務であり、信用秩序維持のために公的資金を使ってまで国から面倒を見てもらう。それだけ社会的責任が重い。銀行はじめ金融機関は住宅ローンには熱心だが、それ以外に個人向け融資で、いまよりもっと低い金利で貸せるよう経営努力をすべきだろう。

 地方自治体は住民向け融資には全く無関心だった。しかし、これだけサラ金などの被害が生じているのに、何も手を打たないのはどうかしている。窮地に陥った住民が立ち直ることができれば、「税金を納めるようになるし、社会保険料を納めることができるようになる。地方自治体がそのことに気付いた」(宇都宮健児弁護士)という。そうした自治体の活動が全国的にどんどん広がるのを期待する。

 まだ、ほかにもやるべきことがある。金融庁の有識者懇談会で上限金利の引き下げを議論するだけでなく、他の省庁や地方自治体などが集まる有識者会合で、総合的なサラ金対策をまとめあげてもらいたいものだ。

 それにしても、映画「夜逃げ屋本舗」の第一作を見てから何年経ったのだろうか。対応ののろさにあきれる。

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