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2006年8月26日 (土)

果てしない医療費増加

 国民医療費が増え続けている。厚生労働省が25日に発表した04年度の国民医療費は32.1兆円と過去最高だった。国民1人あたり25.15万円である。高齢者(65歳以上)だと1人あたり65.96万円で、高齢者の医療費総額は国民医療費総額の51.1%を占めた。

 国民医療費というのは、診療費、調剤費、入院時食事療養費、訪問看護療養費、健保等で支給される移送費を合計したもの。妊娠・分娩、健康診断や差額ベッド、歯科差額分などは含んでいない。介護保険費用も含まない。それでも、国民医療費の国民所得比は8.89%にまで上がった。高齢者が増えているのだから、国民医療費が増えるのは当然という見方もできよう。

 だが、国民医療費を増えるがままにまかせる(ということは厚生労働省によると、年間1兆円ずつ増加する)ということは、医療保険制度においては、料率引き上げか、患者の自己負担の割合をさらに引き上げるか、あるいは国が税金を投入するか、のいずれかが必要になる。どれをとっても、国民の負担が重くなることを意味する。したがって、政府は06年度から医療費の伸びをゆるやかにする改革を打ち出している。

 しかし、少子化や財政危機を踏まえると、国民医療費総額の絶対額を減らすことをめざすべきだ。減らすなんて、そんなことは非現実的だという批判を受けることを承知で問題を提起したい。企業経営では、こうした、一見、極端なやりかたが、経営革新を生み出すことがままある。「減らす」ということになると、いまやっていることをゼロ・ベースで見直すことが必要になるのである。

 国民はいまの医療にムダが一杯あるのを知っている。のまないで捨てる薬が多い、医師はろくに患者を診ないで検査ばかりする、ほかの病院に行くと、また同じ検査をする、開業医の多くが高収入で優雅な生活をしている、保険薬局が増えて患者の薬代が高くつき、その割りに医薬分業の意義が定かでない等々。レセプトのオンライン化が原則すべての医療機関に行き渡るのは2011年度と、随分のろい。不正請求を摘発し、標準的な医療費を算出して過大な請求を認めないようにするためにも、レセプトのオンライン化を急ぐべきだ。審議会などのメンバーにそうした国民の声を代弁する人を入れる必要がある。

 医療や年金などについては、厚生族といわれる族議員がいて、厚生労働省と組んでいる。04年3月まで日本医師会会長だった坪井栄孝氏は日本医師会の会員の多くは「報酬が上がればよい」だけだったと回顧している(8月25日付け日本経済新聞夕刊)。開業医の利益中心に運営される医師会は、”医は算術”で動いている。そうした仕組みにメスを入れれば、医療の質の向上と医療費の削減とは両立するのではないか。

 

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» 平成16年度国民医療費、過去最高の32兆円 [Medical Marketing Lab. ]
年代別国民1人あたりの医療費は、確かに高齢者ほど高額になっていますが、高齢者ほど病気にかかる頻度も増えているので、国民1人あたりで見れば、当然、高額になって当たり前です。 [続きを読む]

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