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2006年8月23日 (水)

自民党総裁選の政権公約

 小泉首相の後任を選ぶ自民党総裁選挙は9月8日に公示、9月20日に投票が行なわれる。立候補を表明している5人が22日(日)、横浜市で開催された自民党南関東・北関東ブロック合同大会に勢ぞろいした。自民党の党員による党内選挙なので、党員でない私には、投票権はないし、口を挟む資格もない。でも、自民党総裁=日本国の総理大臣なので、国民の一人として論評したい。

 小泉首相もそうだが、これら立候補者5人の全員がいわゆる2世・3世議員というのはちょっとひどい。たまたま、そうなったにしてもだ。親が築き、保持してきた地盤、看板、カバンを引き継げば、若くても当選しやすい。無論、選挙マシンの人たちも安心して推せるし、マシンで活動する人たちの既得権益も安泰だろう。しかし、それは自民党の古い体質を如実に示しているだけのこと。5人の顔ぶれを見て、自民党員は恥ずかしくないのだろうか。

 政治家は国の将来に対する構想力で勝負すべきだと思う。党内選挙ではあるが、誰が党の総裁=首相になるのかは、来年以降の参院、衆院の選挙にも響く。単に、安倍晋三氏が事前の票読みで圧倒的有利だから、というだけで、党内有力者の多くが尻込みし、立候補しないのは、有力者といえども、党内の勢力争いしか考えていない証拠だ。

 小泉首相は、官僚と組んで既得権益を擁護する「族議員」の力を殺ぐことに努めた。また、郵政民営化にからんで衆議院を解散し、世襲でない議員を大量に生み出した。いずれも小泉首相の功績だ。それだから、志のある議員が集まって、推薦者数の制約を突破して候補者を立ててもらいたい。当選回数などに関係なく、親の七光りに頼らない議員が、すぐれた政権構想を掲げて、「よし、オレが」と、名乗りをあげるなら、自民党を活性化するに違いない。

 候補者のうち、早くからメディアが取り上げてきた候補者3人の政策を見ると、物足りない。いま、最も重要な課題は、環境・生態系保全だろう。人類の生存基盤が危うくなっている。京都議定書の約束を守れるか否かも大事だが、2050年、2100年を見据えて、世界は、日本は、何をしなければならないか、それを安倍氏も、麻生氏も、谷垣氏も語らない。ただし、鳩山氏だけはこの問題をきちんととらえている。

 安全保障体制を日米同盟強化でいくのか、貧しい人と富める人との格差をどうとらえ、どういう是正策をとるかなどの重要な論点についても、安倍氏の憲法改正以外、皆ちょっと言及するだけだ。アジア諸国との共存・発展をどう構想するかもほとんど触れていない。また、さまざまな事件が示すように、日本の社会が殺伐とした人間関係になっているが、そうした荒廃状態をどう改めるかの主張もない。それに、社会保障制度のありかたにせよ、減税・増税にせよ、財政破綻の一歩手前にあるという認識はうかがえない。財政再建については、谷垣氏が消費税を社会保障の財源にすると主張しているぐらい。諸悪の根底にある官僚支配をどう崩すかに関する言及もない。

 残念ながら、有力候補者3氏からは、ポスト小泉の政治について明るい展望が見えてこない。野党に頑張ってもらうことでしか、日本の明日は切り拓けないのかもしれない。民主党はじめ野党各党が与党の足を引っ張る程度から、政権を長期に担えるだけの質的な充実を図ることを切に願う。

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