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2006年8月31日 (木)

各省庁の07年度予算要求

 例年のことながら、暑いさなかに、国の各省庁は来年度予算要求をつくって財務省に提出しなければならない。担当者の皆さん、ご苦労なことです。

 官僚は法律をつくること、予算をとること、天下りポストをつくること等で内部評価される。予算については、財政悪化、財政再建の中でも、自分の役所の予算を前年度に比べて減らさないようにするのに懸命。一方で、安倍官房長官がのたまう「再チャレンジ」などという言葉にひっかけて新たな予算要求を出すなど、すきあらば予算を増やそうとする。

 現在の予算作成は、基本的には、各省の各課から出てくる要求を省としてまとめて財務省に提出する。財務省は前年度予算をもとに、新規の要求を重点的に査定する。だから、一旦、予算が付くと、翌年度以降も継続して予算が付きやすい。政策効果をきちんと比較考量するわけではないから、時代に合わなくなった事業にもカネがつくという傾向がある。

 霞が関の官僚の某氏は「個人的には、こんなことに国がカネを出す必要はないと思うものがある。しかし、いままで付いてきた予算なので、自分のほうから要らないとは絶対に言わない。」と言っていた。官僚に予算要求の中身を任せると、そうなる。官僚の大多数は国全体の立場でものごとを判断するのではなく、自らの省庁、自らの局・課、自らの利益で動いているのである。

 国土交通省の予算要求はその典型。7月7日に政府が決めた「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2006」、いわゆる「骨太の方針」には、「道路特定財源について、行政改革推進法に基づき、一般財源化を図ることを前提に、早急に検討を進め、納税者の理解を得つつ、年内に具体案を取りまとめる。」と書かれている。いまのところ、一般財源化の内容について政治的な決定がなされてはいない。だが、小泉首相が一般財源化を明言し、それを受けて経済財政諮問会議などで議論をしたりしたうえでの「骨太の方針」である。そうした経緯を国土交通省が全く無視して、従来通りの予算要求をしたというのは、戦前の軍部のやりかたを連想させる。

 道路特定財源は06年度予算で5兆7750億円。ガソリン税(2兆9573億円)、軽油引取税(1兆620億円)、自動車重量税(5712億円)、自動車取得税(4742億円)、自動車重量譲与税(3707億円)、地方道路譲与税(3110億円)などから成る。しかも、法律で定めた税率の2倍(ガソリンの場合)とか、暫定的に多く課税した措置のはずが、何十年も続いている。一度握ったら、絶対に離さない。政府によるサギ的行為である。

 もっとも、国民は慣れてしまい、課税の重さそれ自体には怒ってはいないみたいだ。また、土木建設、鉄鋼、セメントなどの業界は、道路工事の仕事を減らしたくないから、暫定税率を本則の税率に引き下げるなんてとんでもないと思っている。道路ができれば、クルマがもっと売れるとソロバン勘定をする自動車業界もしかり。

 特定財源を握る国土交通省は、そうした業界の支持もあり、道路特定財源をいままで通りに道路建設に充てるのが当たり前という発想である。だが、経済社会の状況が様変わりしているのに、税収の使途が同じでいいのか。財政事情から考えても明らかにおかしい。これだけ国の財政が悪化しているのに、特別会計は所管する官庁が税収を好きに使える。言うなれば、「母屋(一般会計)で雑炊を食べているのに、離れ(特別会計)ではすき焼きを食べている」(塩川正十郎元財務大臣)のである。

 国土交通省の道路局で、技官としてずっと道路づくりの仕事に専念してきた人たちには、日本が滅びようとも、道路をつくり続けることのほうが大事なのだろう。しかし、国全体を考えることが使命のはずの事務官の幹部たちは、部分最適の発想に凝り固まる道路屋を説得すべきである。それすらせず、首相の交代で、道路特定財源を守れるのではないかと期待しているような予算要求の出し方は許せない。

 必要な道路はつくらなければならない。例えば、渋滞による経済的損失などを考えると、東京の環状道路の整備は欠かせない。しかし、ろくにクルマが走らないへんぴな地域に高速道路をつくるのは財政支出の必要度合からみて優先度は低い。いま、日本の社会が抱えている課題を解決するために、まず、道路特別会計を廃止し、税収を一般財源に充てるべきだ。そして、一般財源が増えた中で、どんな予算を編成するか(国債減額に充てることも含めて)を国民の目にみえる形で議論し、詰めていくことが求められる。国会の先生がたにそれを徹底的にやってもらいたいのだが‥‥。 

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