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2006年10月25日 (水)

道路特定財源めぐる争い

 道路特定財源の一般財源化をめぐる争いが熱気を帯びてきた。道路特定財源については、このブログの8月31日「各省庁の07年度予算要求」ですでに触れたように、現状維持にはさまざまな問題がある。

 国の内外の情勢が何十年も同じであるはずがない。道路をひたすらつくる必要性があった時代がとっくに終わったことは誰の目にも明らかだ。したがって、ほとんど国会の審議の対象にならず、国土交通省が税収を好きに使える道路整備のための特別会計はそのまま存続すべきではない。まして、暫定税率はやめるべきである。特定財源の存続に熱心な“道路族”議員は、国政全体を考える立場を逸脱しているとしか思えない。

 産業界にもおかしな主張が目立つ。自動車業界はまだまだ道路整備が足りないと言う。しかし、わが田に水を引くとはこのことである。足りないのは道路整備だけだろうか。先進的な環境対策車を開発・販売している自動車業界の経営者なら、クルマがどんどん走り、ガソリンなどをどんどん消費することにつながる道路づくりに疑問を抱いて当然ではないだろうか。

 道路以外に使うなら、その分は減税すべきだと自動車、石油業界は主張している。道路整備に充てる税金に関する法律を廃止するなら、減税になる。自動車、石油業界はそれなら納得するという。しかし、他方で、これまで通りの徴税額にして、一般財源に入れるか、環境保全などの特定財源にするか、という意見の対立もある。

 減税でガソリンなどを値下げしたら、ユーザーは喜ぶが、ガソリンなど燃料の消費量は間違いなく増える。石油業界は販売増加でうれしいだろうが、地球温暖化に拍車をかけるだけだ。果たして、いま、ここで、特別にクルマの所有者や石油業界に恩恵を与える必要性があるだろうか。

 燃費効率が高い日本車がつくられた背景には、ガソリンなどの税金負担が重いという事情があった。日本の自動車産業の競争力を高めた歴史的経緯を考えると、ここで、そうした条件を改める格別の事情があるとは思えない。

 環境保全のための特定財源をという発想は、財布を握って勝手に使う官庁が国土交通省から環境省や農林水産省などに代わるだけ。やはり歪んだ資源配分をし、浪費につながるに違いない。他方、一般財源に入れるというと、どこかに消えてしまうイメージがあるかもしれないが、国税で約3兆5千億円、地方税で約2兆2千億円、合わせて約5兆7千億円というのは、消費税で2%余に相当するほどの巨額だ。道路整備にもある程度のカネは必要だが、税収の大半を国債発行抑制に振り向ければ、財政再建に一歩を踏み出せる。これを“国債抑制特定財源”とでも名付けたらいいのか。そうした発想がいま求められる。

 

 

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