« 必修科目の履修漏れ | トップページ | 朝日新聞「ののちゃんの自由研究」 »

2006年11月 4日 (土)

財政危機の意識はなぜ乏しいのか

 財政赤字の金額を時々刻々知らせる「リアルタイム財政赤字カウンター」によれば、日本国の長期債務残高(地方財政を含む)は今日現在1094兆円(四捨五入)。国民1人当たり875万円(同)。普通国債残高は630兆円(同)に達する。

 日本の市場金利は歴史上かつてない低水準にある。この異常事態はいずれ是正されるはずだ。国・地方の債務があまりに大きいから、もし金利が1%上がると、それだけで債務の利息支払額は11兆円近く増える。つまり、それを支払うため、税金を同額上げるとすると、消費税の場合、4~5%の引き上げに相当する。

 それほどに大きな借金を抱えているのに、国民には財政危機なんて意識はまるでない。財務省などがPRしても、危機意識は国民に浸透しない。どうしてか。雑誌『経済セミナー』11月号の連載「財政再建の選択肢⑧ なぜ危機意識が乏しいのか」(矢野康治)は、この問題を説明している。

 「わが国は、財政赤字が非常に大きく、それだけ負担の先送りが大きく、その分現世代の(現実の)租税負担率が低くて済んでおり、それがために痛みが感じられ難く、財政危機意識が希薄になってしまっているのです。」。皮肉なことだが、「もっと歳出に見合うように租税負担率や国民負担率が高ければ、財政についての国民的な意識も高まっているはずです。」、「こうした構造的な問題に、金利が上がってしまってからではなく、理性と知性をもって気づくべきです。」という。

 「財政危機意識が高まらない最大の理由は、金利が低位安定していることでしょう。」。期間10年の長期国債の金利は先進諸国はおおむね4~5%で推移しているが、日本だけは1%台で推移している。これは「法人部門が有利子債務回避の動きを続けてきたことと、日銀や市中金融機関が大量に国債購入を膨らませてきたこと、郵貯・簡保などの政府部門が大量の国債を吸収してきたことといった特異な好条件が重なったため」としている。日銀のゼロ金利政策なども付け加える必要があろう。「しかし、これらの好条件はいずれも長続きしません。」。

 「財政危機意識が高まらない理由の一つに、国債の元利払い費(国債費)が増えずに済んでいるということがあげられる」。国債を借り換えると、「10年債の場合、10年前の利回りはだいたい3%台でしたから、1%台の利回りの借換債を発行することで、金利負担の軽減が発生」する。しかし、あと2年もすれば、借り換えによる金利軽減効果はなくなるという。

 もう一つ、財政危機が高まらない根本的な原因は「地方財政の自立性・独立性の乏しさ」だという。地方自治体が仮に歳出削減に努めても、その分、地方交付税交付金を減らされてしまう。「地方税が国会で全国一律的に決められている」ので、地方歳出を削減して地方税を下げさせようという住民のモチベーションが働かない。いまの仕組みでは、住民はバラマキ政治を歓迎する。なぜなら、そのツケは交付金などを通じて国の財政に回り、その地域の住民の直接の負担にはならないということのようだ。

 著者の矢野氏は財務省の主計局調査課長である。ここで述べていることはもっともである。ただ、地方交付税交付金や、ムダの多い補助金付きの公共事業など、歳出の中身をゼロベースで見直す政府自体の努力が欠けていることにも言及すべきだと思う。既得権益は健在だ。それでは「百の説法、屁一つ」で、危機意識はすぐ、あきらめや絶望に変わる。

 論旨からは、財政危機を国民の多くが認識するようになるためには、危機が表面化するしかないのか、という悲観的な見方にもとらわれる。横道にそれるようだが、地球温暖化の危機が迫っているのに、世界の人々はそれを感じておらず、二酸化炭素の排出量は増えるばかり。人々が危機を意識するのは、破局的な現象が起きてからではないか、と悲観的な見方をしてしまう。それと財政危機とは似ている。〔もちろん、地球温暖化のほうが人類の存続に関わるから危機のレベルは異なるが〕

 やはり、財政再建のため、国民のいやがることであっても、国のため、将来世代のために行動するという政治家が多く出てくることを願うしかない。一方、民間サイドで財政改革の推進を要求し、政治の取り組みを監視する活動組織が必要である。8月20日のブログ「財政改革推進国民会議(仮称)を」で述べたことを改めて主張したい。 

 

|

« 必修科目の履修漏れ | トップページ | 朝日新聞「ののちゃんの自由研究」 »

コメント

貴方は経済について何も分かってないようですね。

これでも読んでもっと経済を勉強しましょう。

http://www.adpweb.com/eco/

投稿: 保守 | 2007年12月30日 (日) 04時41分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 財政危機の意識はなぜ乏しいのか:

» 国民負担率を下げるべきか??? [成功者への道]
ブログ専用アクセスアップ無料ツール 国民負担率が大きくなっていくというお話がありますよね? 老人が増えて、年金が増える、医療費も上がる、だから 働いている人からたくさんの保険料を取られて大変だ~ というお話しですね。 可処分所得が少なくなって、生活が... [続きを読む]

受信: 2006年11月15日 (水) 08時20分

« 必修科目の履修漏れ | トップページ | 朝日新聞「ののちゃんの自由研究」 »