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2006年11月19日 (日)

『安定成長期の財政金融政策』を読んで

 財務省財務総合政策研究所編『安定成長期の財政金融政策ーオイルショックからバブルまで』(2006年3月刊)を財政に関する記述中心に拾い読みした。国債残高が増えてきた経緯とともに、悪化した財政を改善しようとする取り組みの歴史が淡々と記されている。

 感想の①:1981年に「増税なき財政再建」を掲げたり、1979年に「1984年を目標に特例公債依存から脱却する」ことを目指したり、と、財政健全化への努力が行われた。だが、一時的には成果があったものの、国の債務増加トレンドは変わらなかった。

 感想の②:景気がちょっと悪くなると、すぐ財政出動するというパターンの繰り返しである。要するに、政治家も官僚も、国民の賛同を得にくい増税はせず、他方で、経済の勢いが落ちると、補正予算などを組む。国民に媚びたというか、国民を甘やかした政治を続けた。唯一の例外が消費税である。

 感想の③:郵便貯金や厚生年金などのカネを集中して受け入れる資金運用部が景気対策などのカネを供給するようになった。財政悪化は、一般会計を見ているだけではわからない。ただ、こうした事態は、国民が消費に充てず貯めこむから、代わって、そのカネを政府が大盤振る舞いしたという面もある。

 感想の④:赤字財政なので、政府は国家予算を編成する都度、歳出の抑制を真っ先に言っていた。それは確かだ。しかし、今日にいたるも、ムダな歳出はなくならない。

 どうしてか。そもそも、予算案をつくる各省庁、つまり当事者に言ったって、当事者はムダだとは思っていない。パーキンソンの法則ではないが、人(役人)を抱えていれば、何か仕事(予算を伴う)をしようとする。初めに支出(歳出)ありき、になる。

 国の統計をつくる作業にたずさわる国・地方の人たちの約4分の3が農業統計の担当だとか。農業はGDPの2%に過ぎないのに。第三次産業が圧倒的に大きなウエートを持つ時代になっているのに、第二次大戦直後の経済状況をもとにした官僚機構の資源配分がいまにいたるも基本的には変わらないのである。日本の官僚制度に関わる改革がいかに難しいか、を示す典型だ。

 

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