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2006年11月17日 (金)

人事院の退職給付官民比較

 民間の退職金プラス企業年金と、国家公務員の退職金プラス“上乗せ年金”(職域加算)と比べたら、どっちが多いか。人事院が11月16日に調査結果とそれについての見解を塩崎官房長官に提出した。それによると、民間は2980.2万円、公務員は2960.1万円と民間>公務員だったとのこと。“上乗せ年金”を廃止(10年に予定されている)すると、公務員は民間よりも241.6万円も少なくなるという。

 一方、主要先進国を調査したら、公務員の退職給付は民間よりも充実した年金水準になっているという。そこで、人事院は日本の公務員の退職給付についても、民間レベルに追い付くだけでなく主要先進国同様にもっと充実すべきだとの見解を示している。

 人事院も国家公務員だから、客観性を保てというのは無理かもしれない。しかし、この調査および見解はちょっとひどすぎる。普通、退職給付といったら、退職金と年金の合計を比較することだが、この調査はそうではない。民間の厚生年金と、公務員の共済年金とでは、明らかに共済年金のほうが給付額が多い。それを含めないで比較するのは公正ではない。

 本来、比較すべきは生涯所得だと思う。賃金や年収はどうかといえば、公務員のほうが民間平均よりやや高い。それは庶民の実感でもある。(ついでに言えば、雇用リスクのある民間と雇用リスクのない公務員とが同じ賃金レベルであるべきだという考え方そのものがおかしい。リスクのない日本の公務員は安くて当然ではないか。)。そして、退職給付(退職金プラス年金)も民間とほぼ同じ水準でもらっている。したがって、生涯所得でも、公務員のほうが多いと推定できるが、それを人事院はきちんと調べて公表すべきである。

 ところで、天下りでうまい汁を吸える公務員はかなりの割合にのぼる。そうした定年後の所得についても人事院は官民の両方について実態調査をすべきではないか。また、天下りして共済年金から厚生年金に移ると、共済年金の給付額は減額されない。民間企業で定年延長で働く人と比べ、官→民に移った元公務員は有利だ。

 要するに、この国の諸制度はなにかと官に有利にできているのである。人事院はまさに公務員そのものだから、自分たちに不利なことはやりたがらない点で他省庁と全く同じである。

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