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2006年11月 1日 (水)

「道具千手観音像」を拝観

 東京・新宿のパークタワーで開催されている「道具寺道具村建立縁起展」を見てきた。新聞の写真で見た「道具千手観音像」がとても魅力的だったので、実物を拝んでみたかったのである。それに、高名なインダストリアル・デザイナー、栄久庵憲司氏が道具寺、道具村などの構想に基づいてつくり、観音さまの16本の手は、さまざまな道具を持っているというのにも興味をそそられたからである。

 像本体は古色仕上げだが、道具がまばゆいばかりの金色。微笑みもすばらしい。とても素敵な観音さまである。私たちが奈良や京都などで拝観する国宝・重文などの仏像も、生まれたてのときは、さぞかし魅力的だったろうと連想した。

 日本はものづくりを得意とする。いま、日本経済が活気を取り戻しているのも、ものづくりの基本に立ち返りつつあるからだ。とはいえ、ものづくりをめぐる情勢は様変わりした。最大の課題は地球温暖化などの環境問題である。消費・利用のサイドではまだ環境問題への理解や取り組みがほとんどされていない。供給サイドのものづくりのほうが危機意識を持ち出したところだ。

 道具寺道具村の構想が生まれたのは、そうした時代背景があるからだろう。人間と道具が共生する未来をめざす栄久庵氏の構想は並々ならぬものがある。

 にもかかわらず、私は、氏が「もの」にこだわるところにいささか違和感を抱く。これまでの資源・エネルギーを大量に消費する「もの」中心の文明に終止符を打ち、今後は、もの離れし、心の豊かさに価値を置くライフスタイルへと移行することが求められている。この時代転換はものづくりにこだわっていては達成されないのではないか。

 デザインはものづくりと裏表の関係にあるため、デザイナーである氏はものづくりを肯定したところから発想している。しかし、そのこと自体を否定してみるという思考実験も必要だと思う。

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