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2006年12月23日 (土)

“豪華な官舎”で考えたこと

 大阪大学の本間正明教授が「東京・渋谷の一等地に立つ豪華な官舎に、家族ではない女性と暮らしていた疑惑が世論の厳しい批判を招いた」(朝日新聞12月22日付け)として政府税制調査会会長を辞任した。週刊誌の写真付き報道が火をつけ、辞任したあとも、任命者の責任を問う声がある。

 こうしたスキャンダルがメディアは大好きだ。叩かれる本人が抗弁しないと思われるだけに、メディアは安心して批判しているようにみえなくもない。取り上げる内容、切り口は似たりよったり。そして、「人の噂も‥‥」ではないが、じきに潮が引くように一斉にほかの話題等に移っていく。

 しかし、この本間氏に関する報道から、私が感じたり、考えたりしたことをいくつか挙げるとーー

1.「豪華な官舎」とあるが、どういう点が豪華なのか。96㎡というと、広いほうだが、それだけで豪華と言えるのか。あるいは駅から近いことを指すのか。周辺の賃貸物件なら月々の家賃が50万円ぐらいするということで豪華なのか。日本は「住」生活が貧困であり、その充実が大きな課題(政府はさっぱり力を入れないが‥)だとされているが、朝日新聞の社説がこの程度の集合住宅を「豪華」と評するようでは、庶民の住生活の向上はとても望めない。それとも、官舎は狭くていいなどという先入観から「豪華な官舎」と表現したのだろうか。

2.本間氏の借りていた官舎の家賃は7万7千円だそうだ。周辺の市価に比べて極端に低い。どうして、そんなに安いのかを知りたい。おそらく原価主義で計算したものだろうが。そうした国有財産を売れば、財政赤字も減るはずだから、売却したほうがいい(本間氏はそういう意見だった)。さもなければ、住人である官僚に、市価に近い家賃で貸すのが筋だろう。あるいは、市価と家賃の差額(フリンジベネフィット)を収入に上乗せして所得課税するのもいいかもしれない。

 仕事の都合上、どうしても職場(霞が関?)に近いところに住まなければならない公務員もいる。そういう人に対して、上記のような重い負担を課すのは適切ではない。では東京・渋谷の一等地にある官舎(約170戸あるそうだ)に住む国家公務員は、皆が皆、職場に近いところにどうしても住まなければならない理由がある人ばかりなのか。そこを知りたい。メディアよ、本間氏辞任で一件落着にしないでほしい。

3.遠方の大学から東京にしょっちゅう出張する教員はホテルを利用する(大学がホテルを確保する例もある)、実家に泊まる、マンションを借りるなどで苦労が多い。そうした実態をメディアは調査し、報道してほしい。首都の東京にあまりにも権力が集中していることによる弊害が浮き彫りになってくるかもしれない。

4.世間には、好きな人ができて離婚するケースがざらにある。別居しても離婚を受け入れられないまま、別の人と一緒に暮らすケースもある。また、不倫という言葉が週刊誌などに氾濫しているし、少年少女のセックス体験者は多いという。そういう世情を前提におくと、本間氏の行為はそう突飛なものではないように思える。にもかかわらず、本間氏は集中砲火を浴びた。それは単に「不徳のいたすところ」なのか、それとも、もっと複雑な要因がからんでいるのか、知りたいところだ。

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