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2006年12月13日 (水)

“夜回り先生”が語る子供の苦しみ

 “夜回り先生”水谷修氏の講演を聞いた。新聞記者の夜回りは昔からある。だが、夜、眠らない少年少女たちが夜の世界や、非行、薬物などで不幸になっていく、あるいはリストカットなどで苦しんでいるのに対して、救いの手を差し伸べてきた水谷氏の“夜回り”話は聞く者の心を揺さぶる。私なりに聞いた話のポイントをまとめると、以下の通りである。

 夜、家に帰らず朝まで街で起きている子供たちを救おうと、彼らに声をかけ、悩みの相談相手になり、トラブルの解決を手助けしてきた。その過程で、薬物の問題については、ライフワークと思って取り組んだ。薬物だけは、やるとやめられなくなる(依存症)し、脳や神経系をやられるからだ。15年間取り組んだので、薬物には日本一くわしくなった。薬物の流入をとめるのは難しい。国民は薬物にもっと危機感を持ってほしい。

 6年前、リストカットの女子高生から相談を受け、これについても勉強し、取り組んだ。リストカットはさまざまな自傷行為の一つだが、リストカットをやっている10代、20代の若者たちは、同世代の7%ぐらいいるだろう。その原因は、彼らの自己肯定観が低いことがある。言い換えれば、自分はだめな人間だと思い込んでいるのだ。

 その背景には、社会がものすごく攻撃的になっていることがある。バブル崩壊後、イライラが大人にたまっている。父親は職場でストレスがたまる。それがもとで妻にあたる(ドメスティック・バイオレンスになることもある)。母親は子供にあたる。また、子供は学校で叱られる。中高校生の7割は学校でほめられるよりも叱られるほうが多いと答える。子供たちの人権が一番侵害されているのは家庭と学校だ。

 いま、子供たちが苦しむ姿は4つのタイプに分けられる。第一は、夜の世界に入る。ただし、このタイプは減っている。暴走族はほとんどなくなった。第二は、いじめ。これは増えている。いじめる側の子供たちにとって、いじめはたまっているものを吐き出すガス抜きになっている。第三は、不登校。やさしい性格の子供は逃げて学校に行かなくなる。さらには、引きこもる。第四は、まじめで登校はしているものの、夜、眠れない。そこでメールなどで見えない相手に救いを求める。それでだまされたりする。

 皆さん、近所の学校に行って、生徒の顔をみて握手してご覧なさい。皆さんの目を見て握手できる子供は少ない。それに、彼らは手の力がなくなっていて、手が丸くなっている。ペットボトルを片手でつかめず、両手で抱えて飲む。

 政府は家庭を軸に再生しようとしているが、家庭がひどければ、子供を救えない。街全体で救うようにしたい。そこで、子供たちが集まれるところをつくってもらおうと青年会議所やお寺、教会にお願いしている。2年で1800ヵ所用意できるのではないか。

 子供たちは大人による犠牲者だ。私は子供たちを叱ったことはない。私はほめる。試験でいかに満点をとらせるかに懸命になる。ほめられたことがない子供がほめられたとき、どんなに喜ぶことか。学校の先生には、とにかくいいところを見てほめてあげて、と言っている。

 教師の7~8割は土日もなく、夜8時や9時まで働いている。いまの問題は教員にゆとりがないことだ。教員にゆとりをもたせよ、それさえやれば、日本の教育には何の問題もない。

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