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2006年12月 8日 (金)

「道路」となると道理が引っ込む

 「道路特定財源の問題については、国民のためになるという視点からの改革が重要である。高齢化が進んでいく中で、限られた財源を有効に使っていくことが重要であり、将来への負担について常に考えなければならない。道路特定財源は決して聖域ではない」、「基本的には一般財源化を進めていく、その中では、揮発油税を含めて道路特定財源を見直しの対象にしなければいけない。我々はまさに国民の視点に立ってこの改革を進めていかなければならない」。安倍首相は11月30日の経済財政諮問会議の席上、そう語った。この発言で、けっこう期待したのだが‥‥。

 現実には、自民党内の道路族などが猛反発。その結果は、暫定税率を維持する一方、形式上、一般財源化(?)し、税収は道路整備の中期計画や高速道路料金の引き下げなどに優先して予算をつけ、もしも残ったら一般財源として使うというものになったようだ。事実上、特定財源を継続する形になる。常識的にみて、中期計画はあちこちの要望をどんどん受け入れて大きく膨らんだものになるだろう。今後、財政状況が悪化しようとも、道路整備予算だけは聖域であり続けることとなる。とんでもないことだ。

 鳴り物入りで始まった道路公団などの改革が、ほとんど道路建設の抑制には役立たないもので終わったのと同様の結末である。安倍首相の指導力のなさを見抜いて、もともとの体質である自民党の利権政治が復活してきたと言えよう。

 本来、政治家が基本として踏まえるべきは、国・地方とも巨額の債務を抱えており、かつ毎年度、大規模な借金をして予算を組んでいるということだ。だから、歳出をもっともっと切り詰めなければならない。道路特定財源を一般財源化しようというのも、そこから発しているのだ。カネを使うことを考えるより、まず借金を返す努力をすべきではないかと言いたい。

 「ワーキングプア」など、貧困層があえいでいるとき、そこに国が対策とそれに必要な予算とを特定財源の一般財源化から優先投入するというのなら、それなりに納得できる。ところが、よりによって道路建設に巨額の税収を優先的に配分するというのだから、唖然とする。自民党の政治家は人間の心を持たない者ばかりなのか。道路整備は不十分だから、特定財源を残せと知事たちも言っていたから、彼らも同様だ。

 トヨタ自動車の会長(経団連副会長)も一般財源化に反対していた。「はなれでスキヤキを食っている」といわれる特定財源の問題点を知らないわけがない。財政の危機的な状況もわかっているはずだ。それに、地球温暖化問題を考えれば、自動車がどんどん走れるように道路をつくることが環境問題を悪化させるだけだということも常識として理解しているはずだ。とすれば、トヨタの経営者は国がおかしくなろうとも、自動車をもっと売りたいということしか考えていないのかと思う。いまや世界のトヨタの経営トップが、天下国家の立場をわきまえない単なる商売人だとは思いたくないけれども‥。

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