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2007年1月28日 (日)

落合博実『徴税権力』を読んで

 朝日新聞で国税庁関連の取材にあたっていた落合博実氏が退社後に書いた『徴税権力 国税庁の研究』(06年12月、文芸春秋)を読んだ。検察庁とは機能が違うが、国税庁も、こわい存在だと思われている。その国税庁の組織としての実態をとらえているうえ、そこで働いている人たちの意識などにも触れていて興味深い。

 国税庁のOBは試験なしに税理士になれる。一般の人が税理士になるには厳しい試験をパスしなければならないのと大違いだ。その特権に関して著者は全く言及していないのには不満を感じた。それはさておき、同書の「あとがき」の一部を紹介しておきたい。

「官公庁がいかに公金をデタラメに使っているか」に対して、「会計検査院はいったい何をやってきたのか」と言い、以下のように述べている。

「会計検査院が組織的な不正経理に率先して切り込んだことは一度もなかった。一例だけあげれば、二○○一年に表面化した外務省の裏金作りでは新聞が事実を指摘し、外務省が内部調査に乗り出してから、トボトボといった感じで後追いしただけだった。」

「会計検査院には国税当局のような強制調査権がない。実効ある検査のためには必要不可欠な武器だと思うのだが、「必要ない」というのが検査院の一貫した考えだ。「官と官の信頼がある」と口にした検査院長もいた。要するに「官と官」の馴れ合いである。 官公庁の公金腐敗を野放図にさせた責任の多くは会計検査院にある、と指摘しておきたい。  ひきかえ、税を取り立てる国税当局の意気込みには、迫力と凄みがある。徴税はいたって厳しく、情け容赦がない。」

「納税は国民の義務である。しかし、苛烈な徴税と官公庁のとてつもない税金放蕩の落差はどうだろう。納税意欲が削がれること著しい。納税者にとって、ひいては国家にとって不幸だと痛感する。」

 会計検査院が公金不正使用にびしびし切り込んで、歳出削減に貢献してほしいものだ。

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コメント

世界中の会計検査院で強制権限を持っている機関はありません。日本国会計検査院が強制権限を持つことはかえって先進国の笑いものになるのではありませんか。
強制権限を持とうとしないことが異常であるかのように検査院や政府を非難する落合氏の狙いは一体どこにあるのでしょうか。センセーショナルなことばかりを揚げ諂って、物事の経緯や本質をよく弁えないジャーナリストの典型的人物だと思います。

投稿: bluestream | 2008年8月 4日 (月) 00時14分

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国税庁は、財務省の外局であり、租税制度を執行する機関として、所得税・法人税・相続税などの直接国税と、消費税・酒税などの間接国税の課税・徴収を行うのが役目です。国税庁の地方組織としては、11の国税局、1つの事務所、524の税務署が置かれています。税務署では、毎年2月中旬から3月中旬にかけて、自営業者や法人などが確定申告を行います。現在では、インターネットで確定申告に必要な申請書などがダウンロードできるので、確定申告の時期になると、国税局のHPに対するアクセスが増加します。 ま...... [続きを読む]

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