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2007年1月12日 (金)

「超便利社会が子供を黙らせる」

 藤原和博氏といえば、いま東京都杉並区立和田中学の民間人校長として大活躍している人。彼の名を知ったのは、『世界でいちばん受けたい授業』(2001年刊)が出て間もない頃だ。同書の中の「1個のハンバーガーから世界が見える」を読んでショックを受けた。こんなにすばらしい授業の仕方があるのか、と。いまも同中学で「よのなか」科の授業を行い、注目されている。その藤原氏の講演を聞くことができた。

 ○学校について:かつては、子供を大人化する(社会化)機能が家庭、地域、学校の三者で分担されていた。だが、家庭も地域もその機能が低下し、その分、学校に期待するようになっている。その結果、学校の先生は超多忙になり、子供と向き合う時間が減っている。そこで、和田中では、かつてのように先生には授業、部活、生活指導に専念してもらう。それ以外は地域社会に戻す。といっても学校内に「地域本部」をつくり、ボランティアに来てもらう。和田中は、地域社会とネットワークを組むネットワーク型学校だ。

 ○コミュニケーションについて:いまの子供たちはコミュニケーション能力がものすごく劣化している。話しかけても、「ふつう」、「まあまあ」、「微妙」などと答えるだけだ。これは、超便利社会が子供を黙らせる、換言すれば、超便利社会に復讐されているということである。コンビニに行っても、言葉を一言も発しないで買い物ができる。家庭でも、黙っていても食事は出てくる。子供のほうから何もしゃべらなくていい。

 教育はずっと正解伝授主義できたので、子供たちはどんな問題にも正解があると思い込む。欲しいものは自らつくるのではなく、完成品を買えばいいと思う。就職についても、A社、B社、C社などのうち、どれにするかという、完成品を買う感覚。だから、思った通りでないと会社をやめる。世の中の問題には正解がないとか、自分から世の中を変えていくという感覚が乏しい。

 中学生は、世の中のことに関心があり、本当はしゃべりたい。「よのなか」科では自殺・安楽死、結婚・離婚、生殖・倫理、宗教などタブーとされるテーマを扱う。きれいごとはやめて、本音のところを授業で取り上げると、皆しゃべる。

 ○教育改革について:法律や制度が悪いわけではない。運用が悪い。文部科学省では校長は専任でなければならないと言っているが、兼業を可能にして民間人校長を10年間に3千人入れたらいいと提案している。その際、60歳以上でも雇うようにすればいい。政府の教育再生会議には中学の専門家がいない。文科省にもいない。14、5歳の頃は独特の時期で、中学生を大人にする教育が必要。小学校の延長で中学校を考えていてはだめだ。 

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