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2007年1月 8日 (月)

“痛みなくして利得なし”

 田中直毅氏(21世紀政策研究所理事長)といえば、小泉純一郎首相の時代、毎月1回程度、首相官邸で、小泉首相と差しで1時間程度、話をしていたという。思うに、経済に疎い小泉首相は、竹中平蔵氏の活用の仕方とはやや異なるが、田中氏の意見を自らの経済政策に生かし、郵政民営化などを推進したのだろう。

 その田中氏が1月6日付け日本経済新聞のインタビュー記事「07年 経済課題を問う」で、2007年は「財政再建に向けて決定的に重要な年になる」と述べている。以下、記事のポイントを紹介する。

 ーー団塊の世代の大量退職が始まり、膨大な累積財政赤字をより少ない現役世代が支えなければならない時代に入る。「次の世代に赤字を持ち越さないという原則を確立しないと、日本は破綻する」。参院選挙のあと2年は国政選挙がないので、「今年から二、三年が改革の正念場だ」。

 ーー財政再建の登り口は3つある。「第一は単年度の財政収支を均衡させる年次目標を掲げることだ。」、「来年度予算でようやく二十五兆円にまで減った単年度の財政赤字をなくす必要がある」。

 ーー「第二は介護、医療、雇用などの保険会計を公費で助成する仕組みをやめることだ。財政赤字の下では、保険の公費助成は次世代負担になる。」、「世代内での助け合いが保険の原則。リスクへの対応は同じ世代内で完結しなければならない」。

 ーー「第三は道州制への移行を通じて権限と責任のはっきりした地方政府をつくることだ。国の権限と税財源を地方に移せないのは、県庁の体たらくのせいだ。」、「県庁の廃止を通じて、小さくて筋肉質の政府の具体的なイメージを明確にする必要がある」。

 ーー「財政規律を欠いたままでは日本社会は持続し得ないという国民の意思は、国政選挙を通じてはっきりしてきた。痛みなければ利得なし、ということを国民は理解している」。

 ーー単年度の財政均衡は「団塊の世代が完全に年金を受け取る側になる二○一五年の前には実現しなければならない」。「破綻回避への道は先に挙げた三つの道しかない。安倍首相はどの道筋なら国民を説得できるか、覚悟を決めようとしているところではないか」。

 田中氏は、「マクロの数値目標を掲げるか、社会保障に切り込むか、道州制を軸とする統治の理念から迫るか」という三つの登り口のうち、「どれが首相自らのイメージにしっかりと合うかだ。政策は政治指導者の自己表現。どの道筋なら国民と正面から向き合い、討論し続けることができるかが大事だ」という。

 田中氏のインタビュー記事の感想:財政再建は具体的には歳出削減、増税などをどう組み合わせるかだ。田中氏のいう、マクロの数値目標を掲げる、社会保障の負担増に歯止めをかける、地方分権を推進する、という3つはいずれもそのために必要な対策である。田中氏が言いたかったのは、国民を説得するにあたって、どの切り口がもっとも受け入れられやすいか、ということで3つの選択肢があるということだろう。

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