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2007年1月11日 (木)

大事な「もったいない」の精神

 不二家が埼玉工場で、消費期限が1日前に切れた牛乳を使用してシュークリームを製造し、出荷した。そのほかにも問題があったことから、同社は五ヵ所の工場の操業を停止し、チェーン店での洋菓子販売を休止した。

 報道によれば、工場の担当者は「捨てるのはもったいない。においをかいで問題ないと思った」とか、「捨てると怒られる」とか言っているようだ。

 ここで興味深いのは「もったいない」という担当者の言葉である。年配の人たちの多くにとって、「もったいない」というのは、子供の頃から身に付いた生活感覚である。

 家庭でなら、消費期限を過ぎても、においや味が変でなければ「もったいない」と思って飲むのはよくあること。それが、製造、販売する会社だと、法や内規で取り扱いルールを決めているから、表沙汰になると、顧客に実害がなくてもおおごとになる。さりとて、これで「もったいない」の精神が否定されることにはならないようにしたい。

 ノーベル平和賞を受賞したケニアのワンガリ・マータイ環境副大臣(当時)は日本語の「もったいない」という言葉に感銘を受け、2005年3月、ニューヨークの国連本部における会議で「MOTTAINAI」を唱和しようと呼び掛けたほどだ。

 小泉首相(当時)は2004年、米シーアイランドで開催されたG8首脳会議で3Rイニシアチブ首脳会合の開催を提案した。そして05年4月下旬に東京で20ヵ国および国際機関を集めて会議が開かれた。その結果、「もったいない」の精神を世界に広げるため、3Rを推進していくためのビジョンを策定することが決まった。その少し前の同年2月、マータイ氏と会談した小泉首相は「3Rとともに、「もったいない」を世界に広げたい」と語ったという。

 3Rとは、Reduce(排出削減)、Reuse(再使用)、Recycle(リサイクル)のことである。Reduce、即ち、ものを大事にし、できるだけ廃棄物を出さないようにするのを最優先する。次に、要らなくなったものをお古として使うReuseに努める。それも駄目なら何かの原材料などに使えるようにするRecycleに、という順番だ。

 3Rに、修理して使う(Repair)、なるべく買わない(Refuse)などを付け加える人もいる。それらを包含する適切な表現が「もったいない」である。

 コンビニ、スーパーや食堂・レストランでは売れ残り、食べ残しが大量に発生する。それらの廃棄物を堆肥などにする(それで育てた野菜などを使用する企業もある)ことで、環境にやさしいというイメージを振り撒いている。しかし、これはリサイクルにすぎないとも言える。そもそも売れ残らないようにする、食べ残さないようにするというReduceのほうが「もったいない」の精神に沿っている。そっちをどんどん企業にやってもらいたい。

 昨年半ばから家電リサイクル法(特定家庭用機器再商品化法)の見直し作業が経済産業省・環境省の合同の審議会で行われている。そこでの最大の論点は、処理費用をいまの排出時払いから購入時払いにするか否かである。ただ、家庭などで不要となった大型家電のうち約半分が家電リサイクル法のルート外に流れているというので、まず、その実態把握を優先することになった。

 この見直しにあたって、欠けている視点が「もったいない」だ。法では、まだ十分使える製品であっても解体し、素材として資源化することになっている。新品を売りたいメーカーには好都合だが、中古品の存在意義を否定する仕組みはもともとおかしい。

 ロシアや中東、アジアなどで日本製中古車がたくさん走っているように、使えるうちはできるだけ使うほうが「もったいない」の道理に合う。家電リサイクル法の見直しで、資源の有効利用を深めることも忘れないでほしい。 

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