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2007年2月10日 (土)

「家庭のだんらん」考

 はるか20年ほど前のことだが、初めてオーストラリアに行ったとき、驚いたことがある。記憶がいささか怪しくなっているが、第一に、太陽が南を通るのでなく、北を通ること。第二に、ホテルなどのサービス業を除き、普通の会社などは土曜、日曜は完全にお休み。週35時間だったか、日本より労働時間は少なく、平日の時間外労働の割り増し率は50%であり、土日は100%だったこと。

 売り上げに占める人件費の割合の大小によって事情は異なるだろうが、概して、割り増し賃金率が高いと、企業は時間外労働までさせて売り上げを増やそうとは考えない。それに、労働は苦役という発想が強い社会だから、長時間労働や週末の労働は容易に受け入れがたい。それらが土日休み、時間外の高い割り増し賃金率に表れていた。

 当時の私は、普段、遅くまで仕事をし、たまには週末も出社していた。そうした労働状況を仕事柄、やむをえないと思っていた。しかし、オーストラリアに行ってみて、はるかに生活重視、家庭重視の社会システムであることを知り、衝撃を受けた。高い割り増し賃金率などを日本も導入すれば、もっと家庭を大事にする社会になるのではないか、と考えたりした。

 いま、政府は労働法制を改めようとしている。ホワイトカラー・イグゼンプションを棚上げして、時間外割り増し率を引き上げるという方針に賛成だ。ただし、西欧などにならって、割り増し率を50%に引き上げる(現在の25%から何年かごとに段階的に引き上げ、10年ぐらいかけて最終的に50%にする)こと、月間の時間外労働時間数いかんにかかわらず割り増し率を一律に適用すること、圧倒的に人数が多い中小企業も同じ扱いにすること、を提案する。

 10年前、20年前とくらべ、労働密度が濃くなっている。仕事時間中に、のんびりする余裕がなくなっている。それだけに、時間外労働それ自体が身体や心に及ぼす悪影響はかつてよりも格段にひどくなっている。したがって、政府が時間外労働をゼロにするという目標を立ててもおかしくはない。仕事が自己実現だとか、趣味だとか、いう人は対象外だが。

 家族のだんらんは家庭の基本だと思う。平日に何日か、家族が一緒に食事し、おしゃべりできると、子供は健全に育ちやすい。政府や国会では、少子化対策などと銘打って対策があれこれ議論されているが、家族のだんらんが人々の暮らしの基本であることを踏まえ、それを可能にする施策を考えたらどうか。労働組合も時間外労働をなくす闘争に切り替えたらどうか。

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