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2007年3月 4日 (日)

報道内容に「そうかな?」

 今をときめくテレビ界の寵児、みのもんたが3月3日(土)夜、TBS系の番組で、国会議員20名をスタジオに集めて激しく責めるのを見た。議員宿舎や議員会館の“超豪華”な建て替えに巨額の国費を使う。その半面で、社会保障関係の保険料引き上げなどで、国民の負担は毎年、増える一方である。そこで、国会議員に対し、ぜいたくな新しい議員宿舎や議員会館に入るか否か(YESか、NOか)をその場で意思表示させる、など、国会議員をいたぶるようなので、見ていておもしろかった。

 でも、あとで少し考えてみると、疑問がわいてきた。この宿舎などの建て替えの案が浮上し、決まったのは、日本がデフレから抜け出せず、このため、国の役割は極端に言えば「穴を掘って、また埋めるだけでもいい」というケインズ経済学にもとづいて、需要を創り出すことが強く求められていた時期ではないか。21世紀に入ったばかりの当時、もし、政府が財政赤字が大きく膨らむのをおそれて、景気を下支えするための公共事業等に消極的だったら、その時点で、みのもんたは何と言っただろうか。

 日本は戦争すべきではなかった。誰だってそう思う。それと同じように、歴史を振り返って、いまの時点のものさしで過去を断罪するのはいたって簡単である。政治家をこけにする番組は痛快ではあるが、国民の政治離れにつながりかねない。財政改革をまじめに考えるうえで、この番組がプラスに作用したか、疑問である。

 番組でみせていたように、社会保障関係などでの国民の負担増繰り返しは確かに問題である。しかし、少子高齢化で毎年のように医療費などが増大しているとき、景気の低迷で税収が少ないままだとすれば、増税や保険料引き上げをするか、政府の借金を増やすしかない。あるいは、政府の何かの支出を削らねばならない。政府の借金は世界でもずば抜けて多く、財政破綻すら起きかねない状態だから、基本的には、政府の支出はもっと減らしていかねばならない。が、それも、デフレ下では難しい。このように、単純に、物事を決めるのはまずい。全体をみた議論が必要だと思う。

 国会の大きな問題点は、世界の大勢を踏まえ、日本をどういう国家にしていきたいかを全く議論せず、揚げ足とり的な議論ばかりになっていることではないか。その意味では、議員宿舎のてっぺんにスポーツジムを置いて、与野党の議員が運動しながら、非公式なコミュニケーションができるなら、議場外で、国の将来を本音で自由に議論する場ができるのでは、と想像をたくましくする。そうなら、スポーツジムだけでなく、一杯のむところも必要かな‥‥。てなことになるなら、豪華な建て替えに国家予算を投入する意義があるかもしれない。

 ところで、格差問題は国会だけでなく、酒の場でも格好の話題だ。以下、飲み屋談義。

 最低賃金の引き上げがよくないと思う人はいまい。中小企業団体は経営への悪影響を懸念して、最小限の引き上げにとどめるよう求めている。また、非正規雇用を正規化すべきだという空気が強まっている。実際に大量に正社員化した企業がいくつもある。企業はもうかっているのだから、利潤を賃金引き上げに回すべきだ、そうすれば消費も増える、というマクロ経済からの指摘もある。

 一方、世界的には、法人税率を引き下げるという流れが存在する。日本は遅れているが、法人税率引き下げ以外に、さまざまな便宜を供与して、有力な大企業を誘致する競争が世界的に進んでいるのである。現に、最近、日本のある半導体メーカーは日本での立地ではなく、台湾に工場を建設することを決めた。

 つまり、いまや、企業は、日本に拠点を置くよりも、よその国・地域のほうが総合的に判断して有利なら、そっちに行ってしまう。グローバル化を前提とするなら、日本国内の論理だけで企業に強引なことを押し付けると、企業は日本から出ていってしまう、つまり雇用・仕事がなくなるおそれがある。格差の是正を求めるのは正しいが、是正の内容いかんでは、企業は脱・日本になりかねない。そういう意見も出る。

 さらに、企業が企業買収を含め、日本に直接投資する魅力は何か、その要素の1つである人材育成・教育のありかたはどうあるべきか、に議論が発展することもある。

 また、格差論議はグローバル化に原因があるとして、米国が主導するグローバル化を阻止しなければならない、と主張する人もいる。日本は安全保障も経済も米国の言うがままになっている、これではいけない、ともいう。グローバル化は定義にもよるが、日本人にとってプラスもマイナスもある。グローバル化を全面的にストップしたら、貿易で生きてきた私たち日本人は鎖国状態に戻らねばならない。それは悲惨な事態である。

 グローバル化の欠陥を改める観点から、短期マネーの移動を抑制するため、トービン税を課すべきだという意見を唱えるNPOもある。いや、それは実現が難しいという意見も‥‥。

 飲み屋談義は果てしない。だが、国会議員には、こうした談義に含まれている本質的な問題を徹底的に議論して、国民の未来を明るいものにしてもらいたいのである。 

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