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2007年3月11日 (日)

「scholar(ヒマな人)」の効用

 語源をたどれば、「scholar」って、ヒマな人のことだそうです。3月10日、佐藤仁東京大学大学院新領域創成科学研究科助教授があるシンポジウムでそう語っていました。(帰宅して、英和辞書でscholarの訳語をみたら、まず「学者」という言葉が出てきました。特に人文科学の分野の学者を指すそうです)。

 佐藤先生の言いたいのは、細分化されている学問を横串でつなぐ総合的な学問を生み出すには、ヒマな人をつくるべきだ、ということです。アイデアが異なるヒマな人同士が出会い、対話することが学問の総合化を促すというわけです。

 ヒマの効用は、一つは視野拡張の余裕が持てる、いま一つは、時勢に流されない人になれる、ことだと先生は言います。後者に関連して、人文・社会科学はすぐには役に立たないこと、現状に対して常にラディカルなスタンスを持つことを挙げていました。

 小説「モモ」に出てくるように、いま、人々は忙しい、忙しいと、時間に追いかけられています。かつて、大学の先生といえば、ヒマというか、自分のペースでやっていましたね。ある経済学の先生は、寝坊なので、大学を卒業して会社に勤めても、連日、遅刻し、わずか3ヵ月で退職、大学に戻ったそうです。長い間、大学は教員が自分の時間を好きにできる“最後の楽園”でした。

 でも、いまの大学の先生は、私も経験したけれど、とても忙しい。モモに叱られても当然です。そうした現実を踏まえつつ、学際的・学融合的に学者・研究者が協働する「課題設定型プロジェクト研究」が独立行政法人 日本学術振興会で進められてきました。その内容を公開するシンンポジウム「未来を拓く人文・社会科学」の二日目「社会の制度設計と合意形成」第1部「自然資源のガバナンス」で、佐藤先生が「資源を見る眼」と題して短い時間、話をしました。そのときに、ヒマな人の話が出ました。

 シンポジウムは発表者の持ち時間が限られ、オーバーすると、チンと警告が発せられます。だから、時間に追われて、十分に説明ができないままに終わるケースがほとんどです。興味深いテーマばかりでしたが、駆け足の説明では、聴衆も十分には理解できません。それだけに、佐藤先生の話はとても印象的でした。

 盛りだくさんに詰め込むのではなく、テーマを限定し、ゆっくり、じっくり深掘りするシンポジウムをやってほしいものです。聴衆にはヒマな人がたくさんいるのですから。

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