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2007年4月25日 (水)

イラク戦争と米メディア

 米国の著名なジャーナリスト、デイビッド・ハルバースタム氏が23日に亡くなった。ニューヨーク・タイムズの記者としてベトナム戦争の報道に従事し、戦争の実態が米国政府の発表と全く異なって泥沼化していることを国民に伝え、米国のベトナム撤退への道を開いた。これで同氏は1964年にピューリツァー賞を受けたが、ハルバースタム氏のみならず、当時の米国の新聞、テレビなどのメディアが同様な報道を行なった功績も評価しなければならない。

 ひるがえって、イラク戦争について、今日の米国のメディアはブッシュ政権の発表とは大きく違う実態を適確に国民に伝えているだろうか。米国の民主主義を支える役割を担うメディアは健在だろうか。

 米国の弁護士で、現在、大宮法科大学院大学の教授であるローレンス・レペタ氏によれば、米ジャーナリズムはベトナム戦争当時と比べ、大きく違っているという。その理由としてオーナーシップの変化を挙げる。いまや、米国のメディアは株式を上場しているビッグビジネスの傘下にあったりして、経営者は利益をあげることを優先する。したがって、カネがかかる調査報道をさせないという。キャスターにしても、実力のあるジャーナリストを起用するよりも、セレブを起用するなどの傾向があるとのこと。

 もっとも、あまり批判ばかりするのもよくないというレペタ氏は、米国内でイラク戦争に対する批判が強まっていることと、米国議会で民主党が強い立場に立ったことを挙げ、今後は、メディアも情報をとりやすくなるし、報道の内容もよくなるだろうと指摘した。

 ところで、日本のメディアはどうか。新聞は株式非公開が圧倒的に多いから、米国ほど露骨な利益志向はなさそう。だが、新聞の斜陽化で、手間もカネもかかる調査報道に力を入れることができる新聞社はごくごく限られる。それに中立公正の立場や客観報道主義をとり、厳しい政府批判は概して避ける。また、テレビはNHKを別にして、大手は上場しているし、報道番組にはわずかな経営資源しか投入していない。

 米国のメディアのいい意味での役割はチェック&バランスだろう。しかし、日本のメディアには、そうした役割を担うという使命感がいささか乏しいような気がする。ジャーナリストの皆さんの奮起を望む。

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