« 金融・資本市場WGの意欲的な第一次報告 | トップページ | イラク戦争と米メディア »

2007年4月22日 (日)

07年度地方財政運営についての知事宛て文書

 総務省の事務次官が20日付けで、各都道府県知事に出した「平成19年度地方財政の運営について」と題する48ページの文書(通知)を読んだ。すでに決定している07年度の地方財政計画および地方債計画などに基づいて、各地方公共団体に対し、どのような財政運営をすべきか、詳細に指示したものである。

 読んでびっくりしたことを以下に書く。

 1つは、財政運営では当たり前の基本原則をあちこちで述べていること。例えば、「税収入の確保、受益者負担の適正化等財源の確保に努める一方、各種施策の優先順位についても厳しい選択を行い、限られた財源の重点的配分と経費支出の効率化に徹すること」、「経済の動向に即応した機動的、弾力的な運営にも配意し、節度ある財政運営を行うよう通知します」とある。

 別の例だと、「自らの財政状況を分析し、事務事業の見直し、歳出全般の効率化と財源配分の重点化を図り、計画的かつ具体的な財政構造の改善を図ること」、「義務的経費の動向に十分に配意して、中長期的視点に立った計画的な財政運営を行い、財政の弾力性の確保に努めること」とある。どれも当たり前すぎる話だが、これは、それすら実行していない地方公共団体が多々あるからか。それとも、総務省は繰り返し建前を言っているだけで、本気で言っているわけではないと、地方公共団体が多寡をくくっているのを踏まえてか。

 この文書を読んでいると、上意下達、ないし国が地方公共団体に教えさとす、という印象を抱く。また、それと関係があるが、地方公共団体がいかにいい加減なことをしているか、を痛感する。それが上記のように、当たり前のことを繰り返す背景かもしれない。

 行政改革の推進等に関する部分では、「給与関係」の項目で、「ア.給与構造見直しと給与の適正化等」、「ロ.技能労務職員等の給与」、「ハ.退職手当」、「ニ.特別職の報酬等」、「オ.人事評価システム」と細かく分けて、民間に比べて高すぎる地方公務員の給与や手当などを是正するよう求めている。まだ、そんなことを言っているのか、と声を荒げたくもなるが、総務省は本気で是正を求めているわけではないと思えば、納得できる。総務省が本気なら、地方交付税交付金を減らすなどのペナルティを科すはずである。同省が交付金をはじく際の基準財政需要額を算定するとき、高すぎる地方公務員の給与等を減額の対象にしていない。

 もう一つ、びっくりしたのは、「次の事項に留意の上、それぞれの地域の特色をいかしつつ、地域の自立や活性化につながる基盤整備、生活関連社会資本の整備、災害等に強い安心安全なまちづくり、総合的な地域福祉施策の充実等に努められたい」と述べ、「次の事項」を4ページ強にわたって羅列していること。その内容は要するに、地域の独自プロジェクトに対する国の助成措置がこんなにあるというものである。

 各省がいろいろな名目でつくったこの沢山の補助金の制度を一つひとつ理解するのさえ大変だ。申請するとなるとまた事務作業が大変だ。これでは、地方公共団体の職員はこれまで同様、交付金と補助金で国の思うがままに操られるのではないか。地方分権どころではない。

 総務省は、中央官庁の一員であると同時に、地方公共団体の利益を代弁するという二重性格を持つ。しかし、「平成19年度地方財政の運営について」の文書を通して見えてくるのは、総務省は「個性と活力ある地域社会の振興」などと格好いいことを言っているけれど、地方公共団体に対する同省の権限やカネを手放すことになるような改革は全く考えていないということだ。まして同省の影響力を著しく減らすことになる地方自治については本気で推進する気はないということである。 

|

« 金融・資本市場WGの意欲的な第一次報告 | トップページ | イラク戦争と米メディア »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/184848/14810722

この記事へのトラックバック一覧です: 07年度地方財政運営についての知事宛て文書:

« 金融・資本市場WGの意欲的な第一次報告 | トップページ | イラク戦争と米メディア »