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2007年4月10日 (火)

日本は温暖化対策に関心が乏しすぎる

 IPCC(気候変動に関する政府間パネル)は、世界の科学者が集まって地球温暖化の科学的な解明、温暖化の影響、対応策などを取りまとめる機関。ことしの2月2日に第一作業グループの第4次報告が発表になり、4月6日には、第二作業グループの第4次報告がまとまった。第三作業グループの第4次報告は5月にまとまる予定だ。全体をとりまとめた報告書の発表は11月になる。

 発表になった報告書によれば、温暖化は人為的な影響によるとほぼ断定している。このままだと、人類の多くは21世紀のうちに生存の危機に直面しそうだ。いま生まれた赤ちゃんの大半が生きているうちに、深刻な各種のリスクに見舞われるということである。

 しかし、日本では温暖化への危機感や問題意識が希薄だ。いまだに、先進国全体で1990年に比べ温室効果ガスを5%減らすという京都議定書(2008~2012年の温室効果ガス削減を義務付け)の約束を達成することが政府や企業の大きな関心事である。日本経団連も、自主的取り組みによって産業界の削減目標を達成できると誇らしげである。だが、京都議定書に基づく削減を達成できたとしても、温暖化の勢いをとめることにはならない。

 温暖化の悪影響をできるだけ抑えるには、世界全体として温室効果ガスの年間排出量を21世紀の半ばごろまでに現在の半分以下に削減する必要がある。それを世界各国が合意して実行するのは至難の技だが、人類の運命はその成否にかかっている。

 IPCCの第4次報告は、「ポスト京都」をどうするかを決めるための基礎的な情報である。EUが2020年に20%削減という目標を決めたように、日本もポスト京都について思い切った削減策をまとめて世界に提示すべきだが、政府にも産業界にも、そうした動きがまるで感じられない。IPCCに関わっていて、日本は60~80%を超える排出削減を求められるという西岡秀三氏(国立環境研究所理事)は「工業化以前から2度上昇あたりを危険レベルとすると、もう残り時間は少ない。あと20年ぐらいしかない」と語っているのに。

 日本では与野党とも政治家は目先の選挙のことばかり考えている。地球温暖化対策を声高に訴える有力政治家は皆無だ。政府にしても、環境省はまるで存在感がない。企業の中には、先を見て厳しい環境保全対策に取り組んでいるところもあるが、その数はわずかである。

 メディアは、国民に環境マインドを持ってもらうのに最も貢献しうる存在なのに、新聞、雑誌、テレビは温暖化問題をほとんど扱わない。IPCC第二作業グループの第4次報告発表は、新聞でいえば一面トップで扱うべき問題なのに、そうではない新聞ばかりだった。一過性の問題ではないのだから、キャンペーン的に繰り返し取り上げるのを使命とするメディアが1つぐらいはあっていい。いずれにせよ、いまのメディアの体たらくでは、資源やエネルギーを大量に消費するライフスタイルを変えようという国民は少ないだろう。

 日本は環境対策で進んでいると自負してきたが、温室効果ガスを半分に減らすような対策は持ち合わせていない。だが、科学的なアプローチによる知見から目指すべき削減目標をまず立てること、そして、それに基づいていまからどのような対策を実行していくかを決めることが重要だ。目標を達成するには、政治家も、役人も、企業も、個人も、経済や生活のありかたを根底から変えることを求められる。それほど大きな転換点にあるのだ。メディアは自らの社会的使命を自覚してほしい。 

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