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2007年4月 1日 (日)

浅野氏と石原氏の話を聞いての所感

 東京都知事選挙で競っている浅野史郎氏と石原慎太郎氏のそれぞれの会見を聞いた。耳に残った部分や印象などを記す。

 浅野氏は何をいつまでにやる、その財源はどうする、と選挙民に「約束」するマニフェスト型。選挙民に対し、投票してくださいと「お願い」する選挙ではないという。また、「選挙運動で遊説し、握手する。そのとき、選挙民から不満を言ってもらう。このように情報のシャワーを浴びることによってオリンピックは中止するという公約に変えた。また、選挙運動を通じて、精神的、体力的に耐えられるか、を試される。宮城県では3回選挙をしたが、遊説を通じて知事になっていくのです」と語る。

 「いろんな人がもう石原知事は勘弁してほしいと言う。だが、そうは言っても、また石原さんになっちゃうんだろうな、と皆言う。しかし、そうしたあきらめが定着したら、それが日本の政治全体に定着してしまう。日本の政治はどうなっちゃうんだろうかという疑問が私の心に火をつけた。日本の政治をまず東京から変えていこう」。

 地方自治体の中で東京都が財政的に豊かであり、東京都から他の自治体に税収などを回すべきだという東京富裕論について、「カネの問題で東京都とその他(道府県等)とが対決しているような見方はよくない。自治体の仲間意識がくずれてしまうから」と語る。その一方で、質問に答えて、財政状況を比べたら、東京都と宮城県とは「兄たりがたく弟たりがたし、目くそ鼻くそのたぐい」と、さして違わないとの認識を示した。

 防災、福祉、教育、オリンピック中止、新銀行東京の整理、徹底した情報公開。それに開発よりも秩序ある発展、スローライフ、本物の豊かさを、等々が浅野氏のアピール。

 東京都は国内の都道府県の一番の兄貴分であると同時に、ときには中央政府と真っ向から渡り合うことが必要だし、世界でも一目も二目も置かれる立場でもある。それにふさわしい見識、ビジョンおよび力量が知事に求められる。そうだとすれば、浅野氏の話およびマニフェストからすると、そこが物足りない。

 次に、石原氏は都知事として、ディーゼル車排ガス規制のイニシアチブをとったり、不足する保育所を都独自の認証保育所設置で補うとか、都ならではの政策を実行してきた。都の会計制度を企業のように複式簿記・発生主義に切り替えて、財政状態をより適確に把握できるようにした。そうした実績を訴えている。また、オリンピックを招致した場合の都の持ち出しは約450億円にすぎず、経済効果は2兆8千億円にのぼると語った。先の東京大マラソンは「大成功。東京都以外の参加者からたくさんの感謝の手紙が届いた。10億円の経費がかかったが、都の負担は4億円だけで、180億円の経済効果があった」と言う。

 「都の情報公開でコピーを求める人の55%は他県の人で、営利目的がほとんど。都民の税金を使って他県の人に1枚10円でコピーを提供するようなことはしない。1枚20円のまま据え置く」という。

 石原氏は「10年先の設計図」を選挙民に訴えている。いままでやってきたことの延長だそうだが、期限も財源も示していないから、マニフェストとは言えない代物である。

 石原氏はいまも作家活動を続けているし、国会議員や閣僚の経験もある。米国に対してノーと言える日本、という主張を著書にしたこともある。それだけに、これまで都知事として、国政に対しても、海外に対しても存在感があった。都知事に必要なカリスマ性も備えている。

 しかし、独自の政策が裏目に出ることがあるし、日の丸、君が代問題などでの強制に対する教育現場での反発もある。石原氏は「いままで傲慢だったことはない。説明不足だったことは確かだ」と言うが、それを真に受ける者は少ないだろう。

 それよりも何よりも、会見で感じたことは、石原氏の老いである。話が回りくどくて、何を言いたいのかがわかりにくいことが少なくなかった。親切に説明しようとしていたのかもしれないが、簡潔に要点を語ることは政治家として欠かせないはずだ。

 ダイエーの創業者の中内さんは歳をとるにつれ息子に会社を継がせることに執着するようになった。石原氏が息子を都の仕事に起用するなどというのが、中内さん同様、老いのなせるわざでなければいいが‥。

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