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2007年5月30日 (水)

まじめにCSRに取り組め

 いま経済界で流行の1つがCSR(企業の社会的責任)である。しかし、著名な企業であっても、CSRが会社の中に、つまり経営者から平社員までに本当に浸透しているかといえば、まことに疑わしい。そうした事例を3つ挙げる。

 1=最近、派遣ユニオンの関根秀一郎書記長から日雇い(スポット)派遣労働の実態について聞いた。グッドウイル、フルキャストといった大手派遣業者は1日に2.5万人とか1.5万人の日雇い派遣労働者を動かしている。しかし、そこで動員される派遣労働者は単なる労働する機械であって、全く人間扱いされていないことがよくわかった。派遣する会社は顧客事業所から求められる員数を送り込めばよいとしか考えないし、その日限りのマンパワーを求める受け入れ事業所のほうも、労働する機械がちゃんと動くよう監督しているだけ。労働者がどんな思いをしているかなんて考えもしない。

 桐野夏生の『メタボラ』には、人間性を無視した非正規雇用の一面が描かれていた。労働現場が人間の心や感情を無視していれば、社会は荒れる。正社員であっても、長時間労働などで人間性が損なわれる。人間の尊厳を踏み付けにする企業は本来、社会に存在する価値がない。

 大和インベスターリレーションズはフルキャストのインターネットIRサイトを2007年優秀企業に選んだ。しかし、そのサイトは、フルキャストと派遣ユニオンがことし2月26日に結んだ協定書について触れていない。協定書には、フルキャストが違法等の行為について謝罪したり、廃止したりしたことが書かれているのにだ。

 2=流通業界では、二大スーパーを中心に激しい競争を繰り広げている。最近は、それぞれ自社ブランドの商品数を増やしているのが目に付く。また、新聞配達の折込でくるスーパーの広告は毎日の安売り商品を大きく取り上げている。消費者にとっては安く買えるのは魅力だ。しかし、自社ブランド製品の拡大にせよ、安売りにせよ、メーカーからの仕入れ値を相当叩くことで可能になるものである。もともと、消費者と生産者とは敵対する関係ではないはずだが、スーパー、大型専門店は巨大なバイイング・パワーによって生産者に安く売れと無理強いしている。それが生産者にコストダウンの努力を促すなど、いい面もあるが、行き過ぎると、豆腐など安売りの目玉になるような商品をつくっているところが廃業に追い込まれるようなことが起こる。資源の無駄づかいになる新製品ラッシュも、流通業界の過当競争や巨大なバイイング・パワーに起因する。

 フェアトレード(公正な取引)の運動はこうした流通業界の過当競争、バイイング・パワーの行き過ぎに対する異議申し立てである。あまりにも安く買い叩かれている生産者がまともな値段で売れるようになるし、他方、消費者は直接に生産者から購入することにより品質などで安心できる。それによって生産者と消費者とが信頼と共存の関係を築くことができるようになる。グローバル競争のもとでは、きれいごとを言ってはいられないとの反論もあろうが、スーパーや、家電などの大型専門店は資源の節約、環境保全、社会の安定などの制約を踏まえた新しいビジネスモデルを模索していくべきだと思う。

 3=たまたま、15インチ液晶テレビ(6年前に購入)を修理してもらった。熱で劣化した端子基板を取り替えたとのことで、端子基板の取り替え、修理技術料、出張料合わせて2万3千円余かかった(端子基板の値段をまけてもらってのこと)。いま、同じサイズの液晶テレビの新品は実売価格で6、7万円ぐらいだろう。これでは、3RのReduceやReuseは掛け声だけになる。

 メーカーとしては新品を売るほうがもうかるだろうが、それでは私たちの社会は資源エネルギー多消費型から脱することができない。修理の際に必要な部品代は、テレビをつくったときの当該部品のコストに近い値段に抑えるべきだろう。技術料だけでも1万円はとるのだから、取り替え部品の代金まであこぎな商売をするのはやめてほしい。

 安倍首相が2050年に温室効果ガスの排出量をいまの半分にするという方針をぶちあげた。大賛成だが、いままでのビジネスの延長線では実現不可能だ。流通業界にせよ、家電業界にせよ、根底から自らの商売のやりかたを問い直さねばならない。

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2007年5月27日 (日)

国の出先機関の見直し

 地方分権が進めば、都道府県がなくなり、市町村と道州制の二層制に行き着くとの見方が強い。そうした流れに照らすと、5月25日の経済財政諮問会議で民間議員が提示した「国の出先機関の大胆な見直しの視点」という資料は参考になる。

 この資料は、国の出先機関の行なっている事務を「A:国に残すべきもの」、「B:地方自治体に移譲可能な事務のうち、現在は主に国のみで行なっているもの」、「C:地方自治体に移譲可能な事務のうち、地方自治体でも同様な事務を行なっているもの」の3つに分類したもの。「A:国に残すべきもの」については、さらに、①国家の存立に直接関わる事務、②全国的な規模や視点に立って行なわねばならない事務、の2つに分けている。

 その分類結果によると、農林水産省の地方農政局、国土交通省の地方整備局、地方運輸局、北海道開発局、厚生労働省の公共職業安定所、都道府県労働局、労働基準監督署、経済産業省の経済産業局などはBかCになっている。

 国家公務員約33万人のうち、出先機関には21.6万人いるが、この振り分けによれば、BかCにあたる人数は9.1万~10.2万人と半分近くになる。これらの事務を都道府県以下に移して、重複をなくしたら、人員合理化ができ、国と地方の行政コストが下がるはずだ。もちろん、現実には権限争いやヒトの扱いもあり、ある程度の年月がかかるが。

 この資料は出先機関だけを対象にしている。けれども、本省・庁でBやCを指揮監督している部門も不要ないしは縮小しうるはずである。そうやって、小さな政府、地方分権(地方主権)を実現していきたい。

 民間議員の問題提起は官僚サイドから見れば荒っぽいだろうが、このような大胆な図面が行政改革には大事だ。

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2007年5月26日 (土)

安倍総理大臣の方針

 5月25日(金)の経済財政諮問会議で、安倍総理大臣が「6月に予定している「基本方針2007」の取りまとめに向け、歳出・歳入一体改革について、私の考えを明らかにしておきたい」と言って、以下の内容を読み上げた。 

  • 歳出削減を一段と進め、財政の無駄を無くすとの基本方針は、安倍内閣において、いささかも揺らぐことはない。真に必要なニーズに応えるための財源の重点配分を行いつつ、歳出改革を着実かつ計画的に実施する。
  • 平成20年度予算は、この歳出改革を軌道に乗せる上で極めて重要な予算である。歳出全般にわたって、これまで行ってきた歳出改革の努力を決して緩めることなく、国、地方を通じ、引続き「基本方針2006」に則り、最大限の削減を行う。
  • また、新たに必要な歳出を行う際は、原則として他の経費の削減で対応する、税の自然増収は安易な歳出等に振り向けず、将来の国民負担の軽減に向けるなど、「進路と戦略」で示した「予算原則」に沿って規律ある財政運営を行う。
  • こうした歳出改革の取組を行って、なお対応しきれない社会保障や少子化などに伴う負担増に対しては、安定財源を確保し、将来世代への負担の先送りは行わない。

 ウォッチャーとしては、安倍内閣がこの方針に沿って財政再建にまい進することを期待する。

 税収が増えたときは借金減らしに充てるのがイロハのはずだが、与党内にはそれに反する動きがみられる。道路特定財源を一般財源に繰り入れさせないように目一杯、道路建設に振り向けようという族議員もうごめいている。緑資源機構の談合事件のように、自らの天下りのために税金を私物化する官僚・官僚OBはあとを断たない。ちなみに、緑資源機構の理事長は責任をとってやめるべきだが、それを求めない農林水産大臣自身が政治資金問題で進退を自ら決すべきなのに、それをしない。

 それらについても、安倍総理が国民が納得する態度をとるなら、安倍総理の支持率は急上昇間違いなしだ。それがあいまいだと、またも竜頭蛇尾だとして支持率も下がる。

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2007年5月22日 (火)

元自治省・現京都府知事の発言

 言論NPOのホームページに山田啓二京都府知事の発言が掲載されている。国や地方自治体の財政悪化を招いたメカニズムがどんなものか、が読み取れる。

 「私が高知県の財政課長をしていた頃は、ちょうど平成元年のバブルの頃で、税収が大幅に伸びて、地方交付税に余裕が出てきた。お金がたくさん入ってきて、しかも利率が高い。このときは〔自治体は〕お金を貯めるのが普通です。しかし、そのときに〔自治体が〕国(自治省、現在の総務省)から言われたのは、みんな借金をしろ、それで余った金は全部使えということでした。〔山田氏が自治省に対して〕嫌だと言って抵抗していたら、最後に今回は見逃してやると言われたのです」と。

 同知事はその背景について「国と地方、自治省と大蔵省(現在は財務省)でお金の取り合いをしていて、地方交付税が増えたときに、〔自治体が〕金を貯めたら地方財政余裕論が出るので、〔自治省から〕貯めるなと言われた。〔自治省、いまの総務省は〕利率の高いときにたくさん事業をやらせておいて、今のように利率が低くなったら事業をやるなと言っているのです」と語っている。

 山田知事は自治省のキャリア官僚として高知県総務部財政課長などを経て、京都府総務部長、京都府副知事を務め、2002年4月以来、京都府知事の座にある。典型的な自治省キャリアの道を歩んできた。彼の話は、国と地方自治体との間に立つ自治省が健全財政の視点を全く持たず、自治体に対し、税収が増えたら、増えた分も全部使ってしまえ、それどころか借金をしてでもカネを使えという、役所の権限保持だけの発想で仕事をしていることを明白に示している。

 霞が関や永田町においては地方の利益代表者であるかのように振る舞い、地方に対してはやたらと支配の権力を振るう。それがかつての自治省であり、現在の総務省である。国、地方の財政再建を進めるためには、そうした役所の財政赤字を膨らます歪んだ構造にメスを入れなければいけない。彼らは何一つ反省してはいないのだから。

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2007年5月21日 (月)

「廃棄物を捨てる」から「返す」への意識改革

 茅陽一地球環境産業技術研究機構副理事長の講演を聞いていたら、3R(Reduce、Reuse、Recycle)のうちのRecycleについて、「廃棄」という言葉を無くし、我々の意識を「捨てる」から「返す」へ変えようと提案された。確かに、資源循環を進めるうえで、「返す」という言葉のほうが適切だと思った。

 また、同氏は環境問題に対処するうえで、技術進歩以上に、人々の意識変革が大事だと指摘した。

 地球温暖化などの環境問題に対し、米国や日本には技術革新で解決できるという発想が強い。しかし、安倍内閣が決定しようとしている環境立国戦略づくりに、環境省の中央環境審議会委員として関わっている茅氏の見解は、再生可能エネルギーには限界がある等々、技術中心では持続可能な社会をつくりあげるのが困難であることを明らかにしたと言えよう。

 3Rのそれぞれについて、同氏は、その推進を阻む要因と解決の方策を述べた。解決の方策については、それぞれ技術的な方策とともに社会的な方策を挙げている。社会的方策を紹介すると、Reduce(発生抑制)については、古い革袋を尊重するというように、古きものへの意識を改めることを、Reuse(再使用)については、レンタルの普及、つまり、ものの所有からサービスの利用へと消費者のライフスタイルが変わることを、Recycle(リサイクル)については、「捨てる」から「返す」へと意識改革することをそれぞれ求めた。

 「捨てる」から「返す」へというのは、自然から借りているものを返すという意味だろう。借りているのなら、汚い、よごれたままでなく、きれいにして返すということでなければならない。そうした意識の変革はとても大事だ。しかし、それを根付かせるには、自然や環境などに対する見方を変える教育が必要だし、企業のあり方も変わる必要がある。それをどうやって実現するか、大きな宿題である。

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2007年5月16日 (水)

行財政改革に苦悩する岡山市

 NHKの報道番組「存続か廃止か~岡山市の住民サービスをめぐる攻防~」(5月14日)は、7千億円の借金を抱える岡山市の行財政改革への取り組みについて、市役所の内部および市民の両面から取材していて、とても興味深かった。

 市の行なっている行政サービスを1つ1つ取り上げて、存続か、廃止か、縮小か、民営化か、などに振り分けていく作業は、かつて三重県がやった方式だと思うが、労多くして功少なしという印象を受けた。なぜなら、市役所の各部門が必要性を言い立てるのを、行財政改革推進本部のような限られた員数しかいない組織が論破するのはきわめて困難だし、時間もかかるからだ。また、役所の仕事は費用対効果で評価しにくいという事情もある。

 放送を見ていて思ったことだが、国の諸官庁が、それぞれ手掛けている業務の必要性を主張し、行財政改革に抵抗しているのと同じである。

 また、歳出カットばかりでは元気が出ないと、市議会議員が市長に反対する場面もあった。また、区画整理が行なわれていない地区の住民は区画整理を早く実施するよう求め、市の借金が膨大だろうと、関係ないという様子だった。

 個別に見ていくと、それぞれ、もっともな言い分のようにも思えるが、いずれも、必要なカネはどこから持ってくるのか、を抜きにして、カネを使う必要があるということだけの議論になっている。行財政改革担当者を別にして、岡山市全体の借金をいかに減らすかという基本的な課題は見事にそれぞれの意識から欠落している。現状維持というか既得権擁護というか、抵抗勢力とはどういうものかを示している。

 自治体も、そして国もだが、もっぱらカネの使い方だけを議論してきた。カネはついてくる、という発想が強かったからである。それが長期経済低迷のもと、財政赤字を膨らませてきた。この歪みを改めるには、税収に見合う歳出規模にとどめる、ないしは、歳出に見合う税収を確保する、という財政の基本を市役所、市議会、市民に徹底的にわかってもらう必要がある。

 そのためには、地方交付税交付金や国庫補助金を大幅に削減し、自治体経営は基本的に、税収で歳出をまかなうという形にしなければいけない。そうなれば、いまの歳出規模を維持するためには税金を大幅に上げる必要があるとか、税金を上げるのがいやなら歳出を削減するしかないというように、わかりやすい仕組みになる。市民の判断が行政サービスと税負担とを決めるから、自治意識が育つだろう。

 岡山市の行財政改革の苦闘を早期に実りあるものにするには、国が権限と財源とを地方自治体に大幅に移譲する必要がある。放送を見て、それを痛感した。

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2007年5月11日 (金)

白熱灯を蛍光灯に替えよう

 先頃オープンした新丸の内ビル(東京駅前)は人気スポットの1つになっている。不動産会社として日本の一、二を争う三菱地所がつくった最新のビルである。新事業創造拠点「日本創生ビレッジ」を設けて日本経済の活性化に貢献しようとか、環境戦略拠点「エコッツェリア」を設けて、新たな環境文化の創造を目指すとか、新しい試みもあるが、ビルそれ自体の省エネの工夫が物足りない。いま、最も注目されるビルなのに、環境面でアッと驚かせるものがない。

 京都議定書の目標達成が難しいといわれる理由の1つがビルや家庭のエネルギー消費増である。それなのに、代表的な不動産会社が、新しいビルをつくったにもかかわらず、真っ向から省エネに取り組んでいないのは企業の社会的責任(CSR)からみて批判されよう。

 現在、商業化されている省エネの一つが白熱灯(電球)から蛍光灯への切り替えである。いわゆる電球はエジソンの発明によるものだが、あれは、エネルギーのほとんどを熱にしている。明かり(灯り)としては後に登場した蛍光灯のほうがはるかにエネルギーの消費が少ない。だから、地球温暖化対策としてすぐにでも取り組めるのが、電球から蛍光灯、蛍光電球への転換である。

 オフィスや家庭においては照明、装飾という面もあり、何でもかんでも蛍光管というわけにはいかないかもしれない。しかし、全世界で地球温暖化対策が求められているとき、蛍光灯への切り替えはかっこいい(Cool)と受け止める感性がほしい。

 レスター・ブラウンのEarth Policy Newsによれば、オーストラリアでは、白熱電球の販売を2010年までに止める。カナダ政府も2012年までに販売を中止すると表明している。ニュージーランドの気候変動担当大臣がオーストラリアにならって販売を止めることになろうと語っている。米国の環境団体などや、英国のNGOなども白熱電球から蛍光灯への切り替えを訴えている。

 世界的な電球メーカーのフィリップスは2016年までに欧、米での販売を止めると発表。英国最大の電器製品小売チェーン、カリーズは白熱電球の販売をやめるとの声明を出した。

 レスター・ブラウンによれば、世界中で街路灯や古い蛍光管をも含めて、すべて新しい蛍光灯に切り替えると、電力消費量は6%以上減るという。白熱灯に比べ、蛍光灯は電力消費量が4分の1にすぎず、寿命は10倍になる。だから、買うときは高いが、電気代を考えればはるかに安く経済的だ。

 蛍光灯には水銀を微量ながら使う。しかし、石炭を焚いて出る水銀が大気中に放散されるのに比べれば、はるかに環境負荷は少ない。まして蛍光灯は適正にリサイクルすれば、水銀による環境汚染は心配ない。

 普段、使っている個人的な体験からすると、蛍光電球はどんどん改善されて小形・軽量化している。点灯してしばらく暗いのが玉に瑕だが、電気代が少なくてすむし、長寿命だ。日本の電球メーカーはすぐれた環境配慮商品を製造販売しているのである。

 それなのに、政府も、自治体も、環境関係の諸団体も、白熱灯から蛍光灯への切り替えを訴えない。メーカーも、流通業界も同様だ。経済団体も。政治家、メディアも全く鈍い。

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2007年5月10日 (木)

財政規律の必要性を痛感

 5月8日の経済財政諮問会議で菅総務大臣が「技能労務職員等の民間類似職種との比較について」という給与比較資料を示した。4月から総務省がホームページに「地方公共団体別給与等の比較」コーナーを設け、公表しているデータから引っ張ってきたものだが、見ると、あまりの格差にびっくりする。

 資料は民間と地方公務員との類似職種を3つ取り上げて給与月額、一時金、年収を比較したもの。民間の廃棄物処理業従業員(43.6歳)の年収が419万円なのに対し、公務員の清掃職員(46.5歳)は675万円で1.61倍。民間の調理士(41.9歳)が348万円なのに対し、公務員の学校給食員(46.5歳)は566万円で1.63倍。民間の営業用バス運転者(46.1歳)が450万円なのに対し、公務員のバス事業運転手(46.9歳)は751万円で1.67倍。

 いわゆる春闘に関して、連合の07年春季生活闘争賃金改定状況報告(4月26日発表)を読むと、平均賃金方式で引き上げ額が5721円、引き上げ率が1.90%である。年収に換算しても金額はさほどのものにならない。官民の格差はとてつもなく大きい。

 財政再建には歳出削減、経済成長による歳入増や、増税といった方策がある。他人様のふところに手を突っ込むようなことは誰しもいやだが、ここに挙げられたような極端な給与格差を放置すれば、納税者たる国民の不信を強めるだけだ。地方自治体がいくら地方分権だとか言っても、それを住民がまともに受け止めるか疑わしい。公務員の給与を民間レベルに段階的にせよ引き下げるべきだ。

 総務省も、地方交付税交付金の算定にあたって、公務員賃金の高すぎる分を標準財政需要から差し引くなど、地方公務員の給与引き下げを促す措置をとったらどうか。

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2007年5月 6日 (日)

その気にさせるには工夫が必要ーー財政改革も同じ

 同時通訳、翻訳、NPOなど、環境問題を中心に多彩な活動で知られる枝廣淳子さんが「日経エコロジー」6月号に、知っていることと、行動することとの間に大きなギャップがあると指摘している。

 地球温暖化問題について日本人のほとんどは知っている。しかし、その解決のために何かしている人の割合は少ない。その理由は、自分だけ先にやったら損する、とか、自分一人では何も変えられない、ということにある。そこで、「充実感や達成感を感じてもらう工夫が行動を促すうえで重要だ」という。取り組みを普及させるための条件を探り、適合させる手法を、枝廣さんは「広がりのデザイン」と呼び、いま一番力を入れているそうだ。

 「地球温暖化のように抽象度の高い問題の解決に向けて、多くの人をその気にさせるものは何か。」そうした問いと答えの両方を彼女は追求しているわけだが、その視点はそっくり財政危機の問題に当てはまる。

 巨額の財政赤字があることはわかっているが、府省庁、都道府県市町村、特殊法人等それらに準ずる組織などには、自分のところだけまじめにやったら損するだけだ、自分のところだけまじめにやっても何も変わらない、という意識が蔓延している。政治家も同様である。

 そうした中で、各ステークホルダーに、充実感や達成感が得られるようにしつつ、財政改革を推進してもらうにはどうしたらいいか、その手法を私たち市民も考え出していく必要がある。 

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2007年5月 3日 (木)

経済同友会が提案する税制改革

 経済同友会の財政・税制改革委員会(委員長=井口武雄三井住友海上前会長)が4月23日に税制改革案を発表した。「社会のために皆が願いを込めて納める税制への改革」と一風変わったタイトルが付いている。「わが国の厳しい財政状況を考えると、一刻の猶予も許されません。経済同友会では、個人も企業も活性化して、社会のために皆が願いを込めて納めてくれるような税制の実現が必要であると考え、抜本改革案を取りまとめました」と言っている。

 くわしい内容は皆さんそれぞれに見てもらうことにして、注目したい点を挙げる。第一に、増税なしにプライマリー・バランス(基礎的財政収支)の黒字化をめざすべきだと言っていること。歳出改革は不十分なので一層の歳出削減を行い、経済成長による税収増と合わせれば、政府のいう2011年度のプライマリー・バランス達成を前倒しできるとしている。

 第二に、「公的年金は老後のナショナル・ミニマムとしての基礎年金のみとし、それを消費税で賄います」という。これは全額を目的消費税で賄う新基礎年金(給付月額7万円)を創設し、年金保険料をゼロにするというもの。このために設ける年金目的消費税は9%に相当するとしている。(4月3日に経済同友会の社会保障改革委員会が発表した提言「活力ある経済社会を支える社会保障制度」に書かれていることだが、そこでは年金目的消費税率を2010年代から2050年にかけて9~10%で推移する、としている)

 改革案を読むと、年金保険料を消費税に振り替えるのだから、9%の年金目的消費税は増税の範疇には含めていないらしい。また、「直間比率の是正や三位一体の改革に伴って地方消費税の割合を高める必要があります」ということで、地方消費税の税率を引き上げるのも、やはり増税の範疇には入れていないようだ。

 同友会は「消費税は社会保障と地方を支える基幹税として益々重要になる」と考えている。そして、上記の改革実施により、持続可能な財政の基盤になる消費税改革(年金目的税9%+国税2%+地方税5%=合計16%程度)が2010年代中頃に実現する見通しがつくとしている。

 第三に、法人事業税の廃止を求めている。「地方消費税に置き換えるのが妥当」と言っている。「地方税収に占める法人所得課税の割合が諸外国に比べて大きくなっています。所得割・付加価値割・資本割からなる法人事業税は複雑で執行コストも高く、外形標準課税の適用条件が中堅企業の資本政策に影響を与えかねないなど様々な問題があります」という。これは、いわゆる東京問題ともからむ話だ。

 余談だが、この税制改革案をつくった財政・税制改革委員会は53人の会員がメンバーだが、第二次産業に所属する人の数は片手に満たない。税制のように国の姿形を決める基本的な仕組みについて、ものづくりの分野の経営者が関心を持たないとは憂うべきことである。“老憂会” から脱すべし。

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