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2007年5月16日 (水)

行財政改革に苦悩する岡山市

 NHKの報道番組「存続か廃止か~岡山市の住民サービスをめぐる攻防~」(5月14日)は、7千億円の借金を抱える岡山市の行財政改革への取り組みについて、市役所の内部および市民の両面から取材していて、とても興味深かった。

 市の行なっている行政サービスを1つ1つ取り上げて、存続か、廃止か、縮小か、民営化か、などに振り分けていく作業は、かつて三重県がやった方式だと思うが、労多くして功少なしという印象を受けた。なぜなら、市役所の各部門が必要性を言い立てるのを、行財政改革推進本部のような限られた員数しかいない組織が論破するのはきわめて困難だし、時間もかかるからだ。また、役所の仕事は費用対効果で評価しにくいという事情もある。

 放送を見ていて思ったことだが、国の諸官庁が、それぞれ手掛けている業務の必要性を主張し、行財政改革に抵抗しているのと同じである。

 また、歳出カットばかりでは元気が出ないと、市議会議員が市長に反対する場面もあった。また、区画整理が行なわれていない地区の住民は区画整理を早く実施するよう求め、市の借金が膨大だろうと、関係ないという様子だった。

 個別に見ていくと、それぞれ、もっともな言い分のようにも思えるが、いずれも、必要なカネはどこから持ってくるのか、を抜きにして、カネを使う必要があるということだけの議論になっている。行財政改革担当者を別にして、岡山市全体の借金をいかに減らすかという基本的な課題は見事にそれぞれの意識から欠落している。現状維持というか既得権擁護というか、抵抗勢力とはどういうものかを示している。

 自治体も、そして国もだが、もっぱらカネの使い方だけを議論してきた。カネはついてくる、という発想が強かったからである。それが長期経済低迷のもと、財政赤字を膨らませてきた。この歪みを改めるには、税収に見合う歳出規模にとどめる、ないしは、歳出に見合う税収を確保する、という財政の基本を市役所、市議会、市民に徹底的にわかってもらう必要がある。

 そのためには、地方交付税交付金や国庫補助金を大幅に削減し、自治体経営は基本的に、税収で歳出をまかなうという形にしなければいけない。そうなれば、いまの歳出規模を維持するためには税金を大幅に上げる必要があるとか、税金を上げるのがいやなら歳出を削減するしかないというように、わかりやすい仕組みになる。市民の判断が行政サービスと税負担とを決めるから、自治意識が育つだろう。

 岡山市の行財政改革の苦闘を早期に実りあるものにするには、国が権限と財源とを地方自治体に大幅に移譲する必要がある。放送を見て、それを痛感した。

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