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2007年5月 3日 (木)

経済同友会が提案する税制改革

 経済同友会の財政・税制改革委員会(委員長=井口武雄三井住友海上前会長)が4月23日に税制改革案を発表した。「社会のために皆が願いを込めて納める税制への改革」と一風変わったタイトルが付いている。「わが国の厳しい財政状況を考えると、一刻の猶予も許されません。経済同友会では、個人も企業も活性化して、社会のために皆が願いを込めて納めてくれるような税制の実現が必要であると考え、抜本改革案を取りまとめました」と言っている。

 くわしい内容は皆さんそれぞれに見てもらうことにして、注目したい点を挙げる。第一に、増税なしにプライマリー・バランス(基礎的財政収支)の黒字化をめざすべきだと言っていること。歳出改革は不十分なので一層の歳出削減を行い、経済成長による税収増と合わせれば、政府のいう2011年度のプライマリー・バランス達成を前倒しできるとしている。

 第二に、「公的年金は老後のナショナル・ミニマムとしての基礎年金のみとし、それを消費税で賄います」という。これは全額を目的消費税で賄う新基礎年金(給付月額7万円)を創設し、年金保険料をゼロにするというもの。このために設ける年金目的消費税は9%に相当するとしている。(4月3日に経済同友会の社会保障改革委員会が発表した提言「活力ある経済社会を支える社会保障制度」に書かれていることだが、そこでは年金目的消費税率を2010年代から2050年にかけて9~10%で推移する、としている)

 改革案を読むと、年金保険料を消費税に振り替えるのだから、9%の年金目的消費税は増税の範疇には含めていないらしい。また、「直間比率の是正や三位一体の改革に伴って地方消費税の割合を高める必要があります」ということで、地方消費税の税率を引き上げるのも、やはり増税の範疇には入れていないようだ。

 同友会は「消費税は社会保障と地方を支える基幹税として益々重要になる」と考えている。そして、上記の改革実施により、持続可能な財政の基盤になる消費税改革(年金目的税9%+国税2%+地方税5%=合計16%程度)が2010年代中頃に実現する見通しがつくとしている。

 第三に、法人事業税の廃止を求めている。「地方消費税に置き換えるのが妥当」と言っている。「地方税収に占める法人所得課税の割合が諸外国に比べて大きくなっています。所得割・付加価値割・資本割からなる法人事業税は複雑で執行コストも高く、外形標準課税の適用条件が中堅企業の資本政策に影響を与えかねないなど様々な問題があります」という。これは、いわゆる東京問題ともからむ話だ。

 余談だが、この税制改革案をつくった財政・税制改革委員会は53人の会員がメンバーだが、第二次産業に所属する人の数は片手に満たない。税制のように国の姿形を決める基本的な仕組みについて、ものづくりの分野の経営者が関心を持たないとは憂うべきことである。“老憂会” から脱すべし。

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