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2007年6月 1日 (金)

現役のジャーナリストへ一言

 新聞、放送などの記者会見をみていると、質問があまり活発でないように思える。日本記者クラブのようにOBのフリージャーナリストがたくさん出席する記者会見では、現役の記者の質問はきわめて少ない。

 時間があっても、質問の手が上がらないから、聞きたいことがないのか、というと、さにあらず。会見者である政治家などが会場から出ると、たくさんの現役記者が取り囲み、質問している。このように、公式の会見ではあまり質問しないで、非公式のぶらさがり会見ではいろいろ質問しているのである。

 政治家などにとって、公式の会見で発言したことは、重みがある。言うなれば、記者と取材対象との真剣勝負である。政治家などが会見でおかしなことを言ったら、言い逃れできない。だから、記者会見で、いやがる点をぎりぎり攻めたり、あいまいな点をきびしく突っ込んで本音を引き出すのは、国民の知る権利に直結し、メディアの存在意義を高める。

 一方、非公式のぶらさがり会見は、気軽に何についても質問できるし、相手もあまり構えることなく話す。だから、しゃべってはまずいことをうっかり洩らしたりすることもある。それはそれで、取材の意義がある。しかし、公式会見を軽視するのは間違っている。

 この傾向は割合、近年、目立つようになったが、その原因は何か。公式の記者会見はどこのメディアの記者も出席している。だから、特ダネにもならないし、特オチにもならないとか、質問して、こちらの手の内(どんな情報を握っているか、取材のねらいは何かなど)を他社に知られるのは損だというような、メディアの間の競争意識が強く作用しているような気がする。

 話が飛ぶようだが、先日、科学史の研究者である村上陽一郎(国際基督教大学教授)氏の話を聞いた。その中で、興味深かったのは、トーマス・ハクスレーが1940年代に言ったという話の一部である。pianistとかbotanist(植物学者)とかというように後ろに「ist」が付くのは、狭い領域の専門家を指す。一方、musicianなどのように「ian」が付く言葉は広い領域の専門家を指すのだという。ところが、scientistという言葉はscient(知識)という広い領域を意味する言葉のあとに、狭い領域の専門家を示す「ist」を付けたものだから、ハクスレーは「何ときたならしい言葉か」と言ったというのである。

 では、journalistは、この伝でいくと、狭い領域の専門家にあたるわけかーー村上氏の話を聞きながらそう思ったのだが、新聞、放送などの現役ジャーナリストには、journalのあとに「ian」の付くような仕事の仕方をめざしてもらいたいものである。

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