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2007年6月29日 (金)

長時間労働をなくすことに真剣であれ

 日本経済団体連合会の「企業行動憲章」(最新版は04年5月18日決定)および「企業行動憲章」実行の手引き(最新の第5版は07年4月17日決定)を関心のあるところだけ読んだ。なかでも関心を持って読んだのは長時間労働について、どのようにとらえて、どう改めようとしているか、だった。

 憲章の10項目のうちの第4には「従業員の多様性、人格、個性を尊重するとともに、安全で働きやすい環境を確保し、ゆとりと豊かさを実現する」とある。

 そして、手引きには、その「背景」として(1)人間尊重の経営の堅持、(2)グローバル化の進展、(3)人口減少社会への対応とワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)の推進、(4)持続的発展と競争力強化のための人材育成強化、を挙げている。

 そして、次に①「ワーク・ライフ・バランスを推進するとともに、多様な人材の就労を可能とする人事・処遇制度を構築する」、②「雇用および処遇における差別を行わず、機会の均等を図る」、③「労働災害を防止し、従業員の健康づくりを支援する」、④「従業員の個性を尊重し、従業員のキャリア形成や能力開発を支援する」、⑤「従業員と直接あるいは従業員の代表と誠実に対話、協議する」というように分けて、それぞれ「基本的心構え・姿勢」および「具体的アクション・プランの例」をかなり細かく記している。

 しかし、どこにも長時間労働とか残業といった言葉が見当たらないし、当然、それをなくすとか、減らすとかいう問題意識もうかがえない。「具体的アクション・プランの例」のなかに、「36協定の締結」、「労使による労働時間などの設定改善委員会‥‥を設置する」という言葉はあるが、長時間労働が、本人の健康や家庭生活に悪影響を及ぼし、少子化、子供の非行などを招いたり、男女差別を存続させる要因となったりしているという問題意識が全くない。驚くばかりだ。

 2月14日のブログ「時間外労働と賃金割増率を云々する前に考えるべきこと」で、労働基準法には1日8時間労働、1週間に40時間労働という基準がある(第32条)ことを書いた。労使が協定すれば残業や休日労働させることができる(第36条)が、「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすものでなければならない」(第1条)ことが大前提である。

 「企業行動憲章」を読むと、「ステークホルダーとの対話を重ねつつ社会的責任を果たす」、「法令遵守が社会的責任の基本である」、「企業と社会の発展が密接に関係している」、「国の内外を問わず、人権を尊重し、関係法令、国際ルールおよびその精神を遵守するとともに、社会的良識をもって、持続可能な社会の創造に向けて自主的に行動する」などと美辞麗句を並べている。

 しかし、現実の長時間労働、休日出勤の多さをみると、「憲章」はまさに「百の説法、屁一つ」である。

 それよりも、日本経団連は、残業などをやめて、1日8時間、週40時間の労働時間の中でフルに仕事をし、成果を挙げるように、会員企業に呼びかけたらどうか。企業は生産性が上がり、社員など働く者は家庭生活をエンジョイできる。そして結婚する人が増え、子供がもっと生まれるだろう。それに子供が健全に育つ。一挙にそこまでいかなくとも、一歩踏み出すことが大事だと思う。

 現実の企業は国際競争があるし、そう、きれいごとだけではいかないという事情もあるだろう。知識集約型の産業・企業においては、在宅労働もありうるし、8時間労働という発想が合わない面も出てきている。ホワイトカラー・イグゼンプションの導入を求める理由もわかる。でも、物事を考える基本として、1日8時間、1週40時間を忘れてはいけない。

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