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2007年7月 2日 (月)

医療問題の原因は根深い

 「崩壊する地域医療~命をどう守るか」(東京市政調査会主催の公開講座)を聞きにいった。最近は、医療問題といえば、地方で医師不足が深刻化していることと、産科、小児科、放射線科など特定の診療科の医師がとみに減ってきていることとが主なもの。その対策などをめぐっていろいろ話が聞けた。その中で印象に残った内容を以下に記す。

 電子カルテをいつでもどこでも見ることができる仕組みづくりをしている「どこカル.ネット事業」の統括責任者、北岡有喜氏(国立病院機構京都医療センター医療情報部長)が基調講演を行なった。最近は、ネットなどで病気と治療方法についてくわしい情報を持つ患者やその家族が増えてきた。医者のほうも、患者のデジタルデータをデータウエアハウスに集め、患者の求める医療をテーラーメードで提供するように変わっていかなければならない。EBM(根拠に基づく医療)を行なうようになれば、個々の医療のコストが明らかになるので、診療報酬の適正化につながるという。

 長岡市長の森民夫氏は、市町村の行政があまり関わってこなかった分野として警察、教育とともに医療を挙げた。いまは大した病状でもないのに、やたら大病院に行くし、救急患者が増えている。そこで、市が1千万円出して子供急患センターをつくった。そこで、本当に大病院での治療が必要か振り分けるのだという。これに関連して、子供の身体の具合が悪くなったとき、どうしたらいいか、について母親教育が必要だと語った。

 以前、長岡市では救急救命士の制度をつくろうとし、厚生労働省に要望した。同省は「医師が救急車に乗ればよい」と言って拒否。「もし、失敗したら責任をどうとるのか」とも言ったらしい。森市長は医師の権益を擁護する厚労省および医師会を批判し、保健士等に医師の業務の周辺部分を任せたらいいと述べた。

 岩手県花巻市から来た佐藤かづ代氏(お産と地域医療を考える会)は花巻市が東京都23区の総面積に匹敵する広さがあり、そこでの医師不足で、市民が診療を受けに通うのがいかに大変かを強調。活動を始めた3年半前は産科医不足を問題にしていたが、その後、助産師の利用を中心にお産を考えるようになったという。

 新藤宗幸千葉大学教授(司会)によると、千葉大の中で最もコミュニケーション・リテラシーを欠いているのは医学部の学生だという。

 患者とのコミュニケーションがろくろくできない医者なんてマンガみたいだが、偏差値が高い大学受験者は医学部に行くのをよしとする風潮はいまの医療問題の原因の1つだ。自治医大、防衛医大の卒業生にしても、地方公共団体や国の望む進路をきらって自分の行きたい病院などに行く者が増えているという。

 新藤教授が「使命感のある医師をどうやって育てられるか」と問題を提起したように、医療の崩壊を避けるには、制度上の問題だけでなく、担い手の選別、育成から見直しが必要のようだ。

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