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2007年7月30日 (月)

参院選における自民党の歴史的大敗

 29日の選挙で、民主党が圧勝し、自民党は与党の公明党と合わせても、参院の少数派になった。衆議院と参議院とで与野党の勢力図が逆になったから、今後の政治はやたら対立し、にっちもさっちもいかないのではなかろうか。

 自民党の大敗は、年金問題、政治資金問題、大臣の自殺、格差問題、コムスンの不正、閣僚の不用意発言、首相のリーダーシップへの不信、地方の医者不足、地震による原発への不安等々、次から次へと、多くの国民が不安や不信を抱く出来事がメディアで大きく報じられたことが原因だろう。そして、民主党が政権交代のチャンスはいましかない、と訴えた作戦は、その主張自体、いま一つ根拠がはっきりしないものだったが、有権者の心をうまくとらえたのではないか。

 戦後政治の大きな流れを踏まえれば、自民党がずっと政権の座にあることは、民主国家としては異常な現象であった。したがって、国民を不安や不信に追いやった政権党が選挙で敗れるのは憲政の常道である。次の衆議院選挙で国民がどのような判断を下すかが注目される。

 小泉政権のもとで、自民党は官僚制度に乗っかった利権政党という古い体質の賞味期限が切れたと判断し、それからの脱皮を始めたと見ることができる。それによってグローバルな経済競争に日本が生き残ろうとしたわけである。しかし、そうした転換には、過去、ずっと自民党の支持基盤だった官僚、地方、農業、中小企業など、既得権益を失う層の抵抗や反発を伴う。そうした抵抗や反発に加え、まだまだ強く残っている古くからの自民党の病弊が相次いで表面化したことが今回の選挙結果に現れたのだろう。

 しかし、今回の選挙では、財政危機からどうやって国・地方の財政を再建するかという最大の課題は棚上げされたままだった。税財源の話をしないで、あれをやります、これをやりますと、カネを出すことばかり言う政治は、財政破綻を招き、国民の生活を根底から破壊する。国民の不安や不信が強いことは確かだが、国民をおいしい話ばかりで釣るという選挙公約には腹が立った。

 小泉政権以降の自民党は、財政赤字の積み増しによって維持してきた既得権益をこれ以上認めれば、財政破綻するしかないことを承知している。しかし、政権の座にある自民党でさえ、参院選で消費税などの負担増については国民に問うことができなかった。消費税引き上げをしないという民主党が勝利した結果、財政赤字が一層増大する政策が採られるようなことがあれば、この国の将来は暗い。

 「ならぬことはならぬものです」ーー会津若松の鶴ヶ城(若松城)に登ったら、会津の人々の独自の文化として、この言葉が紹介されていた。会津若松駅の広場にも、この言葉が大きく掲げられている。今回の選挙で与野党が肝心要めの財政再建問題を争点からはずしたのは、まさに、してはいけないことだった。それは将来の日本に禍根を残すと思う。

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