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2007年7月13日 (金)

年金でたらめ、メディアにも責任がある

 社会保険庁の年金業務がでたらめだったため、国民の不安と不信が極度に強くなっている。そして、それが参議院選挙の争点になっている。野党は、自民党を攻撃する格好の材料にしているし、批判を浴びた自民党は、きちんとした対応をするので安心してほしいと懸命に訴えている。

 新聞、テレビなどのメディアがどこも年金問題を大きく取り上げ、社会保険庁、厚生労働省、自民党、与党の責任を激しく追及したことが、広く問題を国民に知らせる効果があった。まさに、メディアの威力である。

 しかし、この年金問題は何十年も前からの過ちが累積したものであり、その時々に過ちをただしていたら、これほど深刻な問題にならずにすんだはずだ。そうしたお目付け的な報道もメディアの重要な機能であるが、年金問題に関する限り、メディアは全く無能だったといわざるをえない。年金問題の責任を云々するときには、メディアの責任も問われてしかるべきだ。

 どうしてメディアは無能だったのか。想像するに、いくつかの原因がある。①新聞・テレビ記者などは厚生労働省(旧厚生省)本省(社会保険庁も一緒)の記者クラブにいて、もっぱらキャリア官僚から取材しており、社会保険庁の実務的な仕事をしている非キャリア官僚からはほとんど取材しない、②記者たちは複雑な年金保険などの細目を勉強していないので、取材先の言う通り報道する傾向がある、③県庁を取材する記者たちも、年金保険に関する知識が足りない、④第二次大戦後も、メディアにおいては官に対する信頼が強く、役所のレクチャーをそっくり反映した報道が多い、⑤メディアは役所取材に基づく報道中心で、年金保険も加入者(国民)の視点に立った報道よりも、保険料納付率引き上げ、資金運用など保険者(政府)の視点に立った報道が多い、⑥厚生省が天下りを条件に保険制度の設立を認めるといった不正があまりにも当たり前に行なわれていたので、不正に不感症になって、問題視しないーーなどである。

 厚生省の記者クラブは新聞社の場合でいうと、社会部からと、経済部ないし政治部とから記者が詰めている。社会部は衛生、医療事故など事件を追う。経済部ないし政治部は社会保障、人口、中国残留孤児などの問題を主に取材する。制度の新設、改正などは何年に一度のことなので、長年、同じ問題をフォローする記者でないと、よくわからない。しかし、長くフォローしている編集委員、論説委員なども、官僚とべったりになりやすい。自らもキャリア官僚のインナーサークルに入ることもある。

 かつて厚生省の審議会のあとの記者会見で、同省幹部が記者の質問に答えようとしたら、記者としてその場にいた、審議会メンバーでもあるNHKの解説委員が「私から答えさせてもらいます」としゃべりだしたことがある。これなどは、自分が記者であることを忘れている典型だ。この解説委員は現在、民主党の議員である。

 メディアにたずさわる人たちの基本は、役所の利益よりも国民の利益を優先する、官僚よりも広い視野で多角的に問題をとらえる、中立、公正(フェア)を重んずることである。メディアおよびそこにいる人たちは今回の年金問題で、政府などを叩くだけでなく、自らの反省も忘れないでほしい。

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