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2007年8月22日 (水)

国・地方のどえらい借金を忘れないで

 財務省のホームページには「日本の財政を考える」というコーナーがある。07年度末で国の借金は約547兆円、対GDP比177.6%、また国・地方の長期債務残高は約773兆円、対GDP比148.1%という。

 参議院で民主党が第一党になり、与党の自民党・公明党は従来、考えていたような筋書きで政策をどんどん推し進めることはできなくなった。しかし、財政赤字の累積が危機的なぐらいに膨らんだ事実は民主党も否定できないのだから、財政改革のありかたについて与野党双方が真剣に議論し、当面の政策および中長期の展望と政策について合意してほしい。さもないと、財政危機が現実化しかねない。

 「日本の財政を考える」の中に「現状を放っておくと何が困るの?」というページがある。それによれば、借金の増大でその返済に追われることになると、政策に使える予算の割合が減ってしまう。また、国債に対する国民・投資家の信認が下がると、金利が急激に上昇し、それが投資の抑制など経済全体に大きなマイナスの影響を及ぼす。そして、将来への不安から消費が落ち込む。それらが重なると、経済が低迷するなど国民生活に大きな影響が出る。公債の発行による借金残高は将来の世代に負担を先送りすることであり、将来世代が借金の返済に苦しむことになる、という。

 それゆえ、政府・与党は高い経済成長や歳出削減、増税で2011年度までに国・地方合わせた基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化を目標とし、2010年代半ばに向け、債務残高の対GDP比を安定的に引き下げることを目指している。民主党がこれにどのような対案を打ち出し、財政改革に立ち向かうつもりか、秋以降の国会の注目点である。

 ところで、財政危機について、「そもそもこんなに巨額に達した国債や年金債務は返せないことを認識する必要がある。(中略)今できることは、せいぜい国債や年金債務の膨張を食い止めることだけである」(金子勝著『戦後の終わり』2006年8月刊)と言い切る見解もある。

 ではどうするのか。同書によると、株式会社を再建するための新旧会社分離のように、債務と売却可能な金融資産とを債務管理会計として分離する。そして低利の長期債に借り換え、債務を実質的に凍結する。金融資産は売却して債務圧縮に充てる。これが金利の急激な上昇でうまくいかないときは、シャウプ勧告のように、大幅な資産課税をして公的債務を圧縮するしかないという。

 これは、極端に言えば、国債保有者に100%課税をするような事態を想像すればよい。国民にしてみれば、保有している国債の価値がゼロになることである。国家権力なら、そんなことができる。あるいは、国民が保有する金融資産に50%といった臨時資産課税をするようなこともないとはいえない。

 過去の歴史に照らせば、物価が何倍、何十倍、何百倍にもなる猛烈なインフレによって、公的債務は一挙に軽いものになる。国民が増税などの負担増を嫌い、一方で歳出拡大を望めば、そうしたインフレが必然的に起きよう。その結果、国民経済は崩壊し、日本の沈没は免れない。

 財務省の「日本の財政を考える」は、いまこそ国民にもっと財政破綻のおそろしさをわかりやすく伝えるべきだと思う。 

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