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2007年8月 4日 (土)

『反転 闇社会の守護神と呼ばれて』を読む

 元特捜検事・弁護士の田中森一氏が書いた『反転 闇社会の守護神と呼ばれて』は引き込まれるようなおもしろさがある本だ。赤貧洗うがごとしの幼少年時代から始まって、進学、司法試験の勉強、合格、検事への進路、検事時代、そして弁護士への転進、バブル時代における裏の世界との付き合い、検察による逮捕と、田中氏の変転の人生を描いている。

 彼が検事時代に追及した事件、やめてから顧問弁護士などとして関わった裏の世界の事件や暴力団幹部、仕手筋、地上げ・不動産開発業者など、カネをめぐる欲と悪徳の生態を詳しく述べている。具体的に、私たちが知っている事件および登場人物が次々に出てくるので、ああ、そうだったのか、と思うことが少なくなかった。

 検察や警察がいかにひどいものか、実態の暴露内容は衝撃的なほどである。驚いたのは、「被疑者に人権がある、などと本気で考えている検事もいない。検事はみな傲慢であり、被疑者に対しては『俺が権力だ。俺の言うことを聞け。(中略)』という発想である。こうした傲慢さは、霞が関の官僚全体にあるが、検察官はことさらその傾向が強い」という記述だ。「特捜部」というと、正義の味方のように思っている国民もいるようだが、その意義と限界ないし問題点を本書は指摘している。

 また、国会議員や経済人が闇社会といろいろな形でつながっていることが本書に示されている。ときには官僚もだ。いまをときめく政治家が当時、何をしていたのかも垣間見ることができる。バブルの時代には、裏の世界と表の世界とが事実上一体になっていたという著者の指摘はあながち見当はずれではない。おそらく、現在も、この日本の深層海流はなくなってはいまい。

 闇社会の人間であれ、上に立つ者はどこか人間としての魅力があるという著者の言葉に間違いはない。しかし、だからといって、顧問弁護士として、彼らの罪を軽くするために悪知恵を授けたりしたのは納得できない。きれいごとかもしれないが、弁護士法第一条(弁護士の使命)「弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする」「前項の使命に基き、誠実にその職務を行い、社会秩序の維持及び法律制度の改善に努力しなければならない」をはずれる弁護士は資格をはく奪されてしかるべきだ。

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