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2007年8月31日 (金)

超低金利政策を続けるだけでいいのか

 日銀が超低金利政策を続けている。金融政策のプロが議論して決めているのだから、素人が口を挟む余地はない。でも、疑問はずっと残っている。

 第一に、多くの人は日本経済がよくなっていることを実感している。にもかかわらず、歴史的な超低金利が長く続くというのは変だ。早晩、景気循環の下降局面を迎えるが、そのときに、金利引き下げという政策手段がとれないのは非常に困った事態である。その際、おそらく、財政による景気浮揚に頼ろうとするだろうが、それは政府の借金をさらに大きくし、財政破綻に近づく。

 これまでも日銀はデフレ脱却か否かを物価で判断してきたように思う。しかし、グローバル経済のもとでは、企業のコストダウン努力などのため、物価はそうそう上がらない。実態経済の活況を見れば、デフレか否かを、金融政策を決めるものさしとすること自体がおかしいように思う。水野温氏審議委員以外の日銀審議委員たちは現実よりも理論を重視しているのだろうか、とすら言いたくなる。

 日本が超低金利政策を変えないというので、日本で安い金利の資金を調達して外国で運用すると確実にもうかる。このため、外国のファンドなどがうまい汁を吸ってきた。だが、それが国際的なマネー投機の行き過ぎを招き、米国のサブプライムローン問題にもつながっている。

 また、政府・日銀が超低金利政策を続ける背景には、膨大な国債発行残高がある。短期金利を上げれば、長期金利も上がるだろうから、国債金利の支払い増加を招き、財政運営がより難しくなる。いまでも政府の債務は増え続けているのだから、政府としては何が何でも超低金利状態を維持してほしいだろう。

 しかし、金利水準が正常化することによるプラス面をきちんと評価すべきではないか。まず、金利が上がれば、預貯金金利が高くなり、預貯金者の懐をうるおす。また、円高になるから、購買力が実質的に高まる。したがって、内需が拡大し、輸出一辺倒の景気上昇の歪みを是正するだろう。メディアはいまもって円高が輸出産業にマイナスだという点を強調するが、円高は私たちの生み出す付加価値が国際的にみて上がることである。

 金利上昇による財政への負担増大は、政府がいかにサラ金的な経済運営をしてきたか、また、私たちの暮らしもそれに甘え、乗っかってきたかを反省するきっかけとなる。ない袖はふれぬ、という基本に立ち返るいい機会である。

 超低金利を続けることは、異常状態に慣れてしまった政府・日銀の怠惰の表れだと思う。経済界も同様だ。学者・エコノミストぐらいはしっかりしてくれないといけないが‥‥。 

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