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2007年8月23日 (木)

日中世論調査にみる意識の隔たり

 日本の言論NPOと中国の北京大学および中国日報とが共同で行なった世論調査の結果が今月、発表された。調査の結果は言論NPOのホームページに掲載されている。いろいろな観点からの質問があり、とても興味深いが、調査の結果からは、日本(の国民)と中国(の国民)とがお互いに理解を深め、信頼するに至るのは容易なことではないことが読み取れる。

 日本の中国に対する印象は、世論調査だと、「どちらかといえば良くない印象」が57.6%、「大変良くない印象を持っている」が8.7%に達する。中国に接する機会の多い有識者の調査だと、「どちらかといえば良い印象」49.0%、「どちらかといえば良くない印象」42.3%であるなど、良い印象のほうが少し多い。

 これに対し、中国の日本に対する印象は、世論調査では「普通」36.9%、「良くない」29.5%、「良い」23.7%、など。しかし北京大学、清華大学、中国人民大学など5校の学生を対象とした調査だと、「良くない(あまり親近感がない)」51.1%、「大変良くない」13.5%と否定的な回答が3分の2近い。

 では、相手国に否定的な印象を持っている理由は何か(複数回答)。日本の世論調査では、「歴史問題などで日本を批判するから」61.7%、「資源やエネルギー、食料の確保の行動で自己中心的にみえるから」42.4%など。有識者調査だと、「資源やエネルギー、食料の確保の行動で自己中心的にみえるから」が59.1%とトップ。次いで「中国の政治や経済の先行きが不透明だから」43.1%である。

 中国の世論調査では「歴史問題が解決されていないから」58.0%、「かつて中国と戦争を起こしたから」57.5%が際立って多い。学生調査だと「歴史問題が解決されていないから」が74.1%、「日本の指導者が中国人の国民感情を傷つける言論や行動をとるから」57.0%などとなっている。

 中国の学生調査によると、軍事的な脅威を感じる国・地域はどこか(複数回答)のトップは日本76.4%であり、その原因は「日本には侵略戦争を起こした歴史があり、今もなお軍国主義の復活を望む人がいる」68.9%、「日本は積極的に国際安全保障、平和維持への関与を求め、軍事力を強化し、軍事大国になろうとしている」53.5%などという。世論調査でも、「日本には侵略戦争を起こした歴史があり、今もなお軍国主義の復活を望む人がいる」61.8%などという。

 日中関係を阻害・妨害する主な問題は何か(複数回答)。日本の世論調査では「歴史問題への日本側の対応」63.1%、「領土紛争」40.8%、「中国の反日教育」35.6%、「中国の反日感情や反日行動と、それに対する中国政府の姿勢」33.3%などである。

 中国の世論調査も、「歴史問題(靖国参拝、教科書問題、侵略否定発言など)74.6%がトップで、次が同様に「領土問題(東シナ海、尖閣諸島)」44.6%。学生調査だと、「歴史問題」87.2%、「領土問題」73.5%が突出している。

 では、歴史問題については、どの問題を解決するのが重要か(複数回答)。日本の世論調査は「首相の靖国神社参拝をめぐる問題」59.7%、「中国の教育や教科書内容」45.8%、「日本の歴史教科書問題」43.3%などとなっている。しかし、有識者調査だと、トップは「中国の教育や教科書内容」62.0%。以下、「首相の靖国神社参拝をめぐる問題」54.7%、「中国のメディアの日本についての報道」43.7%と続いている。

 中国の世論調査では、「南京大虐殺問題」66.7%、「日本首相による靖国参拝問題」49.1%、「日本の教科書問題」48.8%などとなっている。学生調査だと、「日本の教科書問題」56.1%、「日本人は過去の歴史への反省、謝罪が足りず、誠意がない」50.1%、「日本首相による靖国参拝問題」48.9%などである。日中とも相手国の歴史教科書に歪曲があると思っていることがわかる。

 自国のメディアは客観的な報道をしているか。日本の世論調査では、「基本的に客観的な報道だと思う」29.3%、「日本の側に立った主観的な報道だと思う」18.3%、「日中間の対立を強調する報道が多い17.6%、「どちらともいえない」34.6%。有識者調査だと、「日中間の対立を強調する報道が多い」33.0%がトップ。

 ところが、中国の世論調査では、「基本的に客観的な報道だと思う」59.7%が一番。「中国の側に立った主観的な報道だと思う」21.1%である。これに対して、学生調査だと、「おおむね客観的」35.1%、「中国の立場に立った主観的な報道」33.7%、「中日間の対立を強調した、感情的な報道が多い」22.5%と、割合、冷静な見方をしている。

 日中の友好関係を強固なものとするには、こうした共同調査でお互いの認識の異同を知ることが大事だと改めて思う。

 

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