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2007年8月29日 (水)

改造内閣に欠けているもの

 27日の安倍内閣改造は、私が山形県に旅行しているときに行なわれ、新しい顔ぶれをテレビ放送で知った。ローカルニュースでは、地元選出の遠藤武彦氏が農林水産大臣に決まったことをトップニュースで扱っていた。しかし、遠藤氏が農水大臣になることで、同県の農業が明るい展望が持てるという反響ばかり。大臣は地元の利益の代弁者ではなく、国全体の利益を考える立場だということはニュースでは忘れ去られている。

 それはそれとして、増田寛也総務大臣、舛添要一厚生労働大臣、与謝野馨官房長官ら、改造内閣には活躍が期待される人たちがいるが、いま一つ(というか、いま二つ、三つ)すんなりとは受け入れがたい点がある。

 まず、環境大臣である。来年、北海道で開催されるG8サミットは環境サミットといわれるように、地球環境問題が中心テーマだという。環境問題はエネルギー問題でもあり、経済社会のありかたを変える問題でもあり、外交戦略の問題でもある。

 したがって、当然、環境大臣はそうした問題に見識があり、ポスト京都議定書のありかたについて、主要国を説得できるだけの国際的な枠組みを打ち出せる人物でなければならない。安倍首相は環境問題に疎いから、大臣までもが疎いと、結局は環境省などの官僚組織に丸投げになってしまう。まして、環境省、経済産業省などに任せていたら、省庁間の対立で、ろくな政策しか出てこない。それでは、いまから国際的な信用失墜が目にみえる。

 民間にはNPOをはじめとして、環境問題にすぐれた見識の持ち主がいる。増田氏を起用したように、環境大臣にそうした人物を選んでいたら、新内閣に対する国民の印象はもっと良くなっただろう。

 今回の顔ぶれをみて、いま一つだな、と思う最大の理由は、安倍首相が留任したことである。画竜点睛を欠くという言葉があるが、安倍首相以上の人物が新総理大臣であったら、ずっといい印象を受けたのではないか。

 安倍首相の記者会見では、何をしたいのか、何をすべきなのか、が明確でなかった。参院選で敗北した原因とされる年金、格差などの問題に手当てをするのはわかるが、そうした個別の問題を超えて、日本という国をどういう国家にしたいのか、がピンとこない。

 参院が野党多数になったのだから、与党は野党と十分に議論をする一方で、国民に語りかけ、支持を得るように努めなければならない。それしか、与党の活路はない。ところが、安倍首相率いる新内閣は、多様な国民の利害を超えてよりよい社会をつくるための道筋をわかりやすく国民に説明しているとは思えない。というよりも、説明して理解を得ようという意識がそもそも乏しい。

 夢を語ることは難しい時代であるが、何が国民の幸せであり、それを確保するために何をすべきか、を政治家は語ってほしい。さもないと、若者が悲観的な、刹那的なことばかり考えるようになってしまう。 

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