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2007年8月16日 (木)

暑いーーこれはただごとではない

 十年あまり前、インドネシアやタイなどを訪れたとき、南の国の強烈な暑さを初体験した。今週の日本の暑さはそれに匹敵するすさまじい暑さである(私は東京都内で実感した)。正確な比較はできないが、日本の今週の暑さは南の国以上に感じる。私個人は低体温体質であり、体温よりも高い気温はとてもしんどい。

 この暑さの原因を温室効果ガスによる地球温暖化だと断定できるほど科学は進歩してはいない。でも、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)に集まった世界の科学者の第4次報告によれば、人間活動による温室効果ガスの排出増加が気候変動の主因であることはほぼ間違いないようである。このすさまじい暑さはこの気候変動の1つの現象である可能性は大だ。

 先週、環境省と経済産業省の合同審議会で、京都議定書の削減目標達成計画見直しのための対策を議論したが、目標達成に向けての各界の合意は難しかったようだ。これが冷房の効いた会議室でなく、猛暑の屋外で議論していたら、どうだっただろうか。

 温暖化対策への取り組みにおける日本の不幸はいくつもある。まず、環境問題に重点的に取り組む有力な政治家がいない。先のサミットで安倍首相は2050年までに半減するという目標を掲げ、他の先進国をこの線でまとめたが、残念ながら、そこまで。この目標をブレークダウンして実行に結び付ける問題意識を持っていない。西欧では、政治として2020年までに20%削減とか30%削減と国全体の排出総量を減らす目標をまず設定するが、日本には、それがない。

 となると、例によって官僚の出番になってしまう。しかし、環境省はまことに非力。政策構想力も乏しいし、経済産業省など他省を説得し、引っ張っていく力量を欠いている。となると、各省の利害が対立するから、国全体の中長期的な削減目標を掲げ、その実現のために、どういう政策手段をとるか、といった大きな枠組みがなかなかできない。

 一方、温室効果ガス排出が多い経済界は、日本経団連が自主行動計画を推進し、それなりの成果をあげてきた。このため、政府は規制的な措置を強引に押し付けにくい。経済界は、自分たちはきちんと削減努力をしてきたのだから、他の分野こそ削減すべきだという。しかし、私の目からみれば、製造業の削減は評価できるものの、それだって、90年から15年とか20年かけて6%減らすのもやっとこせだ。オフィスや輸送の分野では削減努力が足りない。それに家庭の資源・エネルギー消費が増え続けている一半の理由は、メーカーが売る商品のせいである。例えば、薄型テレビの大型画面化で1台当たりの消費電力は上がっている。

 しかも、日本経団連の自主行動計画は、企業の排出総量を削減するか、原単位当たりの排出量を削減するか、いずれでもよい。後者だと、生産量が増えたら、排出総量は増えることがありうる。そして、自主行動計画の最大の問題点は、いまの時点で、何とかできそうな目標しか掲げないことだ。

 できるかできないかわからないが、どうしても達成せねばならない目標をまず掲げ、それをいまからどうやって実現していくか、というバックキャスティングの発想が欠けているのである。バックキャスティングの発想に立てば、現状を否定するぐらいに全く新しい視点でビジネス全体を組み直す覚悟が要る。いま、それが求められているのに、日本経団連はいまのやりかたに固執している。

 経済同友会の桜井正光代表幹事(リコー会長)は「絶対に総量規制が必要。地球で吸収しきれないと言っているのだから、原単位削減の話ではない。そして、次に国、産業などにどう分担してもらうかだ。そこで原単位の話も出てくる」、「環境税、排出権取引は手段の話。これらはあっていい」、「同友会は従来、温暖化対策についてほとんど発言してこなかった。日本経団連の自己目標、自己達成に委ねている。しかし、私はそれを変えていきたい」(7月25日の記者会見)と語った。そこに一筋の光明がみえる。

 日本の企業には、2020年とか中長期の時点をターゲットにした野心的な自主削減目標を掲げるところがほとんどない。温暖化対策ではバックキャスティングが重要だから、欧米のビッグビジネスをリードするような削減計画を出してほしい。目先の小手先の新製品ばかり出す大企業の経営者よ、21世紀の世界、地球環境問題など人類の生存を危うくする大状況に目を向けてください。

 われわれ庶民も、資源・エネルギー多消費のライフスタイルにもう終止符を打とう。何でもかんでも都合の悪いことはひとのせいにするジコチューを反省しよう。暑い暑いと言うだけでなく、暮らしをシンプルに変えていくきっかけにしよう。レスター・ブラウンの『地球白書』が一番売れたのは日本だったというように、日本には、環境問題をまじめに考える多くの人々がいるのだから、まともに仕事のうえでも家庭生活でも温暖化対策に取り組もう。皆さん、これはこの夏の約束ですよ。未来世代のために。 

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