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2007年8月 7日 (火)

中小企業に多い欠損法人

 日本の法人の3分の2は欠損法人だ。赤字で法人税を納めない法人のほうが多いということである。日本の法人のほとんどが資本金1億円未満の中小法人であり、それらが赤字のままずっと存続できているのは不思議といえば不思議である。

 その問題について、政府の税制調査会調査分析部会で、八塩裕之専門委員(京都産業大学経済学部講師)が「日本の欠損法人に関する考察」と題して見解を述べている。

 読んだ私なりに解釈すると、中小事業者(オーナー経営者)が個人自営業者のままでいるのと、それが法人化した場合とを比較すると、法人成りしたほうが租税回避の点で有利である。個人自営業者が法人化して、自身(家族などを含む)に給与をどんどん払って赤字になる(赤字にする)と、法人税(事業税を含む)はゼロになる。そして、自身(家族などを含む)は個人所得税(住民税を含む)を支払うが、それには給与所得控除があるので、税率が低い。中小事業者(オーナー経営者)が法人として支払う税額(ゼロが多い)と個人として支払う税額とを合計した額は、個人自営業者のままでいるよりもはるかに少なくなる。

 こうした税制によって、個人自営業者の法人化が促進されているというわけだ。中小法人は欠損を出しっぱなしであっても、何年たってもつぶれないという不思議な現象が当たり前みたいになる(代わりに経営者等が中小法人に貸し付けることで生き延びる)。これは個人の所得課税が法人の所得課税よりも税率が低いから起きているのである。

 欧米の多くは、個人の所得課税のほうが法人の所得課税よりも税率が高いので、日本とは逆の現象が起きているという。

 法人所得にしたほうが課税上、得か、それとも個人給与所得にしたほうが得か。中小事業者(オーナー経営者)はトータルとして低い税率になるほうを選ぶのは日本も欧米も同じ。そうした課税回避は日本の場合、税収を減らすことにつながるし、また、個人所得控除の税負担軽減効果が高所得層にまで及ぶという問題もあるという。

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