« 隠蔽されてきた年金保険料の着服 | トップページ | 橋の寿命を長くするという話 »

2007年9月 5日 (水)

なぜ財政危機に至ったのか、を訴える森木亮氏の著書

 国債増は長期金利の上昇で「国債費増」となる。国債費増は大切な税収を食い潰す。こうした「負のスパイラル」を急いで断ち切らないと、日本は確実に破産する。しかし、蛮勇を奮って、是が非でも変えてやるという気位の高い人間がどこにも見当たらない。

 『ある財政史家の告白「日本は破産する」』(森木亮著、07年2月刊)は「まえがき<これでも日本国と呼べるのか>」で、そう悲憤慷慨している。

 この本は、なぜ、日本の財政が破産に近い状態にまでなってしまったか、を歴史的に叙述しているので、読みやすい。昭和41年(1966年)に戦後、初めて国債を発行してから約40年。その間に、GDPをはるかに上回るほどの国債発行残高を抱えるにいたった。あたかもブレーキがないかのように国債依存度を高めてきた背景には、著者のいう「亡国の技巧」が作用していることは否めない。

 「亡国の技巧」として挙げている1つは、1984年度に赤字国債の償還期限を60年にしたことである。本来、当該年度中に返済すべきものをこうしてゆるめたから、発行残高の限度が一挙に拡大した。

 2つ目は、建設国債でつくる社会資本の耐用年数を60年にしたことだという。建設国債の償還期限60年に合わせたものだ。しかし、ある試算だと現実の耐用年数は平均32年にすぎない。32年たったら、その社会資本は使い物にならないが、借金はその後28年間にわたって残るという。

 第3に、借金を先送りする借換債の誕生だという。一般会計から繰り入れて積み立てる国債整理基金の制度があり、その基金を取り崩して償還することになっていたのを借り換えという手段を導入した。

 それらのいずれも、大蔵省(当時)の幹部らが実施に踏み切ったと著者は批判している。財政悪化の原因がもっぱら財務省(旧大蔵省)にあるという著者の見方には必ずしも賛成しないが、天文学的な債務の累積を許した制度上の欠陥がどこにあるかを教えてくれる。

 読み終えて感じることは、著者ならずとも、財政建て直しのために命をかけるぐらいの政治家や財務官僚がいないのを私も情けなく思う。

|

« 隠蔽されてきた年金保険料の着服 | トップページ | 橋の寿命を長くするという話 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/184848/16355042

この記事へのトラックバック一覧です: なぜ財政危機に至ったのか、を訴える森木亮氏の著書:

« 隠蔽されてきた年金保険料の着服 | トップページ | 橋の寿命を長くするという話 »