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2007年9月 8日 (土)

橋の寿命を長くするという話

 1980年代の終わりに米国に行った。そのおり、自動車のメッカであるデトロイトで、自動車専用道路を走ったとき、道路がひどくデコボコしているのに驚いた。舗装が傷み、へこんでいるところがある一方、傷んだところにセメントを詰めているために盛り上がっているところがある。だから、新しいクルマであっても、ガタガタと揺れて走る。

 道路や橋などの構築物はつくったときは立派だが、永久に持つわけではない。維持補修で長持ちさせるための人、カネが必要だし、いつかは取り壊して新しくつくらねばならない。だから、カネがあるからといって安易につくるのは考えものである。米国ミネソタ州ミネアポリスの橋が崩落した事件は、原因ははっきりしないが、構築物の維持管理に問題があったことをうかがわせる。

 旧国鉄には「橋守」という仕事があったという(朝日新聞9月7日付け朝刊)。大きな橋の近くに住んで、橋に異常がないか毎日点検する人がいたのである。家電製品でも、橋などの構築物でも、新品のときは問題が起きないが、1年、2年‥‥とたつと、どこか傷んでくる。構築物の場合、家電のように簡単に買い替えるわけにはいかないから、さびを防ぐため塗装がはげたらすぐ塗り直すなどが必要だ。旧国鉄には、そうした日々のメンテナンスによって、長持ちさせる橋守がいたというわけだ。いまはどうなのか。

 ところで、国や地方公共団体の財政は、企業と違って単年度の現金主義である。将来の造り替えに備えて減価償却を行い、そのときのためにカネを留保するということはない。したがって、財政の余裕がなくなれば、橋などの造り替えなんて不可能になる。国も地方自治体も、財政難で公共事業への予算を圧縮しているが、過去の公共事業のツケともいうべき構築物の保守やスクラップ・アンド・ビルドに必要なカネにさえ苦しむことだろう。

 ハコモノはもうかる、というので、いまでも、景気回復テンポの鈍い地方では、公共事業予算の拡大に期待する向きが少なくない。しかし、企業会計の方式や連結決算の方式で地方財政の試算を行なっているように、地方財政の危機の実態がより鮮明になっている。将来の財政にいっそうの負担を課すのではないか、という視点を地域住民は持つようにしたい。 

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