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2007年9月 4日 (火)

隠蔽されてきた年金保険料の着服

 拠らしむべし知らしむるべからず、という言葉がある。公的年金の記録問題で強く感じる1つは、都合の悪いことは隠蔽するという役所の体質である。前鳥取県知事(現慶応大学教授)の片山義博氏の表現によれば、「役所というのは一種のカルト集団のようなもので、外から批判されるほど内部の結束が固くなり秘密主義になります」(日本経済新聞8月23日付け夕刊)。

 4日の毎日新聞朝刊は、社会保険庁が前日に公表した同庁職員や市町村職員による年金保険料などの着服の個々の案件を一覧表にして掲載している。社保庁職員の不正に限っても50件のうち、同庁がこれまでに積極的に公表したのは24件にすぎなかったという。着服が判明しても依願退職を認めたケースもある。それに、着服したカネが元にもどっていない事例もある。積み立てたはずの保険料が、ここでも目減りしているわけだ。

 この新聞記事を見て、早速、社保庁のホームページを見てみたが、着服の個々のケースを一覧表にしたものが探しても見当たらなかった(どこか特殊な箇所に載っているのかもしれないが)。都合の悪い話は知らせたくないというのは情報公開の意味がわかっていない。

 社会保険庁のホームページに3日にアップされた「年金記録に対する信頼の回復と新たな年金記録体制の確立について(進捗状況)」は、8月23日に開かれた年金業務社会保険庁監視等委員会(第2回)に社保庁案として提出した「年金記録適正化実施工程表」に掲載した事項を中心に説明するというもの。その中に「保険料着服への対応」という項目がある。

 その中で、着服を防ぐためのチェックの仕組みを述べ、それを改めて周知徹底するよう7月31日に社会保険事務局を通じて社会保険事務所に指示したと書いている。それに続いて「また、万一、不適正処理が行なわれた場合は、刑事告発、免職、損害賠償請求という措置を採るとともに、速やかに公表しています」と言っている。

 しかし、社保庁が本当に「速やかに公表」していたら、4日付けの新聞記事はもっと前に個々の不正事件として記事になっていたはずではないか。また、社保庁や市町村が適時適切に刑事告発などを行なっていたのなら、社保庁を持つ厚生労働省の大臣になったばかりの舛添氏が「刑事告発すべきだ」などと言う必要もない。

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