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2007年9月25日 (火)

基礎年金の全額税負担を求めた?経団連会長

 現在の政治の大きな争点の1つは年金問題である。社会保険庁による保険料の積み立て記録がずさんだったり、積み立て保険料の横領や流用が多かったので、25日に選任される福田康夫氏率いる新内閣においても、重い課題である。それに関連して、日本経団連の御手洗会長は20日の記者会見で次のように述べた。

 「国民の一番の関心は年金問題である。年金記録問題などが顕在化し、年金制度が満身創痍の状態になっている。与野党には、持続可能で、国民にとって安心・安全な年金制度の構築に向けて、抜本的な議論をしてほしい。その際、例えば、公的年金の基礎年金部分の全額税方式化についても議論してはどうか。毎年1兆円のペースで増加する社会保障費の財源が足りないとなれば、徹底的にムダを省き、歳出削減や給付の是正・合理化を行なった上で、消費税を引き上げることはやむを得ないのではないか。」

 従来、政府は基礎年金の2分の1を税で負担することになっているので、その実現を優先課題としている。これに対し、民主党が基礎年金の全額を税でまかなうという政策を打ち出している。御手洗会長が、ここで消費税引き上げとのパッケージで全額税負担を打ち出した背景には、民主党の参議院選圧勝、安倍首相の突然の辞意表明、後継内閣選出などの政治情勢を踏まえ、自民党と民主党の歩み寄りを求める意図がうかがえる。

 たった2日前の9月18日、経団連は「国・地方を通じた財政改革に向けて」と題する提言を発表したばかり。提言では、公的年金制度について、「給付時に一定以上の所得・資産を有する者に対する基礎年金給付の逓減や公費部分の支給停止、報酬比例部分の支給乗率の逓減に加え、所得代替率の下限の引き下げ、基礎年金の財源方式のあり方などを含め、制度の根幹に踏み込んだ見直しを検討していく必要がある。」と述べている。

 18日の総花的な見解が、20日には焦点をしぼった発言になったように受け取れる。この違いは何か。大企業を代表する経団連にしてみれば、国内政治の安定がぜひとも望ましい。それに、法人税の引き下げや社会保障制度における企業の負担を増やしたくない。この2つを同時に満足する答えの必要性を御手洗会長が痛感したからだろう。

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