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2007年9月29日 (土)

「国家の借金は返そうと思えばいつでも返せる」のか

 ーー国家の借金は返そうと思えば、いつでも返せる。例えば、日本政府が明日、返そうと思えば、明日返せる。税率100%の国債保有税をかければいい。このことを忘れているのが国債の保有者である。国債を持っていない人は心配する必要はないが、インフレになれば生活が混乱する。歴史によれば、政府はお札を発行できるから、インフレにすれば、国の借金はいつでも解消できる。財政赤字について心配すべきことは、国家破産ではない。重要なことは、国債の大量発行で金利が上がったり、インフレが起きたりする経済的混乱をうまくコントロールすることである。ーー 

 民主主義の観点から財政を考える神野直彦東京大学教授の著書『財政のしくみがわかる本』(岩波ジュニア新書、07年6月刊)を読んでいたら、上記の趣旨を述べている個所があった。

 神野氏によれば、「経済的な危機や社会的な危機が生じると、財政は危機になる」、「そういう経済的な危機や社会的な危機を、財政を使って解消することが必要」、「ところが、財政が借金返しに追われて、危機を解消するという本来の使命を果たせなくなるということが大きな問題なのです」。(ここの論理はどうも理解できないーー引用者)

 財政の大きな任務は所得再分配だが、税金を国債の借金返しに使えば、「一般の国民から税金をとって豊かな人々にお金を配分してしまう」逆再分配の機能をもってしまう、ともいう。

 そこで、今後の国の財政政策は、租税構造をできるだけ公平にする、財政支出を減らさない、借金の元金を返さないで利子だけ支払う、などとするよう求めている。

 神野氏の日頃の主張には学ぶことが多い。このジュニア新書から教わることがいくつもあった。でも、上記の文章からは、国債保有者イコール金持ちだから、彼らに借りたカネを無理して返す必要はないと言っているように受け取れる。国債の主な保有者は郵便貯金や銀行などであり、間接的には個人の零細預貯金、つまり圧倒的多数の国民の貯蓄がかなりの部分を占めることをご存知ないとは思えないが‥‥。

 また、国の借金は外国債ではない、国民から借りて国民に返すだけだからデフォルト(債務不履行)にはならないと書いている。それはその通りかもしれないが、内国債である日本の国債を保有している外国の投資家もいる。海外投資家が日本の国債に投資しているファンドに投資することもある。マネーには国境がない。だから、100%保有税などの強権的な政策をとったら、日本は世界の信用を失い、経済危機に陥る。

 神野氏は、そうしたグローバル経済の実態を踏まえているのかなと疑問を感じる。それと、借金の元金を返さないで利子だけ支払う状態を続けるというのは、好不況の循環や金利の上昇(正常化と言うべきか)を考えると、持続可能でないと思う。やはり、借金残高をGDP比60%まで下げるといったような取り組みが必要ではないだろうか。

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