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2007年10月13日 (土)

地方分権はさっぱり進んでいない

 片山善博氏といえば、慶応大学大学院法学研究科教授というよりも前鳥取県知事としての経歴のほうが知られている。彼が日本記者クラブで記者研修の講師で招かれ、「地方分権は進んでいるか」と題して講演した内容がとてもよかった。日本記者クラブのホームページに内容がすべて載っているので、関心がある方はぜひ一読を。ここでは、私が学んだ点をいくつか挙げる。

 地方分権とは、ルールの設定権とか、判断権、決定権が国ではなく、より住民に近いところにあることだという。それらの権限が国→都道府県→市町村→首長→議会→住民、へと移るほど地方自治が進んだということのようだ。

 第一次地方分権改革が行われたものの、国はいまだに法律によらず、通達で自治体に指揮、命令しているし、地方債発行に対する「許可」をやめて「同意」に改めたのに、実態は許可時代と変わらない。

 夕張市の財政破綻に対応して、国は分権に逆行する法律をつくり、国が再生計画を自治体につくらせ、責任をもって債務を全部返させるという中央集権体制の破綻防止体制をつくった。これは、本来、当事者である住民、議会(住民の代表)、貸し手の金融機関がリスクを負い、ハラハラする仕組みにすべきだという。

 総務省が集中行政改革プランをつくるよう全国の自治体に通達を出し、5年間で5%の職員削減をプランに盛り込むよう指示したことがある。職員数は議会が条例で定めることがらであり、住民との対話や合意形成が必要なのに、一方的に国が指示している。これは、総務省も中央官庁の1つで、天下りを必要として、権限を死守しているのだという。

 変な通達を真に受けて対応する自治体も愚かである。そんなものはおかしいと国に突っぱねる力量が自治体になければならない。

 自治体の議会は最終的な判定者であり、判断権を持つ。ところが議会活動は大半が八百長で、最初から結論を決めて会期だけをこなしている。学芸会のようにシナリオ通りにやっているという。

 教育に関する事件が起きたとき、教育委員会が非難される。しかし、自治体の首長と議会(同意)が教育委員を選ぶのだから、問題が起きたとき、任命権者の責任を追究すべきではないか。

 議会は税を議論するためにできたはずだが、税条例改正を審議しないし、議決しない。いわゆる専決処分である。これはおかしい。片山氏が知事だった鳥取県議会だけは例外だという。

 市町村合併に対しては、合併特例債というエサに皆、とびついたが、大きくなれ、大きくなれ、それで地方分権だ、なんて全く矛盾しているという。

 いまの日本政府は余りにも何でもやり過ぎである。国会議員は分権指向ではなく、「口利き」を誇っている。有権者もそれを好む素地があるという。

 単純な道州制論にも片山氏は一言ある。彼は自治省の出身者でありながら、本当に地方分権・地方主権を実現するにはどうすべきかを考えている稀有な存在である。講演の全文を読めば、ほかにも教わることが多々ある。

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