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2007年10月26日 (金)

人事院勧告をどうする

 国家公務員の給与引き上げ(0.35%)を求める人事院勧告の扱いが大詰めを迎えているという。若年層で民間に比べて差が大きいということで、係長クラスより下に手厚い上げ幅を勧告しているが、政府は勧告をそのまま受け入れるか、部分的に実施するかで分かれているらしい。

 8月10日のブログで引き上げに反対した。ここで、改めて問題を指摘したい。地方公務員の給与引き上げに連動する話なので、国と地方の公務員の給与についてはきちんとした対応が必要だ。

 人事院勧告には、納税している国民として疑問がある。団体交渉権やストライキ権がないから、その代償として人事院勧告制度が設けられているという理屈はわかる。でも、国債発行残高がいまも増えている財政危機のもとで、賃上げを許すなんてことは民間企業経営の感覚からするととんでもないことだ。会社の経営が倒産の危機に直面したら、従業員の賃金などもカットされるのは普通だ。

 民主党の「次の内閣」総務相である原口一博衆議院議員は「経営者が放漫経営して、給料を減らすとか据え置くとか、働く人にかぶせられたらたまらない」(朝日新聞25日付け)と批判しているという。しかし、国滅びて役人栄えるなんてことがあるのだろうか。原口議員は、賃上げによる財政負担(約430億円)をかぶるのは納税者であることを忘れているのではないか。

 それはさておき、そもそも官僚の賃金水準は民間より低いと言えるのか。人事院の調査は大企業から中小の企業までを対象としているが、非正規雇用の民間労働者をも対象とする賃金動向調査に改めれば、官僚の給与水準は相当に高いことが判明しよう。それに、本来、失業のリスクの有無を計算に入れれば、失業の心配のない官僚は、民間の平均より低くておかしくない。

 民間では50歳や55歳になれば、管理職といえども役職を解かれ、賃金が3割以上減るところがほとんどだ。しかし、官僚の給与は定年まで上がる一方である。そうした実態も人事院勧告には反映していないように思われる。総じて、人事院の比較調査の方法に問題があるのではないか。そして、以前にも指摘したことだが、生涯賃金で見たとき、どうかというデータも国民・納税者に提示してほしい。官僚のいいとこ取りは困る。人事院の職員も官僚だから、「利害相反(コンフリクト・オブ・インタレスト)」が問題にされるべきだ。

 ついでに言うと、官庁には忙しい部署もあるが、要らない仕事をしているところが少なくない。例えば、通達行政は廃止されたはずなのに、相変わらず通達がまかり通っている。無駄な仕事をやめて、浮いた余剰人員を減らすようにすることが政治家の役目だ。 

 また、民間と労働の密度や質を比べたとき、いまよりもっと高賃金をもらっていい職務の官僚もいる。彼らには賃金引き上げをすべきである。逆に、仕事が楽で、民間に比べてもらい過ぎの人もいる。彼らは段階的に賃金を下げてしかるべきだ。

 政府・与党は人事院勧告をどうするか、あちこちの顔色をうかがうのではなく、本質的な問題に切り込むべきである。

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