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2007年10月16日 (火)

激化する採用競争

 青田刈り。歴史は繰り返すというが、企業の大卒定期採用競争をみると、その感を深くする。いま、もう始まっているのは再来年春に卒業する大学生をめぐる採用活動だ。

 大学3年生が就職活動に奔走すれば、学業の妨げになる。だから、大学側の申し入れを受けて大学側と経済界との間で就職協定を結び、4年生になってからの解禁の日(6月1日とか)まで企業は採用活動を控えるーーそうした配慮が1990年代の前半ごろまではあった。もちろん、ひそかに協定破りに等しい活動をする企業もあったが、一流企業はほとんど動じなかった。

 しかし、景気がよくなって、採用を増やし始めたここ2~3年、就職協定のようなしばりがないことから、企業は早め、早めにと、青田刈りをしている。確かに、グローバルな競争を勝ち抜くには、すぐれた人材を必要とするから、人材確保に後れをとってはならないというのもわからないではない。

 しかし、新卒者をものすごく大量に採用するのはどうかと思う。日本経済新聞の16日付け朝刊によると、来年春入社予定の大卒採用者は多い順に、みずほフィナンシャルグループが2400人、三井住友銀行1500人、大和證券グループ1300人、三菱東京UFJ銀行1300人、損害保険ジャパン1200人、東芝1150人などとなっている。グループ企業全体の採用者数を表すものもあるから、一概に採用が多すぎると断定することはできないが、著名な大企業が力づくで新卒者を取り込んでいるようにみえる。

 だが、大量に採用しても、優秀な人材はその一部である。それに、特定の年次に団塊ができるのは企業経営上よくない。事業拡大で人が欲しいなら、“就職氷河期”の世代からもできるだけ採用して、人事のバランスをとることが長期的にみて適切ではないか。それはまた、バブル崩壊後の経営悪化で新卒採用を極端に抑制し、多くの若者を幻滅に追いやった経済界、企業がいま果たすべき社会的責任である。常時、採用窓口を開けておいて、優秀な人材なら即、採用するぐらいの大企業が出てきてほしい。

 新卒採用にこだわる最大の理由は、何もわかっていない若者を“洗脳”して、会社の思うように動かすためだと思う。いわば、白地のキャンバスに会社が好きな絵を描くようなものだ。他の会社を経験した者は簡単に社風になじまないから、できれば避けたいのである。

 しかし、ハイブリッドというか、異なる発想、体験を持つ者が集まる企業は経営者さえしっかりしていれば強い。日本のビッグビジネスの弱さは、異質なものを排除しようとするところにある。近年の新卒定期大量採用は、日本企業の問題点を表していると言っていい。

 ついでに言うと、日本の大学を卒業したからといって、大卒の大半がろくに勉強しないままで就職している。知識集約型の産業が日本のメシのタネだとするなら、基本をきちんと押さえた大学院卒の採用を増やす必要がある。そこらあたりが非製造業の分野で日本企業が欧米の企業に差をつけられる原因の一つだろう。 

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