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2007年10月 8日 (月)

一枚の写真が環境危機を物語る

 10月7日(日)の朝日新聞は一面にインドネシアの焼き畑で泥炭が真っ赤に燃えている写真を載せた。人口増加に対応して農民や企業家が、食糧の生産や、パーム油の生産のため、温暖化防止に欠かせない森林を破壊しているのだ。地球の表面の大気が熱くなっているのをイメージさせる強烈な写真である。

 石炭や石油は化石燃料といわれるが、泥炭はカロリーが低いし、取り扱いに手間がかかるので、燃料にもほとんど使われない。森林を農地にするため、火をつけてただただ燃やしているもので、何千年もかけて自然が蓄積した炭素が二酸化炭素となって大気中に放出されている。それを同国の政府は止めることができない。このまま泥炭火災が同国の各地で起きれば、地球温暖化をさらに促進することになる。

 かねて指摘されていることだが、シベリアのツンドラ(凍土)地帯で森林を切り倒したら、凍土が溶け、閉じ込められていたメタンが大量に放出される。メタンの温室効果は二酸化炭素の44倍だから、温暖化を加速する。先進国中心に議論されている温暖化対策にはインドネシアの泥炭火災も、ツンドラのメタン放出の可能性も想定されていない。容易ならぬ事態が起きないよう、いまから手を打っておかねばならない。

 最近、ガイア理論で著名な英国のジェームズ・ラブロックがクリス・ラプレイと一緒に科学誌「ネーチャー」に寄稿した。温暖化による地球の異変は人々が想定しているよりはるかに早いとして、一見、突飛な対策を提案している。栄養分の多い深層水を栄養分のない海面近くに高さ約100㍍、直径10㍍のパイプで自動的に吸い上げることによって①海面近くで藻類が繁殖し、大気中の二酸化炭素を吸収する、②藻類がつくる硫化ジメチルは雲を生成する核となるので、海水温度が下がり、台風の発生を抑制する、という効果をめざしているのである。

 米国のAtmoceanという会社がすでにその試験を手がけだしている。同社によると、高さ200㍍、直径3㍍が最適で、世界で1億3400万本のパイプを設置すれば、毎年、人類の活動で放出される二酸化炭素の約3分の1を吸収することができるという。

 とてつもない話だが、とにかく実験してみる価値があるという専門家もいる。実験をすることには私も大賛成だ。ラブロックは先に『ガイアの復讐』を出版し、その中で温暖化を抑えるには原子力発電を増やすことだと提案して世界的に注目されたばかり。地球温暖化に対して、日本政府は危機意識が薄いが、日本の学者、専門家にも、国民に深刻な事態であることをきちんと知らせ、対策の選択肢を提示するプロとしての責任意識が乏しいことは、いくら強調してもしたりない。それは日本の不幸である。

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