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2007年10月30日 (火)

外国人受け入れ政策をめぐるシンポジウムから

 「人の移動と国際機関の役割」と題する合同シンポジウムを聞いた。ここでいう「人の移動」とはmigration の訳で、海外旅行者、海外赴任、留学・研修、国際結婚、出稼ぎ、人身売買被害者、避難民、難民などの総称で、「1年以上の意図をもって通常の居住国を離れる者」のことだという。

 グローバリゼーションに伴う人の移動は送り出し国、受け入れ国にとってプラスとマイナスがある。もちろん、当の人間にとってもプラスの面とマイナスの面とがある。そうした現実を踏まえ、国際移住機関(IOM)、国際労働機関(ILO)、国連人口基金(UNFPA)、国連高等難民弁務官(UNHCR)の4つの国際機関が開催したシンポジウムでは、日本への「人の移動」の実態、課題、対策を議論し、国際機関がどのような形で貢献できるのか、を探るというものだった。

 論点は多岐にわたるが、私の印象に残った点を紹介すると、日本の外国人受け入れ政策には問題点がたくさんあるということだ。9月22日のブログで、坂中英徳氏(元東京入国管理局長)が日系ブラジル人の子供の教育について問題点を指摘していたのを紹介したが、このシンポジウムでもこの深刻な問題の解決に向けて努力すべきだという意見があった。

 立花宏日本経団連専務理事は「奥田前経団連会長は、日本ほど外国人問題について建て前と本音が違う国はないと言っていた」と述べ、「実態は単純労働者がたくさん入っている」、「外国人なしには成り立たない事業分野が多いし、そこでは地域雇用の中核になっている」のだから、日本は多文化共生をベースとした社会をつくっていくべきだと主張した。

 日本の外国人政策の遅れを厳しく批判する井口泰氏(関西学院大学)は「サプライチェーンを通じて5次、6次といった下請けが外国人に劣悪な労働条件や差別をしていたら、トヨタのような会社でも、ISO26000(社会的責任)で指弾される」という趣旨の発言をした。

 日本の政治家がこの問題に関心がないから、官僚も思い切った政策を打ち出そうとはしない。そこが最大の問題である。いまのように政治が内向きの問題にばかりうつつを抜かしていると、確かに日本はいっそう国際社会から孤立してしまうだろう。

 国際機関が初めて一緒になってこうした問題に取り組んだのは意義がある。その背景には、①日本政府は国際機関にたくさん寄付しているが、その割には国際機関を軽視している、②世界の潮流変化に日本がついていっていない、③国際機関の知恵や情報を活用すれば、日本の外国人受け入れ政策は改善される、といった焦燥感に近い気持ちが国際機関の東京事務所の代表たちにあるように見受けられた。 

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